元F1ドライバー・井出有治、ハイパワーバージョンのメガーヌR.S.トロフィーRにロックオン!?【モーターファンフェスタ2019】

モーターファンフェスタ2019 in 富士スピードウェイ(2019年4月14日開催)の中、メインステージで行われた「ルノー・トークショー」に、元F1ドライバー&clicccarテストドライバーの井出有治さんがスペシャルゲストとして登場。司会はV-OPTチャンネルでもお馴染み、マナピー鈴木学さん。ついでに(笑)我が小林和久編集長も登壇です。

この日の午前中、ルノー・スポールカップ(タイムアタック)でさすがの激走を披露してくれた井出さん。クルマをステージ前に展示して、まずはそんなお話を!

■「いつまで元F1使うの?」(鈴木) 「まだイケルでしょ(笑)」(井出)

鈴木:さぁ、ルノー祭りということで、この方と一緒にお届けしたいと思います。元F1ドライバーでございます、井出有治さんです! ところで井出さん、いつまで『元F1ドライバー』(の肩書)使えますかね?

井出:いや~まだ使えると思います!(笑)

鈴木:では井出有治祭りってことで。このメガーヌ、先ほど本コースをタイムアタックしていたということで、このマシンの感覚、インプレッションを聞かせていただこうと思います。ルノーとの関わりってそんなにあると思わなかった。

井出:数年前に前モデルのメガーヌR.S.をマイカーとしていたり、筑波サーキットや袖ヶ浦フォレストレースウェイでタイムアタックとかいろいろやらせていただいていたんです。コレ(R.S.カップ)をclicccarで試乗テストするっていうときには「ハ~イ!!」って手を上げて!

■R.S.カップ×井出有治ドライブの2分04秒台は、86/BRZレースのタイムと遜色なし!

鈴木:先ほどルノー・ジャポン代表取締役社長・大極 司氏と話をしていて、メガーヌってルノーの中でもスポーティだけど、このR.S.カップはスポーティどころかこのままサーキットを走っても相当な勢いで走れるそうですね!

井出:違和感なく全開!で走れます。

鈴木:井出さんもレーシングドライバーとして数々のクルマ乗ってきて、さすがにFSWの高速サーキットを、いわゆる『つるし』の状態で走ると楽しむどころか…ねぇ。

井出:コンパクトな袖ヶ浦や筑波を上手く走らせられても、さすがにこのFSWのGPサーキットは…って普通は思いますよね。最初コースインして、実際この1.5kmの長いストレートからのブレーキングはなぁ…と思いましたけど、でも、思いっきりブレーキを踏み倒してもR.S.カップは安定しているし、セクター2の高速区間でもコントロールが本当にしやすかったです!

鈴木:先ほどのタイムアタックの結果貰いました。井出さん、ブッチギリのトップでした! まぁ当たり前と言えば当たり前ですけど!!

井出:いや~実際走っているときは、コレ…1番じゃなかったらどうしようかと思いました!

鈴木:タイムが2分04秒520! これがどんだけ速いかがちょっと伝わらないと思います。FSWの04秒台というと、86/BRZレース、あのレーシングドライバーが走り込んで足まわりから何から何まで換えて専用タイヤ履いて03秒台ですよ。コレ、何ccでしたっけ?

小林:え~っと正確な情報を…1798リットルです(違うだろ、ccだろ~! by井出)。

井出:ボクもタイム見た時、つるしでこの排気量を考えたら結構速いなって。今日は時間が無かったからタイヤのエアプレッシャーとかほとんど調整していなかったんです。

鈴木:コースインして04秒台、ずっと04秒台、その後もう1回様子を見て行ったときにこの2分04秒520のベストタイム。

井出:アタックとしては3周。最初2ラップいったんですけど、やっぱりこのFSW、1コーナー、Bコーナーってブレーキパフォーマンスが1番出るとこじゃないですか。最初の2ラップでブレーキポイントと制動力を確認して、1周クール入れて、それでまとめたというカタチで最後ベストラップが出ました。

鈴木:じゃエア調整したりしていい状態で走れたら、03秒台くらいは?

井出:あと1秒くらいはまだ伸びしろがありますね!

鈴木:一応、人のクルマ(ルノー・ジャポンの広報車)ですしね、井出さんとはいえねぇ。

井出:縁石もGTマシンだとけっこう乗るところを、ルノー・ジャポンさんの顔が頭の片隅に出てきたんで、縁石は控えめに行きました!

■FFだと思わせない走りができるってスゴイ!

鈴木: FFのクセみたいなものはどうです?

井出:そういうFF独特のクセがないんですよ。当然、コーナー立ち上がりで多少、舵が当たって早くアクセルを開けすぎるとアンダーはもちろん出るんですけど、そこを出さないでキチッと向きを変えてあげてアクセル開けていく…という走り方をすればFFって分からないくらい。FFって踏んだ時に多少、引っ張られるじゃないですか。そういうのがないんですよ。4コントロール(4輪操舵システム)や4HCC(4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)が効いているのもあり回頭性が本当にいいんです。

鈴木:いわゆるFFで言うときの「良く止まる、よく曲がる」ってヤツね。真っ赤なブレンボのでかいキャリパーが付いてるし! 1800ccエンジン自体はスムーズなの?

井出:モーターのようにスムーズに回転が上がっていくんで、ストレスが無いんですよね。よく高回転で伸びがイマイチっていうようなとき、ドライバーのアップするタイミングがムズムズするんですけど、それが素直に上がっていくので気持ちいいんです。

小林:1.8Lターボでパワーは279psですね

■ボディ剛性の良さ故に感じる「軽やかさ」とは?

鈴木:メガーヌR.S.はシビックのタイプRが日本の中ではライバルであったり、ニュルやヨーロッパのいろんなサーキットでも相当鍛えられていると思います。今回FSWで乗りましたけど、その前は袖ヶ浦で乗られたと? ミニサーキットだからもっとキビキビ走らないと面白くない感じですよね?

井出:コースインして最初の印象としては、クルマが軽く感じたというか、実際の重量の数字ではなく、ステアリングを切ったときのクルマの軽やかさというか。それっていうのはボディ剛性とか足の動きとかがいいからですよね。

鈴木:動きに軽さを感じたということ?

井出:すべてに剛性があるんです。ステアリングとか体に感じるGとかがダイレクトに伝わってくるので、それが結果、クルマが軽く感じるということですね。

鈴木:FFのそういったところの動きをベースのシャシーから相当作り込んでいて、そういったところの動きが良くなるようにできている。

井出:変なクセが無いんですよ。旧型にもだいぶ乗らせていただいていたんですけど、エンジンのパワー感、トルク感は先代のほうがジャジャ馬感はあったんです。

鈴木: FFで約300psだと、そういうイメージ出ちゃいますよね。ボクなんかがバッと踏んで切ってバババババ~ッでダダダダ~ッ! ヘタクソか!ってなりそうな気がするんですけど、ス~っと回頭して、コーナリングが気持ちいいと?

井出:パワー感であったり、タイヤも含めてですけど、R.S.カップはトータルのパッケージとしてバランスが取れていますね。シートも本格的なバケットシートではないんですけど、脇腹の辺りなんかはしっかりホールドされるので、サーキットを走るときでも体が振られるということはなかったですよ。

鈴木:マニュアル6速だ! カップとついたものだけ3ペダル、R.S.は2ペダル。シフトフィーリングとかはどうですか?

井出:例えば1コーナーでフルブレーキングして2速まで落とす時に、多少ゲートが分かりづらいクルマだとシフトダウンしているときにミスしそうで怖いから気を付けるんですけど、そこは気持ちよくいけます。クラッチをラフにつないでも、つながったときのへんなショック感もロックしそうな感じもないので、多少荒く乗っても上手く吸収してくれる、誤魔化してくれるっていう感じですね。

鈴木:懐の深さというのがあるんですね、ルノーの中での一番最先端な。

■clicccarでスクープした「メガーヌR.S.トロフィーR」、登場間近か!?

小林:ルノーにはスポーツカーとしてアルピーヌA110なんかもありますけど、メガーヌではもうひとつ上のハイパワーバージョン「トロフィーR」というのが出るというウワサです!
(客席で聞いているルノー・ジャポン広報担当、焦る!)

井出:ソレってR.S.カップよりパワーアップされているってクルマですよね!? ぜひここ、FSWで試乗を!!

鈴木:いやいやマジですか! ルノーはそういう、我々が買えそうなくらいなスポーツカーを更に出してくるんですね。で、コレ(R.S.カップ)いくらですか?

小林:450万円ですね。

井出:今日だといくらになるんですか?(笑)

鈴木:そ~いうこと言わない!! 広報の方が耳ふさいでますヨ。

小林:R.S.カップは100台限定なのでもうないかな~?

井出:お世辞抜きで、これからサーキットデビューするような方がトレーニングするのにボクは本当にいいと思います。いろいろパーツを換えたりするとバランスが崩れて作り直して…っていうのがあるじゃないですか。これはこのマンマですぐに走れます。え~っとコレ、いただけるんでしたっけ?(笑)

鈴木:コラコラ、いただけませんから! も~井出さん、ルノー専属にしますよ! アストンマーチン・バルカンとか乗れなくなりますけどいいですか?

井出:ボクはこれがあればいいです。マジでサーキットも街中も快適ですから! ボクの言うことはあまり信頼できないと思うので、乗っていただいたほうが分かりやすいと思います。良いクルマですよ。でもボクのタイムは抜かないでくださいね!

鈴木:イヤイヤ抜けませんから!

小林:clicccarに井出さんのインプレッションが出ていますので読んでください。ベタ褒め過ぎて井出さん、ホントもらっちゃったんじゃないかってくらい!

鈴木:というところで、今日もサーキットでコースをいきなり走って04秒出したと流石です。ありがとうございました。井出さん、クルマはあげませんからね! 皆さんに乗ってもらいたいですね。

軽快なツッコミに「ちょっとふざけ過ぎちゃったかな?」という井出さん。来年のモーターファンフェスタ2020(?)は「メガーヌR.S.トロフィーR」でまたトップタイム出しましょう!!

(文:永光 やすの・画像:栗原 淳/永光 やすの)

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この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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