ジュネーブの日本車は熱いか? マツダ「魂動」の第2弾は大人の情感、三菱「ダイナミックシールド」新章は超シャープな力強さに

【最新SUV2台のデザインを緊急チェック!】

いよいよジュネーブモーターショー2019が開幕。いろいろと話題の多い今年のショーですが、今回は国産メーカー注目車のデザインをイッキにチェック! 2回目はマツダと三菱の2台を速攻チェックします。

・Mazda CX-30

1台目はマツダ「CX-30」。まったく新しいコンパクトクロスオーバーとしてCX-3の後継とは謳っていませんが、ポジションが近いのは間違いないようです。ホイールアーチやボディ下端の超幅広プロテクターも、やっぱりCX-3に準じたもの。

コンパクトとしつつ、CX-3よりキャビン後方を拡大し、サイドウインドウ下端をほぼ直線とすることで居住性のよさをアピール。さらに、リアピラーをボディ色として「一般的なSUV」のイメージを強くしています。

フロントの絞りを緩くしてワイド感を出しているのも、居住性や積載性のよさを表現したようですが、若干緊張感が不足気味なのが気になるところ。一方、上端を水平に伸ばしたリアランプは、ワイド感に加え、過度な情緒感を抑えているようにも見えます。

ボディサイドの強いラインはドアパネルに大きな凹面を作りますが、ここまで強い流線が必要だったのかが疑問です。もちろんSUVの力強さは欲しいところですが、ナナメのラインに頼らない表現を「魂動」第2世代商品では見たかったと思います。

・三菱 ENGELBERG TOURER

2台目は、三菱「ENGELBERG TOURER(エンゲルベルク ツアラー)」。スイスの山村の名前を付けたこのクルマは、どんな険しい道も走破する力強さと余裕のある居住スペースを持つ、新世代のオールラウンドクロスオーバーSUV。いまの三菱らしいPHEVとしての提案です。

ほぼ水平基調のボディは、現代のコンセプトカーらしくシャープな面とラインで構成され、全体的にはクリーンな印象です。エアダクトから始まるボディサイドのラインも決してうるさくはありません。

リアは、ちょっと三菱車とは思えないシャープなランプがシンプルですし、ラインを極力減らしたリアパネルもスッキリしています。ただ、それだけにフロントの大仰な造形がより目立ってしまうのが皮肉なところ。

例の「ダイナミックシールド」を標榜する顔の表現は、先頃のデリカD:5にも準じる巨大な縦型ライトが過剰気味だし、自ら光るというシールドのメッキ部は派手という言葉を越えています。このアンバランスさによって、新世代の三菱デザインが見えにくくなっているのが残念です。

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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