そのニュービートルは、2011年にフルモデルチェンジを敢行します。車名は新たに「ザ・ビートル」と名付けられました。横から見ると完全な半円だったルーフラインにわずかな「角」が与えられ、全長も伸ばされて室内の居住性が改善した点が特徴です。高性能モデルとしては「ターボ」があり、ゴルフGTIと同じ直噴4気筒エンジンにDSGを組み合わせて、211psを発揮しました。
このザ・ビートルも一定の人気はつかんだのですが、いっぽうで大きなトレンドの変化に直面することとなります。それが他ならぬSUVブームです。メインマーケットとなる北米はもちろん、世界中でSUVが大きな存在感を占めるようになり、2+2のノッチバックスタイルというザ・ビートルは苦しい戦いを強いられることとなります。
じわじわとセールスも勢いを失い、メインマーケットアメリカですら、今年前半の販売台数が1万台強にとどまる状態。なによりフォルクスワーゲン自身が、トゥアレグやティグアンといったSUVで大きな利益を上げるようになったのですから、しかたのない流れなのかもしれません。
今回の生産終了について、フォルクスワーゲングループジャパンの商品広報担当であり、なによりも熱烈なビートルフリークでもある池畑浩さんにお話をうかがってみました。
「自動車の歴史を通して、あれほどのカルチャー、文化を作ったクルマって他にないですよね。日本での販売台数をみてみると、初代がおよそ9万台売れたのですが、ニュービートルもほぼ同数、最後のザ・ビートルもおよそ4万台売れています。初代だけが人気だったわけじゃなくて、ずっと続いたんですね。もうビートルのマインドが根付いているんだと思います」
「フォルクスワーゲンも、最近はEVやバス(トランスポーター)といった新しいモデル作りに取り組んでいますが、ビートルのマインドがみんなの心にある限り、また違った形で復活することを望みたいと思いますね」
(文・角田伸幸/写真・フォルクスワーゲン)
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