【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判:番外編】カローラ スポーツ誕生記念。歴代カローラのデザインを振り返る!(初代)

80〜90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、あらたにカローラ スポーツが登場したのを機に、番外編として歴代カローラのデザインを振り返ります。

クラウンやコロナに続き、高度成長期を迎える中で本格的な大衆向けコンパクトを模索していたトヨタがパブリカやトヨタスポーツ800などの経験を存分に生かして開発したのが、1966年発表の初代カローラです。

ファミリーカーとして居住性の高さを意識しながら同時にスポーティな性格を与えることを意識したボディは、セミファストバックスタイルを採用した2ドアセダン。後に登場する4ドアをイメージさせつつ、流麗な印象を与えました。

フロントランプは丸形ながら、豹をイメージしたという異型のカバーが個性的な表情を形成。繊細な縦桟のグリルとともに、初代にしてカローラの顔を完成させました。空力を考慮したボンネット上のストリーム・フィンもまたフロント部のアクセントとなります。

前後に延びるショルダーラインは凹面で構成され、贅沢なモールと相まってサイド面の表情に変化を与えます。また、緩い角度のリアガラスは曲面タイプを用いて実に広大。端正なリアピラーとともに、トランクへの流れも極めてスムーズです。

インテリアはいたってシンプルですが、コンビメーター、ラジオ、ヒーターコントロール部をブラックで囲み、かつ天板もブラックとすることで引き締まった質感を持ちます。モールを張ったドア内張りやシートも、クラスを越えようとする仕上げに。

先行したダットサン・サニーが強く欧州車の影響を感じさせたのに対し、クセを廃し、少しだけ先進的でスポーティ、かつ豪華さを感じさせるデザインを目指した初代カローラ。この戦略は後年の成功を約束させたのです。

●主要諸元 カローラ デラックス(4MT)
形式 KE10D
全長3845mm×全幅1485mm×全高1380mm
車両重量 710kg
ホイールベース 2285mm
エンジン 1077cc 直列4気筒OHV
出力 60ps/6000rpm 8.5kg-m/3800rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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