【週刊クルマのミライ】スタートダッシュで5,000台近くを売った三菱・エクリプスクロスの勢いは「本物」なのか?

とくに、S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)については、ハードウェアとしては前後の駆動トルクをコントロールする電子制御カップリングと4輪ブレーキ制御だけですが、ブレーキ制御と駆動コントロールを利用したAYV(アクティブヨーコントロール)はエクリプスクロスだけの走りを実現しています。メカニズムから”なんちゃってS-AWC”だと先入観を持ってしまうかもしれませんが、その走りは想像以上に高いレベルでスーパーオールホイールコントロールなのです。

具体的には、フロントタイヤの左右ブレーキを独立制御することによる制動方向のヨーコントロールと、リヤの駆動配分を増やすことによる駆動力のヨーモーメントをシームレスにつなぐことで、曲げる四輪駆動制御を可能としているのです。

とかく電子制御というとハイテクなハードウェアの採用が大前提と思いがちですが、エクリプスクロスに関してはもっとアナログ的な発想の、人間の走り込みによる熟成を表現する手法として電子制御が使われているといったほうが適切かもしれません。FFと4WDをラインナップするエクリプスクロスですが、是非とも4WDを選んでほしい、そう思える出来栄えなのです。

そして、その走りはスタイリングのイメージと見事に合致しています。

リコール隠しや燃費不正などがあり、三菱自動車のブランドイメージはけっして良いとはいえません。むしろ市場はネガに感じていることでしょう。そのため新型車のデビューまでに時間がかかってしまいました。しかし、だからこそ新型車の開発において通常のスケジュールに対して、かなりじっくり作り込むことができたことが、こうした完成度につながっています。その意味では、奇跡の一台ともいえるエクリプスクロス。好ダッシュを切ったのは必然といえそうです。

はたして、この勢いは続くのでしょうか。

●三菱・エクリプスクロス Gプラスパッケージ(4WD)主要スペック
車両型式:DBA-GK1W
全長:4405mm
全幅:1805mm
全高:1685mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1550kg
乗車定員:5名
エンジン型式:4B40
エンジン形式:直列4気筒ガソリン直噴インタークーラーターボ
総排気量:1498cc
最高出力:110kW(150PS)/5500rpm
最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/2000-3500rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:14.0km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:225/55R18
メーカー希望小売価格(税込):3,095,280円

(写真:雪岡直樹 文:山本晋也)

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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