【週刊クルマのミライ】三菱・エクリプスクロスの試乗で、ターボとCVTがベストマッチと知る

三菱自動車から、本当に久しぶりに新型車が登場しました。それが1.5リッター4気筒ガソリン直噴ターボを積むクーペSUV「エクリプスクロス」です。

これまでを振り返ると三菱のターボエンジンには、トルクの太いエンジンという印象があります。言い方を変えると回転を上げなくとも十分な加速が得られるのが三菱ターボエンジンの伝統的なイメージです。

エクリプスクロスが搭載する4B40型エンジンは、ボア×ストロークが75.0mm×84.8mmというロングストロークで、圧縮比は10.0と控えめ。カタログスペックの最大トルクが240Nmなのは物足りない気もしますが、実際にアクセルを踏み込んでみるとスペックから想像する以上の力強さを感じます。

もちろん、カタログ値の最大トルクはフルブースト状態で発生しているものですから、リアルワールドではピークトルクを出しているシーンは少ないでしょう。つまり、ここで感じた力強さを生み出しているトルクというのはフルブースト時の、数値でいうと240Nmのそれではなく、アクセルペダルを踏みこんだときに、期待通りに加速するかどうかが、トルクのリニアリティとして感じられるというわけです。

その点についてエクリプスクロスの実力は想像以上でした。もともと、ダウンサイジングターボについてはドイツ勢など欧州ブランドがリードしていたこともあって、どうしてもDCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせで味わうことが多く、そこに最適解があると思わせる状況でした。そうした経験とエクリプスクロスのリニアリティやトルク感を比べてみると、圧倒的にエクリプスクロスはスムースですし、そもそもブーストの立ち上がっていない状態を感じさせない点で、DCTとターボエンジンの組み合わせに対してアドバンテージを持っているといえます。

具体的には、ブーストが高まる前はトルクコンバーターを滑らせることでエンジン回転を稼ぎ、ブーストがかかるようにしています。そして、そこからトルクコンバーターをロックアップさせていったときにCVTならではの可変変速比が有効で、非常にスムースに加速していくのが確認できます。

とくに20km/h以下の速度域からのアクセルオンでレスポンスよく加速していくのは、ターボエンジンの特性を活かすようセッティングされたCVTの制御が効いていると実感できるのです。実際、マニュアルモードにしてエンジン単体の特性をみようとすると、小排気量ターボゆえのもたつき感が払しょくされているわけではありません。

いまの時代、エンジン単体ではなく、トランスミッションと合わせた状態でレスポンスや官能性を感じるべきだと実感したのでした。

もちろん、単純にダウンサイジングターボにはCVTがベストマッチと結論づけるつもりもありません。エクリプスクロスのようにターボエンジンを活かすようCVTがセッティングされていてはじめて、スムースで効率的な走りが味わえるのです。

●三菱・エクリプスクロス Gプラスパッケージ(4WD)主要スペック
車両型式:DBA-GK1W
全長:4405mm
全幅:1805mm
全高:1685mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1550kg
乗車定員:5名
エンジン型式:4B40
エンジン形式:直列4気筒ガソリン直噴インタークーラーターボ
総排気量:1498cc
最高出力:110kW(150PS)/5500rpm
最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/2000-3500rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:14.0km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:225/55R18
メーカー希望小売価格(税込):3,095,280円

(写真:雪岡直樹 文:山本晋也)

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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