実体験! 高齢ドライバーのダウンサイジングはメリットしかない【週刊クルマのミライ】

■日本経済も着々とダウンサイジング中だが

おおよそ20年前にはクラウン(18#系)を愛車としていました
おおよそ20年前にはクラウン(18#系)を愛車としていました

2023年の日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、世界4位に落ちたというニュースがありました。

円換算での名目GDPは591.4兆円で、前年比5.7%増の過去最高値だったということですが、ドル換算すると前年比1.1%減の4.2兆ドルと減ってしまったことが順位を下げた原因といえます。

この部分だけをみると、為替相場次第では世界3位に返り咲くこともできそうな気もしますが、すでに日本の実質GDP成長率は低下傾向にありますから、相場がどう変わろうと凋落する流れは変わらないという見方もあります。

その意味では、日本の市場規模はダウンサイジング中といえるのかもしれません。

愛車のサイズを小さくするという意味での「ダウンサイジング」は、車の買い方・買い替え方として、日本のモータリゼーションにおいては当たり前のトレンドになっています。

とくに高齢ドライバーはダウンサイジング志向が強く、そうしたユーザーを「ダウンサイザー」クラスタとしてまとめていくのもマーケティングにおける”常識”といえます。

齢55歳となっている筆者も、その例に漏れずダウンサイザーとしての車選びをしています。もっとも、それはポジティブな意味でのダウンサイジングだけではないかもしれません。

日本経済の低迷は”失われた30年”という表現もされますが、自分の車選びを振り返っても、どんどん厳しくなっていった日本経済を実感できるものとなっているような気がするのです。

個人的なピークといえるのは、おおよそ20年前。トヨタ・クラウン(18#系・ゼロクラウン)に乗っていたときでしょう。30代半ばにして『いつかはクラウン』を実現したのでした。

●取り回しやすさはダウンサイジングの利点

オープンカーをあえてファミリーカーとして使ってみたら意外と合うことに気付いたこともありました
オープンカーをあえてファミリーカーとして使ってみたら意外と合うことに気付いたこともありました

クラウンの次は、ザ・ビートルカブリオレに乗り換えました。すでに子どもはいましたが、ビートルカブリオレの後席であれば、チャイルドシートやジュニアシートを使って子どもを乗せても十分なスペースが確保できると思ったからです。

子どもが小さいうちに「オープンドライブを日常的に楽しめるのは、ファミリーカーとしてもアリ」という実感もありました。

もっとも親の思惑通りにはいかず、子どもに聞くと「なんだか酔いやすい車だった」と、けっして良い印象だけではなかったようですが…。

ザ・ビートルカブリオレから乗り換えたのは、日産リーフ(初代・30kWh車)でした。

初代リーフで電気自動車のある生活を実践したこともありました
初代リーフで電気自動車のある生活を実践したこともありました

すでに自動車コラムニストとしてWEBメディアで執筆する機会も増えていましたので、電気自動車のある生活をしておくべきと考えたのが、このときに考えていたことです。

毎日のようにリーフに乗っていたことで、電気自動車の乗り方(とくに電費を稼ぐ乗り方)が体に身に付いたという実感を得ることができたのは、仕事上のプラスになったのは間違いありません。

ただし、初代リーフではセグ欠けと呼ばれる、可視化されるバッテリー劣化がありました。当方のリーフもセグ欠けしたことで買い替えを検討。すでに50歳を過ぎていた筆者は、ついにダウンサイジングを決心するのです。

その背景には、いろいろな要素が複雑に絡み合っているのですが、シンプルに表現すれば「運動神経など肉体的な老化により運転スキルが落ちているので、小回りの利く、運転しやすい車に乗り換えたい」というのが、大きな理由のひとつといえます。

●260回以上続いた連載コラムの最終回です

現在の愛車はスズキ・エブリイバン(令和3年式)。購入時のメーカー希望小売価格は118万8000円
現在の愛車はスズキ・エブリイバン(令和3年式)。購入時のメーカー希望小売価格は118万8000円

選んだのは、スズキ・エブリイバン。小回り性と積載性の面からFRの軽バンがもっともニーズに合うと考えたからです。

なにしろエブリイバンの最小回転半径は4.1m。同じ軽自動車でも前輪駆動のスーパーハイトワゴンなどでは4.5m前後(例:スズキ・スペーシアは4.4m~4.6m)となりますので、小回り性重視であればリヤ駆動のバンが最適解なのです。

エンジンの上に運転席のあるセミキャブオーバーレイアウトは乗降性のマイナス面もありますが、視点が高くなることで見晴らしもよく、それも取り回し性に貢献してくれます。軽自動車までサイズダウンするほどではなくとも、ダウンサイジング志向のユーザーにクロスオーバーSUVが人気というのは、こうした視界の面から考えても納得です。

すっかり体の一部のように取り回しのできるエブリイバンが気に入り、もはや大きな車への乗り換えは考えられないとまで思うほどです。日本経済と同じく、自分のビジネスもスケールダウンしていることを考えると、軽自動車以外の選択肢がないというのが実際のところかもしれませんけれど…。

というわけで、2018年2月から260回以上も続いてきた連載『週刊車のミライ』は、これにて最終回となります。これまでご愛読いただき、本当にありがとうございました。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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