100%電気駆動になった日産・セレナを公道試乗。1.2リッターでも不足ない加速性能と驚きの乗り心地

ここまでは、ノートe-POWERに乗った経験から予想の範囲内ではあったのですが、いい意味で裏切られたのは車内の静粛性です。

シリーズハイブリッドというのは、エンジンは発電機として使われます。ですから、エンジンが回るときには3000rpmを超えたあたりの効率的に有利な回転域を使うことが求められます。それが好燃費につながるのです。そして、当然のことですがバッテリーに十分な電力があるときにはエンジン(発電機)は動かさないほうが燃費には有利。つまり、シリーズハイブリッドというのは「唐突にエンジンがそれなりの回転数で回りはじめる」という静粛性に対するネガを持つパワートレインということになります。

そうしたネガをノートe-POWERでは感じることもありました。しかし、セレナe-POWERにおいてはエンジンが動き出したことが気にならないのです。その理由は2つ、遮音性能の強化とエネルギーマネージメントの改善にありました。

遮音性能については、S-HYBRID車に対して25アイテムも仕様変更しています。たとえば、4層構造のセンターカーペットを日産として初採用しているほど注力しています。エネルギーマネージメントというのは、主に発電用エンジンの動かし方です。たとえば、効率面で不利になるのは承知で条件によっては低い回転数で動かしているということです。

加えて、ドライバーの意思で発電機を動かしてバッテリーを充電する「チャージモード」が新設されました。幹線道路などを走行中にチャージモードを選択してバッテリーを充電、住宅街ではマナーモードを選んで静かなEV走行を行なうといった走り方を選ぶことができるのは、いかにも電動車両らしいメリットです。

日産の計測によると、市街地走行(50km/h)での車内騒音レベルは同社の高級ミニバン「エルグランド」と同等レベルで、発進加速時に至ってはエルグランドよりセレナe-POWERのほうが静かだといいます。市街地で実感できた静粛性は数字でも証明されているのです。

■日産 セレナe-POWER ハイウェイスターV 主要スペック
車両型式:DAA-HFC27
全長:4770mm
全幅:1740mm
全高:1865mm
ホイールベース:2860mm
車両重量:1760kg
乗車定員:7名
エンジン型式:HD12DE
エンジン形式:直列3気筒DOHC
総排気量:1198cc
最高出力:62kW(84PS)/6000rpm
最大トルク:103Nm(10.5kg-m)/3200-5200rpm
駆動モーター型式:EM57
駆動モーター形式:交流同期電動機
モーター最高出力:100kW(136PS)
モーター最大トルク:320Nm(32.6kg-m)
駆動バッテリー種類:リチウムイオン
駆動バッテリー総電力量:1.8kWh
最終減速比:7.388
燃料消費率:26.2km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:195/65R15
メーカー希望小売価格(税込):3,404,160円

(写真:小林和久/門真 俊 文:山本晋也)

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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