100%電気駆動になった日産・セレナを公道試乗。1.2リッターでも不足ない加速性能と驚きの乗り心地

駆動モーターの最大トルクは320Nmと、S-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)のセレナを大きく上回っていますから、発進性能に不満はあるはずもありません。しかも、そこからスーッと雑味を感じることなく加速していくのです。CVTのマイルドハイブリッドであるS-HYBRID車もなめらかな加速性能を持っていますが、より力強く、そしてもっとスムースに加速していきます。

そして、回生ブレーキ(モーターによる発電を利用した減速)の能力が高いモーター駆動だからこそ可能になったワンペダルドライブは、アクセルペダルを緩めることで減速までもコントロールできます。ペダルの踏みかえがないため、空走区間が最小限になり、ギクシャク感もありません。むしろ全体になめらかに走ることができるのです。

乗り心地を考慮してソフト目のサスペンションとなっているセレナですから、ギクシャクした加減速をするとクルマが前後方向に揺れてしまい、逆に乗り心地が悪く感じてしまうこともありますが、ワンペダルドライブのスムースネスは、そうしたピッチングを減らす効果もあるため、2列目以降の乗員にも快適なドライブとなりそう。クルマに酔いやすい乗員にもやさしいのがe-POWERなのです。

また回生ブレーキの強さは速度に応じて変化します。低速では停止までカバーできるワンペダルドライブですが、速度が出ているときにペダルから足を離してもギューとブレーキが効いてしまうということはありません。とくに高速走行時には回生ブレーキを減らして、空走させるコースティング制御が入っているそうです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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