前回のその3で、初谷田部最高速計測に挑み、この時代の4A-G最速となる236.84km/hを記録したOPTスーパーMR2のDai稲田インプレをお届けいたしました。今回のその4ではメカニズムをチェックしましょう。シグマオートモーティブとマッドハウスの「本気」が詰まっています!
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これが236.84km/hをマークしたチューニングメカニズムだ!
シグマオートモーティブにMR2を持ち込んでから約1ヵ月。エンジン、ボディ、エアロと、すべて最高速トライを目標に製作されていた。シグマの時実氏、マッドハウスの杉山氏、ふたりともMR2がバンクを走る夢を見たと聞く。
<エンジンチューニング解析>耐久性重視がファーストトライのメインテーマ!
ファーストトライ用エンジンのメインテーマは、耐久性だ。とにかく第1回谷田部テストでデータが取れないと、今後のトライの目標値がつかめないからだ。なので、エンジン本体のメカチューンはシビアに攻めていない。
タービンはK26、エキゾーストハウジングはレース用の12番。ウエイストゲートもレース用のタイプE。これで目標210km/hオーバーの確信があった。
今回気を使ったのがヒート対策と燃料の増量関係だ。ミッドシップという冷却効率の悪いレイアウトとスペースの関係上、タービンとエンジン、T-VISがかなり近くにレイアウトされてしまう。さらにターボによりエンジンルーム内の温度が大幅に上がってしまうためにエンジンそのものの性能に影響してしまうからだ。
ノーマルでのマキシマムオイル温度は約90度だが、ここまでターボチューンをすると150度まで軽く上がってしまう。そこでオイルパンの増量とサブ、メインの2系統式のオイルクーラーを採用することで解決した。メインはフロントのラジエター前に配置しポンプで作動。サブはエンジンルーム下部に整流パネルと共にセット。トータルのオイル量は7L、ノーマルの2倍だ。
ラジエターはテストベンチ上で水温上昇が認められなかったために、今回はノーマルのまま。が、実車ではラジエター後部のバルクヘッドを切り取り、アルミでシュラウドを製作してマッドハウス製作のボンネット中央の開口部にエアを抜いた。
インタークーラーはブーストを1.2kg/cm2まで上げることを想定して水冷式のツインコアを採用。ICのラジエターコアはリヤウイング内にインサートする予定であったが、今回は省略。その代わりICのコアを取り付けたトランク内に大型の水タンクを設置、水と氷を詰め込んでラジエターの代用にした。3~4分の谷田部のトライなら、このシステムでも十分なのだ。