電動車両のキーデバイス「PCU」は小型化の歴史。プリウスは歴代の進化で半分のサイズに

具体的には、パワー半導体のサイズダウンと、冷却装置の改善がPCUの小型化につながっている要素になります。初代、2代目プリウスでは片面冷却構造だったのを、3代目では直接冷却構造へと進化させ、ついに4代目においてパワー半導体を挟むようにした「両面冷却構造」になったのです。

そしてパワー半導体は、初代・2代目がプレーナゲートだったのに対して、3代目からはトレンチゲートとするなど損失を低減すると同時に薄板化も進めています。なお、素子面積でいうと初代に対して4代目は半分以下のサイズとなっています。

こうして小型化したメリットはPCUの軽量化だけにとどまりません。PCUとモーターの距離が近づけることができるため、高圧ケーブルを短くできます。その違いは一目瞭然。初代では太いケーブルが何本も使われていましたが、4代目では手のひらサイズの細いケーブルとなっています。

そうした部分にまで配慮してPCUを設計することで、車体全体の軽量化にも寄与するというわけです。

(写真・文:山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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