「Z」はLかVか!? 最強スポーティカー、Z31誕生直前!【OPTION 1983年9月号より】

なぜOPTがこうも「Z」に固執するのか。その答えはそう、フェアレディは初代2シーターオープン、フェアレディの誕生以来、常に国産スポーティカーの頂点に君臨し、常にオレ達のスポーツ心を揺さぶってきた存在だからだ。旧Zがオールペンでバッチリ決めていたら気になるし、280Zの迫力ある力強い走りには一種の羨望の目が集まる。しかも最新鋭のGTが登場しても、チューニング幅の大きいZは最高速GPでもゼロヨンでも王者の座を死守している。このポテンシャルの高さにしても右に並ぶものはない。

そのZにモデルチェンジが追っている。ベールが剥がれてきた今、ニューZの全貌を黙っていることはできない!

大胆なショートノーズとフェラーリ風リヤがセクシー

このカラーイラストはほぼ全面的に実車のシルエットだ。こうした想像図はいろんなカー雑誌で見ているだろうが、OPTは「実車を見た」という関係者との共同作業でイラストをおこしたのである。全体的なシルエットは現行Zのイメージが残る。これは長年、親しまれてきたZと一目で分かるアイデンティティを踏襲するという考えからだ。しかし、細部は大胆に変化する。

ニューZのボンネット内にはV6パワーのVG型が収まる。このV6は現行L型の直6よりコンパクトでエンジン長が短いのが特徴だ。当然、ノーズが短くできてエアロダイナミクス的にも自由度が高い。そのうえヘッドライトはリトラクタブル式だからスラントノーズのカーブは空力的で、バンパー一体式の大型フロントスポイラーで揚力発生が抑えられるのだ。このリトラクタブルヘッドライトも細かいアイデアがあり、シェイド部の先端がスラントしてある。ボンネット上のエアスクープは突き出たバルジタイプでなく、NACAダクト形状をしている。

フロントウインドウからリヤエンドへかけてのラインは現行Zに似ているが、よりシャープな感じだ。ワイパーにフルコンシールドタイプが採用されたのも外観をスッキリ見せている。フロントホイールアーチとリヤアーチはやや膨らんで、ウエストアンダーラインで絞ってある。ここらにもダイナミック感がある。もっとも特徴的なのはリヤエンドのグラマラスな肢体だ。キャビン後端がやや絞ってあり、空力効果をアップしているのだが、フェンダー部とのダイナミックな曲面が、まるでフェラーリ308GTBを思わせる。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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