伝説の大川ソアラ&ABR-Zが昭和60年最新タイヤを最高速で試してみた!【OPTION 1985年12月号より】

■伝説の「ABR細木エンジニアリング・フェアレディ130Z」+F1育ちのミシュランは何km/h出るか!?

・5M大川ソアラはあっさりと300km/hオーバー!

昭和OPTION好きへ贈るclicccar「Play Back The OPTION」は今、1986年7月号から連載がスタートしたOPTION+TRUSTジョイントチューニング『スーパーソアラ7MG』記事を連続紹介しています。

そんな中、思い出したこの記事。スーパーソアラ連載の約半年前にOPTION誌に掲載したタイヤテストです。5M大川ソアラはもちろん「伝説マシン」なのですが、白×ピンクのこのZも、いろいろと!? ある意味「超伝説のZ」とウワサされる「ABRフェアレディ130Z」がOPT初登場したときの記事です。

では、1985年(昭和60年)当時の最新タイヤとはどんなものだったのか?と一緒に、ど~ぞ!

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【300km/hオーバーの最高速タイヤを過激テストする】

トラスト・ソアラ(309.27km/hの日本最速車)&ABRフェアレディZ(新チャレンジャー)
VS. ミシュランMXX(F205/55VR16/R225/50VR16)

チューンドカーのスピードは上がる一方だ。しかし、タイヤが大心配。

そこで最新の超高速用として発売されたミシュランのMXXを本気で300km/hテストしてみようというわけ。こんなテストはOPTしかできないノダ。

■ビクともしない高速安定性に脱帽

[テスト]まず300km/hの実績を持つトラスト・ソアラからトライしてみる。コースインした初めてのフィーリングは「固くてソリッドな感じ」だった。スラロームしてみるとステアリングの応答性がいい。いかにも剛性が高そうな味がする。

ツインターボのソアラはスムーズに加速。7000rpmでシフトアップしていく。さすが500ps近いトラスト・チューンの5M-Gはパワフルで5速にアップしても力強い。MXXは200km/h以上でステアリングを左右に切っても不安ない。ソアラの固めた足と絶妙にマッチしているのだ。

280km/h辺りのバンクでも安定している。そしてストレートだ。何の苦も無くソアラは5速7300rpm、300km/hをマークしてしまった。

MXXはまさに最高速テストのために作られたようなタイヤなのだ。このソアラも以前はバンクでアウトに振られていたというが、MXX装着ではピタッと路面に吸い付いている。

ただし、超高速走行のコツはある。エア圧だ。2.2kg/cm2くらいでは260km/hあたりからゴロン、ゴロンとトレッドの変形が発生する。この速度では3.0kg/cm2は必要と分かった。

このMXXはミシュランのF1レース技術がそのままフィードバックされている。だから高速安定性は抜群。それでいてコーナリングはグリップ限界を超えてもコントロールしやすい。グリップ力自体も高いが直進性も旋回性も、とにかく剛性感あふれるタイヤなのだ。これまでのハイパフォーマンスタイヤとは次元というか、目標が違う感じがする。

[特徴]タイヤ構造は強度の高いポリアラミドをケーシングに採用し、スチールベルトをアラミドで包み込む独自のターンアップ構造を持つ。一般的な高速領域ではほとんど変形しないような剛性だ。

もし難点をつければ、サスペンションの柔らかいクルマには合わない点だろう。つまり、固めのスポーティカーやチューンドカーには最適だ。

それにしてもMXXの素晴らしさもさることながら、トラスト・ソアラの完成度は凄い。いつでも300km/hオーバーできる実力だ。それも街乗りできるスムーズさで300km/hに達する。まるでBMWのアルピナをホットにしたようなトータルチューンの高さだ。

一方、新チャレンジャーのABR130Zはターボのオイルライントラブルでトライできなかったのが残念だが、今後の最高速テストにはミシュランMXXが必需品という感じがする。

凄いタイヤが出てきたもんだね。

■ABR130Zの可能性は?

V6が出てもDOHCが出ても、相変わらず人気の日産L型チューンで噂のABR。OPTでも最近注目していたけど、やっと谷田部に挑戦してきた。

カリッカリのエンジンとギャレットT04ツインターボの実力は500ps近いという。そのエアロボディも威圧的だ。

しかし、今回は4速8000rpmで5速にシフトアップする領域(250km/h辺りか)でドライバー側のアクリルウインドウが外れ、タービンのオイルラインにもトラブルが発生した。最高速テストでは誰でも経験する初期マイナートラブルだ。

しかし、パワー的には素質十分なので次回に期待!

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ウン、やっぱり「超伝説のZ」ABR号はトラブルに泣いてしまいましたね。しかし、今見てもこのABR・Zのエアロデザインはカッコイイです! カッコイイものは時代を越えても輝いていますよね!!

あ、ABR・細木勝さんは相変わらずお元気ですよ! 1年ほど前のですが2018年にお会いしたときの画像、貼っておきますね~! 駐車スペース…特に上段が妖しいです!!

[OPTION 1985年12月号より]

(Play Back The OPTION by 永光 やすの

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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