【東京モーターショー2017 コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】番外編・デザイナーの妄想を全開にした、いすゞ FD-Si

東京モーターショーに出展されるコンセプトカーから、各社注目車をピックアップ。担当デザイナー氏に速攻インタビューを試みました。第8回は番外編として、いすゞ FD-Siを取り上げます。

── これは2トン積み配送トラックの提案とのことですが、まずはデザインのテーマから教えてください。

「造形的にはバイオミメティクス(生物模倣)です。自然界の形態には必ず理由がありますが、たとえばカーゴボックスに施した蜂の巣の六角形は、スペース効率のよさと強度の確保があります。また、配送員が持つ荷物も六角形だと持ちやすいし、重さも感じにくいという発想も含めています」

── ボディ全体は2重構造になっていますね

「白のアウターシェルは強度部材になっていて、ブルーのインナーシャルであるカーゴボックスを吊っているイメージです。これからの素材の進化も見越し、アウターシェルはシームレスとした。これは軽量化も目的なんです」

── アウターもインナーも非常にプレーンな造形です

「プレーンでクリーン、シンプルですね。これは自然に街の風景にとけ込む存在でありたいのと、もともといすゞの造形テーマでもあるんです」

── フロントは、U字型のフロントランプがしっかりボディにとけ込んでいます

「このクルマは今後の3Dプリンターの発展を意識した造形で、フロント部分も同じです。ただ、実際にはここまで落とし込むのに非常に苦労しましたね」

── では、このトラックは今後のいすゞのデザインの方向性を示していると考えてもよいでしょうか?

「今回は、枠にとらわれない自由な発想で、いかに将来の物流を快適にできるかのトライです。そのため、デザイン部が真剣に遊びつつ妄想を全開にし(笑)、次のステップに移るための跳躍力を付けたいということです」

── 本日はありがとうございました。

(語る人)
いすゞ自動車株式会社
デザインセンター プロダクト第1グループ
グループリーダー 林啓史 氏

(インタビュー:すぎもと たかよし)

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この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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