マツダ VISION COUPEは日本人の感性【東京モーターショー2017 コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

東京モーターショーに出展されるコンセプトカーから、各社注目車をピックアップ。担当デザイナー氏に速攻インタビューを試みました。第5回はマツダVISION COUPEです。

── はじめに。今回提示された「魂動」第2章の考え方について教えてください

「SHINARIの表現から一歩進むために、日本人が考える引き算の美学、要素を集約することで強さを出すデザインを考えました。これは新型CX-5よりもさらに先の考え方です」

── たとえば、特徴的なボディサイドのラインは見当たりませんね

「アート・オブ・ライトと呼んでいますが、線ではなくボディに映り込む光をコントロールすることで、情緒やエレガントさまでを表現したい。クルマを1周して見ると、常に光が変化することが分かってもらえると思います」

── ボディとキャビンの比率はどのように考えていますか?

「今回はプロポーションとフォルム、エレメントという3要素を同時に考えることにチャレンジしました。非常に難しいことですが、だからこそどこから見てもプロポーションや光の動き、エレメントに1本の軸がとおっている」

── 一方、ノーズの表現には非常にシャープなものがありますね

「クルマは単体ではなく人とのつながりもある。そこには、そのクルマの世界観を感じさせるリアルな雰囲気も必要です。単にシンプルだけではダメなんですね」

── 滑らかさの表現としてプレスドアを使うような手法ではなく、たとえばAピラーの細さなどはかなり繊細なイメージです

「スティールメタルを叩き出したような見せ方ですね。ピラーなどは、少し崩しを入れたような微妙なバランスの取り方によって、スピード感やエレガントさを出しています」

── このテーマはデミオからCXー8など、ラインナップ全体に反映することは可能ですか?

「R360クーペなど、今回はマツダのクーペの歴史の中での提案と考えています。繊細だけど力強い、日本人だけがキャッチできるような表現を見てもらいたいですね」

── 本日はありがとうございました。

(語る人)
マツダ株式会社
デザイン本部 アドバンスデザインスタジオ
クリエイティブデザインエキスパート
岩尾典史 氏

(インタビュー:すぎもと たかよし)

【関連リンク】

【東京モーターショー2017コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

第1回「トヨタ Tj CRUISER」
https://clicccar.com/2017/10/26/524603/

第2回「ダイハツ COMPAGNO」
https://clicccar.com/2017/10/27/525146/

第3回「三菱 e-EVOLUTION CONCEPT」
https://clicccar.com/2017/10/29/525927/

第4回「日産 IMx」
https://clicccar.com/2017/10/31/526432/

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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