── ランプは、先代のように厚さがある方が背高のSUVとして表現しやすいと思えますが
「先代の大きな目が若々しさだとすれば、大人の精悍な表情として、キリッとした目つきにしたかった。これは、同時に全車LEDを使ったという技術面の話もありますね。また、今回は顔の位置全体を下げているので、この薄いランプでの表現が可能になったわけです」
── アンダーグリルは最近では珍しく横方向の表現で、かつ要素も最小限ですね
「ふつうは要素を盛ってグラフィカルに見せてしまうのですが、やはり面のニュアンスで見せたかった。横一線の表現をすることで、よりワイドで低重心に、スタンスのよさを目指しています。まあ、写真ではなかなか分かってもらえないんですけどね(笑)」
── 先代と異なり、ボンネットラインをそのままショルダーに流したのはなぜですか?
「先代はフロントにふたつの動きがありましたが、ここを「ひとつの大きな動き」とし、その先端はリアタイヤにしっかり荷重が掛かる表現にしました。これはモデラーさんが自主活動で作ったオブジェがヒントになっていて、フロントの「線」がリアに向けて微妙な「面」の表情になることで、エレガンスさも出せたと思います」
新型の「引き算のデザイン」は、フロントではとくにアンダーグリルに明快に現れているようです。要素を減らした分の造形をどう考えるのか。後編はボディサイドの面作りから話を聞きます。
[お話を伺った方]
マツダ株式会社
デザイン本部 チーフデザイナー
諫山慎一
(インタビュー:すぎもとたかよし)