守るべきものはデザインの「芯」!新型ワゴンRが求めた変化とは?(後編)

変化を求められた新型ワゴンRは、3つの顔で登場となりました。では、先代のイメージからどのように脱却をしたのか。デザイン・インタビュー後編は特徴的なボディサイドからインテリアまでを伺います。

── パーソナルな前半分と実用的な後半分仕切るBピラーは、商用車風にナナメになっています。

「新型は、ボディの張りのピークが従来より高く、ちょうどBピラーの下にあります。そのピークのハイライトをしっかり出すために広いパネル面が欲しかったんです。同時に、ドアのカットラインもちゃんと見せて、ドアとしての機能も表現しました」

── ピラーの上を「切る」のは最近の流行ですが、ワゴンRではどんな意図がありましたか?

「初期案ではピラーがつながっていたのですが、やはり縦長感が強くワゴンに見えませんでした。そこで、ルーフを長く見せる効果も兼ねて採り入れたんです。「切る」位置は、用品のドアバイザーが付くギリギリのラインとしています。あまり短くすると単なる象徴になってしまうので」

── ルーフを長く見せるなら、リアまで抜いてしまう方法もありますが?

「それも検討しました。ただワゴンRは、初代からリアのピークの折れがショルダーより高い位置にあるのが特徴なんです。なので、そこをガラスにしてしまうと折れを下げなくてはいけません。しかし、それではワゴンRとは言えなくなってしまいます」

── キャラクターラインはつまみ上げたような線で、ちょっと変わっていますね

「ボディの側面は、逆Rを付けずに折ってしまうと「ぶっきらぼう」に見えてしまうんです。今回は、キャラクターラインの下の面にも張りを作っていて、あたかも下のボディに上のボディが乗っているかのような表現を考えました。その境に、このめくれたようなラインがあるということです」

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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