しかし、燃費改善されてもこれだけ機械が制御してしまうと運転がつまらないのでは?と考えてしまうかも知れませんが、それは心配ありません。マツダは“Be a driver”というキャッチフレーズを掲げて、どんなボディタイプであっても走りが退屈なクルマは造らないと決めているからです。それは実際にハンドルを握るとよく分かります。
CX-5は全長4540×全幅1840×全高1705mmというSUVサイズですが、420N・mというクリーンディーゼルエンジンの太いトルクによって軽快に走ります。高速道路での追い越しやワインディングでのコーナーからの立ち上がりの加速の鋭さはSUVの中ではトップクラスのパフォーマンスです。しかも高い静粛性も魅力です。高いアイポジションによりドライバーの視界は非常に良いです。しかも背の高いクルマにありがちな横揺れが最小限に抑えられていますので、乗っている全員が快適に移動できます。
一方のCX-3は全長4.3mのコンパクトサイズのクルマとは思えないほどのシットリとした乗り味が特徴です。AWD車用にセッティングされたサスペンションはリアの接地感が高く、タイヤがどれくらい仕事しているのかがドライバーに非常にわかりやすいです。高速道路での直進安定性だけでなく、ワインディングでのタイヤのグリップ力がドライバーに伝わりやすいため、どんなシーンでも運転が楽しめます。
そして両車ともに都心部やワインディングを走行していてもAWD車に乗っているという印象はほとんど感じません。高速道路の継ぎ目やアンジュレーションのあるワインディングそして落ち葉が埋める道路、どんな路面状況が変化しても、電子制御よる介入でドライバーが違和感を感じませんでした。
これはマツダのAWDは運転の主役はあくまでもドライバーで、電子制御はあくまでもサポートという考えに基づいているからです。これはCX-5、CX-3ともに2WD車でしっかりとクルマの乗り味が決まっているからこそ、運転していて楽しいAWD車が生まれるのです。
マツダのAWD車は運転にあまり自信のない人にはそっと手を差し伸べて、運転が上手い人にはクリーンディーゼルの圧倒的なパワーを存分に楽しませるという制御をしているのです。マツダのAWD車が降雪地域で無くても選ばれるのは、誰でも自分の運転が上手になったように感じてクルマを楽しめるようにAWDシステムがこっそりと仕事してくれるクルマだからです。
低燃費とハイパワーそしてエコカー減税の対象となる高い環境性能を兼ね備えたマツダのAWD車はコンパクトカーのデミオからフラッグシップのアテンザまでラインナップ。きっとアナタの使い方にマッチしたクルマが見つかるはずです。
(文:萩原文博/撮影:前田惠介)