【週刊クルマのミライ】日系メーカーも力を入れる中国EV事情。2019年6月の販売台数は前年の2倍以上!

■自動車バブルは弾けたといわれるけれど、電気自動車の販売台数は爆増している

いま世界の自動車市場をけん引しているのは中国市場といわれています。実際、中国自動車工業会(中国汽车工业协会・China association of Automobile  Manufacturers)の発表を見ても、直近2019年6月の中国国内での生産台数は189.5万台、販売台数は205.6万台の規模となっています。同じ時期の日本市場での販売台数は乗用車からバスまで合計しても29万台ですから規模感でいえば7倍となっています。

とはいえ、中国の自動車市場は好調に伸びているわけではありません。205.6万台という大きな市場ですが、これでも前年同月比でいうと9.6%のマイナスとなっています。中国市場はピークアウトしたといわれることもありますが、たしかに数字の上では減少しています。

そうした中で、ブランド国別でいうと唯一伸びているのが日系ブランドということです。

トヨタ、日産、ホンダといった日系の大手ブランドは軒並み中国市場に電気自動車(BEV)を投入することで勢いを増そうとしています。そういえば、中国の自動車市場はBEVについて世界の中で先行しているというイメージがあります。その点についても中国自動車工業会のレポートでは数字が明らかとなっています。

2019年6月に中国国内で生産されたBEVは11.3万台、BEVの販売台数は12.9万台。なんと新車販売の6%がBEVとなっているのです。これは明らかに世界的に大きい比率であり、中国政府の進めるNEV(新エネルギー車)政策による成果だといえます。もっとも、いわゆる出羽守から大袈裟に伝わる情報では、中国は電気自動車ばかりになっているように思えます。そうしたイメージからすると、それほどBEVが多いわけではなく、あくまでも主流は従来からのエンジン車ということも、この数字は示しています。

ちなみに、2019年6月に販売されたBEVの12.9万台という数字は前年同月比で106.7%増ですから、まさに倍増。上半期(1月~6月)で見ても、BEV販売台数は49万台(前年同期比56.6%増)と驚くべきスピードで成長しているカテゴリーなのは間違いありません。

中国でNEVに含まれるのはBEVのほかにはPHEV(プラグインハイブリッド車)とFCV(燃料電池車)ですが、同じく6月の発表値を見ると、NEV全体での販売台数は15.2万台といいますから、大半はBEVということになります。PHEVは2万台程度、FCVは500台弱となっています。PHEVは減少しているのに対して、FCVは前年比で14.6倍と大きく伸びているのは中国市場の特徴といえそうです。

FCVの市販化については、日本のトヨタとホンダがリードしているのは知られているところですが、こうした技術力をベースに中国自動車市場において日系ブランドが強みを見せていくかどうか。今後の動きについては政府の判断に左右される部分も大きいでしょうが、中国の次世代自動車政策は日系ブランドへの影響を含めて、ますます注目です。

(山本晋也)

【関連リンク】

2019年6月汽车工业经济运行情况
http://www.caam.org.cn/chn/1/cate_2/con_5224869.html

 

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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