【日産・リーフ ニスモRC試乗】「まだまだ速くなれるけど、クルマとしての面白みも残す」。開発ドライバー・松田次生選手に話を聞く

電動レーシングマシン「NISSAN LEAF NISMO RC(日産リーフニスモRC)」の開発を初代から担当しているのが、スーパーGTでも活躍するレーシングドライバーの松田次生選手。今回、短い時間ながらお話をお聞きできまし。

── 先代に比べてやはりかなり速いマシンになっているのですか?

松田:モーターが1つ増えていますし、出力もアップしているのでそれは速いです。もちろん先代よりもパワーで速くなっている分もありますが、シャシーで速くなっている部分も多くあります。

── 袖ケ浦のタイムがかなりアップしていますよね?

松田:先代が1分15秒86で、新型が1分10秒34なんでかなり速いですね。しかも先代はSタイヤ、新型はSタイヤではないスポーツタイヤでのタイムです。さらにスリックタイヤでは1分08秒18が出て、これはコースレコードになってしまいました。

── 市販スポーツタイヤからスリックタイヤに替えると、ボディ剛性の感じなどがよくわかると思いますが、そのあたりはどのような印象だったのでしょう。

松田:そのとおり! 普通、ノーマルタイヤ用のマシンにスリック付けるとけっこうボディがよれちゃう感じがしますが、このマシンはそうしたことがないです。キッチリカーボンモノコックで作ってありますから。だから今のタイヤの状態だと、ボディやシャシーが完全にタイヤに勝っている状態ですね。

── コーナリングは安定指向なのでしょうか?

松田:初代はミッドシップの後輪駆動だったので、スピンモードに入るとスピンを回避するためにタイムが落ちてしまいましたが、今度のマシンは4WDなので、スピンしそうになったらアクセルを踏んでいけばクルマが前に進んでくれます。そこが圧倒的に楽で速くなる部分ですね。

── いわばGT-Rのようなコーナリング特性なのですね。

松田:言ってみればそうです。現状では、前後のトルク配分を積極的に制御していないんです。これを制御すればもっと安定して速く走れると思いますが、クルマとしては面白みが欠けてしまういますので、あまりそうしないようにお願いしています。

── ありがとうございました。

(文/写真・諸星陽一)

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この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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