■軽自動車ユーザーはハンドルカバーをつけたがる人が多い。だから丸いハンドルの必要がある
2020年3月19日に発売された日産の新型軽自動車「ルークス」は、軽自動車の売れ筋であるスライドドアを採用したスーパーハイトワゴンの最新モデルです。前モデルでは「デイズルークス」とデイズ・ファミリーでしたが、フルモデルチェンジを機に、あらためて「ルークス」として独立しました。
ほぼ一年前にフルモデルチェンジしたデイズと同様にエンジン、プラットフォームが一新されたルークスには、もちろん日産の先進運転支援システム(ADAS)である『プロパイロット』が採用されています。
しかも、カメラとミリ波レーダーを併用した最新版といえるもので、軽自動車だから廉価版ということはなく、フルスペックのADASを搭載しているほど力の入ったモデルです。
日産のADAS「プロパイロット」といえば、セレナなど他モデルでも評価の高いのは知られているところで、ステアリングホイール(いわゆるハンドル)の右スポークにあるプロパイロットのボタンは、最新の日産車におけるテクノロジーアイコンとなりつつあります。
さて、セレナとルークスのインテリアを並べて比べると、ステアリングホイールの形状が異なることに気付くでしょう。セレナはボトムがフラットなDシェイプでいかにも未来感がある形状ですが、ルークスはオーソドックスな円形のステアリングホイールとなっています。
こうした違いには、いくつかの狙いと理由があるといいますが、とくに市場から『丸いハンドル』を求める声が強かったのも理由のひとつだといいます。
ユーザーが丸いハンドルを好むわけは定かではないといいますが、実際の使われ方を考えると、おそらく軽自動車オーナーに流行しているハンドルカバーをつけたいというニーズも含まれていることでしょう。スポーティであったり、プレミアムであったり、いろいろなキャラクターが描かれていたりするハンドルカバーは人気アイテムで、それをつけるには丸いハンドルのほうが都合がいいからです。
たしかにDシェイプ対応のハンドルカバーもありますが、価格や意匠の選択肢でいうと丸いタイプのほうが豊富です。
ステアリングというのは重要な部品であり、そこにハンドルカバーを装着することはメーカーとしては推奨していないでしょうが、ユーザーの声にはそうしたアイテムを装着したいというニーズが隠されていることは間違いないでしょう。
たかがステアリングホイールのカタチと思うかもしれませんが、こうした点をとってもルークスが日本専用車である軽自動車として、日本のユーザーに最適化して開発されたことが感じられます。
(自動車コラムニスト・山本晋也)