新型人気で中古車相場に異変アリ! 中古のスズキ・ジムニーを今買うならJA11型を狙え【気になる中古SUV・バイヤーズガイド】

■新型発売に伴い、なぜか旧型の人気まで上昇中のスズキ・ジムニー

●注目はジムニーらしい角ばったスタイルの2代目

2018年7月、実に20年ぶりとなるフルモデルチェンジを遂げたスズキ・ジムニーは、現在、高い人気を維持しています。発売時からしばらくは、納車までに1年半も時間がかかるほどでした。ここまで人気が高まった背景として、先代となる3代目が丸いデザインを採用していたことが考えられます。

日本の道路事情に合った本格4WDとして、1970年の発売から代々ジムニーは山間在住者だけでなく、ラフロード愛好家たちからも支持されてきました。高い悪路走破性はもちろんですが、その無骨なスタイリングも人気の理由です。

しかし、1998年に発売された3代目では、オンロード寄りの走行性能や曲線を多用したデザインに変わりました。これがマニアたちから敬遠されたのでしょう。2018年に発売された新型の4代目では、悪路走破性がより追求され、スタイルも角ばったジムニーらしいデザインに回帰しました。これが今も続く高い人気の理由です。

ところが、新型が発売されたことで旧型ジムニーの人気まで高まるという現象が起こっています。一体何が起こっているのでしょう。神奈川県・町田市にある中古ジムニー専門店のウエルストンさんへ向かい、お話を聞いてきました。

ウエルストン
中古ジムニーの専門店、ウエルストンさんで今回はお話を聞いています。豊富な在庫数を揃えていますが、ストックのままではなくボディの全塗装や内外装パーツを変更するカスタマイズ車両が人気だそうです。

お話を伺ったのはウエルストン店長の中島隆さん。ウエルストンさんは町田市で長年、中古軽自動車を扱ってきた老舗販売店です。以前はホンダ・ビートやスズキ・カプチーノなどのスポーツカーをメインにしてきましたが、現在ではジムニーを専門にしています。その取扱車種を変えた理由からして、現在のジムニー人気がうかがえるというものでした。

中島店長
ウエルストン店長の中島隆さんは軽自動車の中古車ならスポーツカーからジムニーまで、どのようなモデルにも精通しているスペシャリストです。ボディの状態が良いものだけを仕入れているそうです。

「新型ジムニーの情報が、発表の2年前から入ってきました。どうやら新型では角ばったスタイルに戻るらしいと聞いて確信したのです、またジムニーがブームになると」。
その中島さんの読みは的中します。新型が発売される前からジワジワと中古ジムニーの人気が高まり、それは発売後に爆発的なものになったのです。

「新型を契約しても納車に1年から1年半ほどの時間がかかります。でも、新型を契約したお客さんは一刻も早くジムニーに乗りたいのです」。そこで新型が納車されるまでの間、中古のジムニーに乗るという人が急増したというわけです。

一般的に中古車を買う場合、年式が新かったり走行距離が短かったりするものを選ぶことが多いと思います。ところが、新型ジムニーを契約して納車されるまでの間に中古ジムニーに乗りたいという人は、選び方が異なるそうです。

前述しましたように、ジムニーは1998年に発売された3代目(JB23型)で曲線的なスタイルになります。このJBではなく角ばったスタイルだった1990年発売の2代目中期(JA11型)や1995年以降(JA12型、JA22型)に人気が集まっているというのです。

●1970年に誕生したジムニーの歴史を振り返る

初代ジムニー【LJ10】

L10
1970年に発売された初代ジムニーLJ10型は360ccの2ストロークエンジンを搭載するホロ型のみでした。1972年にバンを追加、1976年にエンジン排気量を550ccにアップしています。

2代目ジムニー【SJ30】

SJ30
ジムニーは1981年にフルモデルチェンジを受け2代目SJ30型に進化します。初代同様、2代目もすでに中古車市場に出回ることは稀ですが、SJ30型は4ストロークエンジンのJA71型発売後となる1987年まで生産された人気モデルです。

2代目ジムニー【JA71】

JA71
搭載エンジンを4ストローク水冷3気筒ターボに変更したJA71型が1984年に発売されました。5速ミッションが採用されたこのモデルでは、1987年にインタークーラーも装備されました。高速走行での快適性が大幅に向上しています。

2代目ジムニー【JA11】

JA11
1990年には軽自動車規格が変更されたことに伴い、エンジン排気量を660ccに拡大したJA11に進化しています。1992年からはパワーステアリングを標準装備するグレードが設定され、より快適になっています。

2代目ジムニー【JA22】

JA22
1995年にマイナーチェンジされ、それまでのリヤ・リーフリジッドだったサスペンションを3リンク式コイルスプリングに刷新しました。JA11と同じエンジンのJA12型とDOHCターボエンジンを搭載するJA22型があります。

3代目ジムニー【JB23】

JB23
1998年にフルモデルチェンジして3代目JB23型に進化します。衝撃吸収構造のシャーシとなり快適性を大幅に引き上げています。5速MTの他に従来3速だったATを4速に進化させ、5ナンバーの乗用車のみでスタートしました。

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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