新型人気で中古車相場に異変アリ! 中古のスズキ・ジムニーを今買うならJA11型を狙え【気になる中古SUV・バイヤーズガイド】

●JB型よりもJA型の方が相場が高い逆転現象が発生!?

確かに中古車相場にはJA型の人気が反映されています。ウエルストンさんでは「ボディにサビがないものしか仕入れません」ということで、JA型の販売価格は50万円が下限です。全般的な中古車市場では、下は30万円前後から、上はカスタムしてあったり手直ししてあったりするもので120万円ほど、という状況です。

ところがJB型になるとガクンと相場が下がり、2005年式前後までのものだと50万円以下で選べるものが大半。中古車相場で逆転現象が起こっているのです。

ジムニーの中古車では走行距離が伸びているケースが多く、5万キロ以上は当たり前、10万キロ超えも普通に流通しています。もちろんJB型でも5万キロ未満の走行距離なら50万円以上の相場となり、2006年以降になると80万円や90万円といった売り物が多くなります。2010年以降では100万円を超えるものが一般的になるのですが、それらはいわば普通の中古車です。

面白いのは、初度登録から13年を超えて軽自動車税が約20%近くアップする年式の中古車です。どうせ税率が上がってしまうのであれば、古くてもスタイルが良いものを選びたいという人が多いのでしょう。JB型の前期モデルよりJA型が人気になったため、中古車相場も上になってしまったのです。

中古のジムニー
現在、中古車市場で人気のジムニーが1990年に発売された660ccエンジンを搭載するJA11型です。ウエルストンさんでは豊富なベース車を在庫していますので、自分好みにカスタムすることが可能です。

この状況は、今後も続くのでしょうか? ウエルストンの中島さんによれば、JA型の人気は今度も継続されるだろうとのことです。なぜかといえば、JB型以降になってジムニーが普通の乗用車に近づいたことが理由のようです。乗り比べると一目瞭然なのですが、JB型からは旧来のジムニーのような不便さを感じることはありません。よく言えば普通の乗用車として乗れます。逆を言えば、旧来のジムニーが備えていた本格4WDらしい荒々しさが希薄なのです。

これはクルマが進化するという意味で、至極もっともなことです。ただ、ジムニーというクルマは特殊です。ジムニーに求めるものは荒野や山間の道無き道を縦横無尽に走り抜けることができる走行性能と、それが分かりやすく運転手に伝わる車体構成だということです。

例えば以前のジムニーだと固定軸のリヤサスペンションにリーフスプリングが採用されていました。これがJA12型以降ではコイルスプリングになります。JA12や22型、さらにはJB型ではサスペンションストロークが短いため、舗装路では快適な乗り心地ですが、悪路になると簡単にタイヤが浮いてしまいます。したがって、多少乗り心地が悪くても悪路での走破性を重視するならJA11型まで遡ってしまうことになるのです。

これからもオフロード性能を重視したり、荒々しい乗り心地や不便さを楽しめるような人から、旧型ジムニーは支持され続けることでしょう。特にJA12型より前のモデルで、その傾向が顕著になるはずです。

●660ccエンジン&リーフスプリングのJA11型に注目

では、今後も注目される2代目ジムニーの660ccモデルについて、購入時のポイントをご紹介しましょう。同じ2代目でも550ccエンジン時代のSJ型やJA71型は、もはや一般的な中古車ではありません。程度の良いものが少なくマニアックなアイテムと考えるべきで、程度の良いものがあったとしても法外な値段が付いていることが珍しくありません。

注目すべきは、軽自動車規格が変更され、エンジン排気量の上限が660ccになった後の2代目、JA11型です。JA11は1990年から1995年10月までのモデルで、フルメタルドアとバン、パノラミックルーフなどのボディバリエーションがあります。いずれも相場はボディタイプより程度が重視され、トランスミッションでは5速MTが人気です。だからと言ってAT車の相場が極端に低いわけではなく、その差は偏差です。

1995年11月以降のJA12型は生産期間が短く、中古車市場に出てくる数も少ない傾向です。そのため中古車市場で選びにくいモデルと言えます。同時期に発売されたJA22にはDOHC4バルブターボエンジンが採用されましたが、これが問題です。アルミ製シリンダーヘッドが採用されたためか、中古車ではエンジンに不具合が起こる確率が高くなっているそうです。ウエルストンさんではトラブルになった数が多く、エンジンを載せ換えて対処しているとのこと。

お話を聞いたウエルストンさんでは、中古ジムニーを販売するにあたり全車エンジンルームのホース類や本体のタイミングベルトなど、消耗部品を交換して納車されています。古いモデルのトラブルを未然に防ぐためだそうです。

ジムニーといえば、カスタムが人気でもあります。ウエルストンさんではアフターメーカーのパーツを使用したカスタムに対応しており、自社でボディの全塗装や内装のイメージチェンジを行っています。

全塗装する予定のジムニー
自社でカスタムを行うため整備工場だけでなく塗装ブースまで備えています。取材時にもボディから部品を取り外して全塗装する予定のジムニーがありました。
ボディ内側
ここまで分解するとボディに出ているサビを見落とすこともありません。
ルーフ
内装ではルーフを張り替えシートやドア内張にも手を加えています。

定番のリフトアップに加え、前後バンパーを変更してボディカラーをオリジナル色にすれば、古いモデルという意識が吹き飛ぶほど可愛らしいクルマになります。今回はウエルストンさんでカスタムされた中古車をご紹介しましょう。

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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