スズキ「ジムニー5ドア」は、発表されたインドでも客がもみくちゃになるほどの大人気【インド国際自動車ショー】

■「ジムニー5ドア」、残念ながら現在のところ日本への導入はありません!(スズキ広報部談)

カスタムカーの祭典である、東京オートサロン2023が1月13日(金)~15日(日)、3日間の会期を終えて終幕しました。千葉県にある幕張メッセには3日間で17万9434人が来場しました。

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ジムニー5ドア車とフロンクスの発表シーン

この東京オートサロン2023の開催中に、インドのデリーでは国際自動車ショーのオートエキスポが開催されました。

インドといえば、2022年の新車販売台数(乗用車と商用車の合計)が472万台と、対前年比26%で過去最高を更新しています。この数字は日本の約420万台という販売台数を上回り、インドは中国、そしてアメリカに次ぐ世界第3位の市場となりました。

このインドの乗用車マーケットで大きなシェアを占めているのが「マルチ・スズキ」です。マルチ・スズキは日本のスズキ株式会社のインド子会社で、2022年のインドにおける乗用車マーケットでは、約41.6%のシェアを占めている圧倒的な存在です。

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コンセプトモデルのeVX

ただ、現在でも4割以上のシェアを占めていますが、かつて5割を超えていた時もあり、勢いが衰えています。その理由は、SUV市場台頭の流れに乗れていなかったことが挙げられます。

そこで、今回のデリーで開催されたオートエキスポで、マルチ・スズキは2025年までに市販化を予定している、BEVの世界戦略モデルのコンセプトモデル「eVX」を発表しました。

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コンパクトSUVのフロンクス

そして、ガソリンエンジンを搭載したフロンクスと,ジムニー5ドア(日本名:ジムニーシエラ)を発表しました。

フロンクスは、力強さと流麗さを際立たせた、新しいクーペスタイルと取り回しの良さを備えた新ジャンルのSUV。迫力と厚みのあるフロントグリルと、リアへ向かって美しく傾斜を描くクーペスタイルが特徴のSUVです。

フロンクスのボディサイズは、全長3,995mm×全幅1,765mm×全高1,550mmと、日本の都市部に多く存在する立体駐車場に対応しています。搭載するエンジンは、1Lターボと1.2L自然吸気の2種類です。

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ジムニー5ドア車のフロントスタイル

そして、マルチ・スズキのプレスカンファレンスで最も注目が高かったのが、ジムニー5ドアです。日本で販売されているジムニーシエラをベースに、5ドア化したモデルです。

インド仕様のジムニー5ドア車のボディサイズは全長3,985mm×全幅1,645mm×全高1,720mm。ホイールベースは2,590mmとなっています。

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ジムニー5ドア車のリアスタイル

日本で販売されているジムニーシエラと比べると、全長は+435mm、全高は-10mm、ホイールベースは+340mmと、ロングホイールベース化され、リアの居住性も向上させているのが特徴です。

ただし、搭載しているパワートレインは1.5Lエンジン+5速MT/4速ATで同じです。

2018年に日本で生産・販売を開始した4代目ジムニーは、欧州や大洋州などへも輸出され、大ヒット。インドでも2020年11月より輸出専用車として生産開始し、アフリカや中南米などへ輸出されています。

ジムニーシエラの人気は、販売開始から4年が経過した現在でも、1年~1年半と新車の納期が長期化しているほど。この5ドアモデルが日本市場に導入されるとしたら、もっと長期化する可能性があります。

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もみくちゃ状態のジムニー5ドア車。近づくのも大変だった

5ドアモデルの日本導入について、広報部に確認したところ、インドで生産するので現在のところその予定はない、とのことでした。

現地を訪れたカメラマンによると、ジムニー5ドアの人気はすさまじく、コロナ禍がおさまりつつあるとはいえ、想像を絶するような密状態だったとのこと。この密状態は東京オートサロン2023を超えるほどということでした(※東京オートサロン2023は「感染防⽌安全計画」の上、3日間合計18万人上限にて開催)。

日本だけでなく、海外でも人気のジムニーシエラ。販売から4年が経過した現在でも、新車の納期が短縮されない理由は、海外のモーターショーを見れば納得できます。

(文:萩原 文博、写真:スズキ自動車、小林 敦志)

この記事の著者

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萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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