国交省が燃費算定試験法を改正!「風洞法」を追加へ

国土交通省が4月4日、乗用車の排出ガス&燃費算定試験法を改正、「風洞法」による走行抵抗値の測定法を追加し、同日から施行すると発表しました。

これは自動車メーカーが燃費テストを行う際、定められた惰行法(屋外)による走行抵抗値の測定が横風等、気象条件により安定しないことに加え、昨年大きな問題になった、走行抵抗値の意図的な改ざんによる燃費不正を防止する目的があるとみられます。

従来から国交省が定めている「惰行法」は以下となっています。

・時速20km/hから90km/hまでの10km/h刻みを基準に+5km/hで走行
・その後ギアをニュートラルにして基準-5km/hまで減速する時間を測定
・時速90km/hなら、95km/hから85km/hまで減速する秒数を測定
・測定は往路3回及び復路3回行い、その平均値を求める

こうした背景を踏まえ、国交省は今回の改正で、屋内の風洞内に設置したシャシダイナモにより各指定速度において測定される路面抵抗、及び空気抵抗に基づいて算定した走行抵抗値を使用することを認めました。

また同省は、カタログ燃費と実燃費の乖離が大きいとの声に対応すべく、2018年10月より欧州基準準用による「WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)の導入を予定しており、事前テストでは現行のJC08モード比で平均車速が上がるため、ハイブリッド車や軽自動車の燃費が低目に出るとしています。

「WLTP」では市街地・郊外・高速道路のパターン別数値も公表されるので、車種による特性の違いも出せるとしており、より現実的な燃費がカタログに掲載されることになりそうです。

ちなみに、国交省が3月29日に発表した2016年末時点で販売されている普通・小型自動車、軽自動車を対象にした2016年版「自動車燃費一覧」で、「燃費の良い乗用車ベスト10」と、「平成27年度燃費基準達成・向上達成レベル ベスト10」を発表(参考リンク)。

こうしたランキングも今後「WLTP」の導入で大きく変化することになりそうです。

Avanti Yasunori

【関連記事】

2018年10月以降の新車に義務づけられる新燃費基準「WLTPモード」とは?
https://clicccar.com/2017/03/24/456704/

元初代プリウス開発者が精査した三菱自動車の開発実態は?
https://clicccar.com/2016/08/04/390331/

スズキの報告から見えてくる燃費試験「惰行法」の課題とは?
https://clicccar.com/2016/05/22/372757/

国交省が2018年内に導入する新燃費基準「WLTP」とは ?
https://clicccar.com/2016/05/19/372611/

【関連リンク】

国土交通省報道発表資料
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000182.html
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000180.html

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる