カーシェアリング市場が拡大!カーシェア先進国スイスとの意外な共通点とは?

近年になって日本国内のカーシェアリング市場の急成長が目立つようになりました。

カーシェアリング

交通エコロジー・モビリティ財団によると、2013年1月時点で日本のカーシェアリングのステーション数は約5600カ所(前年比32%増)、会員数は約29万人(同73%増)、車両台数は約8800台(同36%増)となっており、2013年中には会員数30万人、車両台数が1万台に達する見込みとか。

しかも日本のカーシェアリング市場は更に現在の5倍に拡大する可能性が有ると言います。 

出展 交通エコロジー・モビリティ財団
出展 交通エコロジー・モビリティ財団

カーシェアリングは公共交通機関を補完する形で1987年にスイスで発祥。

「クルマを利用したいものの、利用回数が少ない為、買うつもりはない」と考えていた27人が共同出資で2台のクルマを購入したのが始まりで、やがて欧州を中心に広まり、90年代には北米などへ広まったとされています。

カーシェアリングは1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態で、2012年10月時点で世界27カ国で運営されており、利用者人口は約180万人、車両数は4.3万台に達している模様。

カーシェアリングの利用形態には、公共交通機関の補完的なスイス型と、マイカーの補助として利用されるケースが多い米国型に大きく分かれるようですが、日本は、都市の公共交通機関が発達していることから、スイス型に近い市場。

日本に於けるカーシェアリング普及率(人口辺当たりの会員数)は4年前と比べると一気に欧米に迫るまでに高まっています。 

出展 交通エコロジー・モビリティ財団
出展 交通エコロジー・モビリティ財団

レンタカーは不特定多数が利用するシステムですが、カーシェアリングは予め利用登録した会員に対して貸し出され、レンタカーよりも短時間の利用を前提に貸し出し時間が設定されているようです。 

利用者の最大のメリットはやはり必要経費が安く済む点。

日本で自動車を自己所有する場合、車両価格の他にも自動車取得税、自動車重量税、自動車税、消費税、駐車場代、車検、自動車保険、点検・整備と様々な維持費が発生します。 

さらには今年4月から自賠責保険料金が値上がりするなど、維持費がバカにならないことから、特に公共交通機関が発達している都会のマンション住まいや、個人的に駐車場が持てないケースではクルマの無い生活も珍しくなくなって来ています。 

日本でマイカーに課せられている税負担は米国比で49倍と高く、世界的に見ても半端無い状態で、日本はせっかく高品質な自動車を作る技術で世界トップレベルなのにも拘わらず、ユーザーとして保有する段になると自動車を取り巻く高額税で維持費がやたら高くつくお国柄。 

そもそも本家のスイスでカーシェアリングがいち早く普及した背景には
(1)鉄道など公共交通機関が全土に発達しており、クルマへの依存度が低い
(2)国土が狭いため、駐車場の確保が簡単ではない
(3)成熟した先進国で、クルマをステータスとして所有する意識が薄くなっている 

などが挙げられ、これらの条件は、そのまま日本にも当て嵌まり、実は日本もスイスと並ぶカーシェア大国になる潜在性を秘めているという訳です。 

カーシェアリング

マイカーの使用頻度は1日数時間程度と稼働率が低く、サンデードライバーでは月間の車両の利用時間はせいぜい8時間程度。

今やカーシェアリング・ステーションはマンション前の駐車場や住宅街の駐車場、スーパーの駐車場等にも設けられており、最近ではコンビニ駐車場への設置も進みつつあるようです。 

またトヨタやダイハツのように、自動車メーカー自らカーシェリング事業に参入するケースも見られ、クルマに全く興味が無い利用者が運転の楽しさや便利さを経験することで、逆に新車購入に至るケースも有る模様。 

カーシェアリングの普及率で遥か先を行くスイスですが、市場環境が似た日本でも一般化する日はもそれほど遠くないのかもしれません。 

■公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団 Webサイト
  http://www.ecomo.or.jp/index.html 

■全国のカーシェアリング一覧
  http://www.ecomo.or.jp/environment/carshare/carshare_list.html 

■大手カーシェアリング会社
 ・Times Car PLUS(タイムズカープラス)
  http://plus.timescar.jp/
  http://plus.timescar.jp/lp/li/ 

 ・オリックス カーシェア
    http://www.orix-carshare.com/index.htm

 ・トヨタ カーシェアリング「ラクモ」
  http://www.toyotarentacar.net/campaign/201210_rakumo/ (北海道)
  http://www.trl-aichi.co.jp/casual/index.html (愛知)
  http://www.trlosaka.co.jp/campaign/rakumo/index.html (大阪)

 (Avanti Yasunori) 

【写真ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】 https://clicccar.com/?p=218541

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる