欧州でBMWやVWが年内に相次いでEVの発売を予定しています。
BMWはドイツ国内の3工場に約780億円を投じて生産開始するようで、うち、520億円を組立てラインに、260億円をボディに使用する軽量カーボンファイバー生産設備に当てる模様。
以前にご紹介したとおり、BMWはアルミより30%も軽く、鋼板材の半分の重量で済む炭素繊維ベースの強化プラスチック材を開発しており、この分野で先行する航空機メーカーBOEING社との技術提携により設計・生産方法を見直して採算性にも目処をつけたと言います。
BMWではEV専用ブランド「BMW i」シリーズを新たに設定、コンパクトEV「BMW i3」をドイツ東部の工場で量産する計画で、欧州で年内に発売、続いて2014年以降に日米でも販売する意向とか。車両価格については現時点で未公表となっています。
炭素繊維材の製造を内製化してコストを削減、主要部に接着方式を採用するなど、スーパースポーツモデルを除けば量産車で初めてのカーボンファイバー製ボディ採用車となります。
ボディが極軽量だけにEVとしての動力性能も大いに期待できそうです。PHV仕様の「i8」の発売も予定しており、こちらは欧州で2014年頃に投入される見通し。
またVWも2013年9月12日~22日の間で開催されるフランクフルト モーターショー2013で同社初となるEV、「e-up!」の市販モデルを公開予定で、その後量産に入り、年内に欧州で発売される模様。
「e- Golf」も出番を待っている状況で、1回の充電で約150kmの走行が可能とされています。ダイムラーも2014年にメルセデス・ベンツ「Bクラス」でEV対応を予定。
このように三菱「i-MiEV」や日産「リーフ」で日本が先行する量産EV分野ですが、欧州勢も新たな付加価値を加えるなどして日本勢に追従する構えを見せてます。
一方、当の日本ではトヨタ、ホンダなどがEV開発についてはほぼスルーしており、主力の「HV」に続く究極のエコカーとして水しか排出しない水素自動車「FCV」を2015年から順次発売予定で、欧州勢のさらに一歩先を行きたい考え。
「EV」、「FCV」共にエネルギー供給インフラの拡充に於いては同様の課題を持つものの、一回の充填でガソリン車同等の航続距離とクイックチャージを誇る「FCV」は年初にBMWがこの分野で先行するトヨタと技術提携したことでも判るとおり今後の本命技術とされています。
まずはBMWとVW両社が軽量コンパクトEVの発売を巡って早々に火花を散らす訳ですが、200kmに満たない航続距離や充電に要する時間など、今後予想される市場反応に対してどのような対応を見せるのかが大いに注目されます。
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