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■乃木坂46新曲MVで活躍するクルマの正体は?
人気アイドルグループ「乃木坂46」のニューシングル「ごめんねFingers crossed」のMV(ミュージック・ビデオ)は、6台のさまざまなスポーツカーによる迫力のカーアクションが話題を呼んでいます。
これまでに、齋藤飛鳥さんの日産「R35GT-R」、遠藤さくらさんのFord「Mustang289 Convertible」、与田祐希さんのDodge「Challenger 392 HEMI Mopar Limited-Edition」、山下美月さんのTOYOTA「GRスープラ」、賀喜遥香さんのSUBARU「WRX STI」を紹介しましたが、今回は生田絵梨花さんが運転するHONDA「シビッククーペ」を紹介します。
中でも、生田絵梨花さんが乗るホンダの「シビッククーペ」は、ピンクのボディカラーにホワイトのラインが入ったど派手なカラーに、スポーティでインパクト満点のボディラインが鮮烈な1台。
一体、こんなモデルをホンダがいつ販売したのでしょう?
ここでは、そんな一際「正体不明」感が高い、MVに登場するシビッククーペについて紹介します。
●北米生産のクーペモデル
MVに出てくるシビッククーペは、かなりカスタムが施されている仕様です。
カスタムの内容については後述しますが、ベースとなったのは、1992年にホンダが主に北米など海外で販売した「EJ1」型と呼ばれる2ドアのクーペボディを持つ乗用車です。
シビックは、1972年の初代モデル以来、世界的に大ヒットし、今でも販売が継続されているホンダが誇るロングセラーモデルです。
元々はコンパクトなファミリーカーでしたが、特に1990年代に発売された5代目(EG型・1991年発売)や6代目(EK型・1995年発売)が大きな話題を呼びました。
主な理由は、当時としてはかなり強烈だった搭載エンジン。
ホンダ独自の可変バルブタイミング・リフト機構「VTEC」を採用した、1.6L・4気筒の「B16A型」や「B16B型」(EK型のタイプRに搭載)を採用したシビックは、高回転まで一気に吹け上がるレーシーな特性が持ち味で、若者を中心に大ヒット。そのテイストは、現在の5ドアハッチバック・スポーツモデル「シビック・タイプR」へと受け継がれています。
そんなシビックの兄弟車であるシビッククーペは、5代目のEG型をベースにしています。
当時、国内では3ドアのハッチバック車と4ドアセダンの「シビックフェリオ」しか販売されていませんでした。
一方、アメリカなど、北米ではスポーティなクーペモデルの人気も高かったため、ホンダの北米拠点で開発し、前述の通り1992年に販売を開始。つまり、海外専用モデルだったのです。
ところが、1993年に、国内でも右ハンドル仕様の輸入販売を開始。今回紹介している初代EJ1型は、その時のモデルです。
なお、当時、クーペには1.4Lエンジン仕様のEJ2型もありましたが、国内では販売されていません。
ちなみに、シビックのクーペタイプは、国内では1996年に2代目(J6型)が、やはり北米モデルの右ハンドル仕様として輸入販売されましたが、それ以降のモデルは海外のみの取り扱いとなっています。
●エンジンはパワーより燃費を重視
EJ1型シビッククーペは、クーペモデルならではの流麗なボディラインと高い空力特性が大きな特徴です。
また、室内は、特に後席が広く、コンパクトな車体ながら快適に乗車できる居住スペースを確保しています。
さらに、米国アコースティック・リサーチ社との提携による6スピーカーのサウンドシステム、オートエアコンディショナー、アッパーベンチレーションシステム、パワーウィンドウ、パワードアロックなど、当時としてはかなり先進の快適装備も魅力でした。
エンジンは、最高出力130psを発揮する1.6L・VTECエンジン「D16A型」を搭載します。
当時、ベースとなったEG型シビックの「SiR」や「SiR Ⅱ」というグレードには、前述の「B16A型」エンジンが搭載され、リッターあたり106馬力の最高出力170psを発揮していました。
それに対し、クーペのエンジンは、40psほどパワーが落ちますが、当時としては高い燃費性能14.0km/L(10・15モード)を誇っているのが特徴です。
また、トランスミッションは、当初4速ATのみの設定でしたが、後に5速MTも導入されています。
●ど派手カスタムの内容は?
そんなアメリカ生まれのシビッククーペをベースに、生田さんがドライブする車両には、やはりアメリカでかつて大人気だった「スポコン」と呼ばれるカスタムが施されています。
スポコンとは、英語で「SPORTS COMPACT(スポーツコンパクト)」の略。
日本でも、1990年代後半から2000年代前半に流行したのですが、その時にファンがつけた愛称です(1970年代に流行した一連のテレビドラマ「スポーツ根性」ものとは違うので、念のため)。
流行のきっかけとなったのは、ハリウッドのカーアクション映画で、2001年の第1作が大ヒットして以来、現在も続く「ワイルドスピード」シリーズ。
映画では、シビックやトヨタ「スープラ」、日産の「スカイラインGT-R」、マツダ「RX-7 FD3S」といった国産スポーツカーが大暴れします。しかも、登場するクルマはどれも、外装にスポーティなエアロパーツを装着し、派手なグラフィックを施していました。
スポコンは、そういった映画に出てくるようなカスタムを施したクルマのことです。MVに出てくるシビッククーペも、まさにその流れを汲んだ1台なのです。
前後バンパーやサイドステップなどの外装エアロパーツは、日本で当時大人気だった「ウェーバースポーツ」というブランドの製品。実際に販売されていた、いわゆる「当時もの」を装着しています。
そして、最も印象的なボディのカラーやグラフィックは、アメリカで「バイナルグラフィック」、日本では「ラッピング」とよばれる手法を用いています。
これは、あらかじめグラフィックなどを印刷した専用フイルムをボディ全体に貼り付けることで、まるで塗装をしたようにクルマの色を変えたり、模様を施すことができる加工です。
製作を担当したのは、3作目の「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」(2006年公開)で、実際に劇中で活躍する車両を手掛けたアートファクトリー(東京都)。つまり、本物のムービーカーと、ほぼ同じ手法で製作されているのです。
ほかにも、このクルマには、油圧で車高調整ができる「ハイドロリクス」も装備。走行中は性能を犠牲にしないよう車高を上げ、停車中は車高を下げることで独特のローフォルムも演出します。映画さながらの走りとスタイルのよさを両立しているのも、このクルマの大きな特徴です。
ちなみに、この車両は、実際に若い女性が所有するオーナーカーなんだとか。スポコンはリアルタイムでは知らないけれど、映画などを見て憧れ、アートファクトリーにグラフィック製作を依頼。
2年ほど前に完成し乗っていたところ、今回、乃木坂46の新曲MVにピッタリだということでスタッフの目にとまり、生田さんの愛車役として出演となったそうです。
(文:平塚直樹)
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