エンジンオイルを交換すると車の調子がよくなる3つの理由。交換をしないとどうなる?

■エンジンオイル交換の重要性

エンジンオイルを交換したことがないドライバーも多いかもしれません。
エンジンオイルを交換したことがないドライバーも多いかもしれません。

わかっていても、ついつい忘れてしまうエンジンオイルの交換。近年の車は交換走行距離が長くなっているので余計に交換を忘れがちです。

車のエンジンオイルは、人間の血液に例えられる重要な部品です。そのため、しっかりとエンジンオイルの交換をしている車は調子よく走ってくれる一方、交換を怠るとエンジンの不調や故障に陥る可能性もあります。

車を長く乗るために重要なエンジンオイル交換の必要性と影響について調べてみました。

●エンジンオイルを交換すると車の調子がよくなる理由

エンジンオイルとは、簡単に言えばエンジンの潤滑油です。しかしエンジンオイルには潤滑作用のほかに、密封・清浄・冷却・防錆などの役割も持たされています。なかでも潤滑・密封・清浄の3つの作用は、走行距離や経年に応じて劣化していくので、エンジンオイルは定期的な交換が求められています。

特に劣化の影響を体感しやすいのは、エンジン出力と燃費性能に大きく関係する潤滑作用と、密封作用の性能低下と言えるでしょう。

●密閉作用

密閉作用とは、シリンダーとピストンとの間に設けられた隙間を塞ぐ作用です。

エンジンは、シリンダー内で燃料を燃焼させた圧力をピストンが受け止めることで動力を生み出しています。オイルの劣化で密封性能が低下すると隙間をしっかりと埋められず、エンジン出力が低下したように感じられます。

●潤滑作用

潤滑作用とはエンジンを滑らかに動かす作用です。

潤滑性能が低下すると部品同士がスムーズに動けず、エンジンの騒音が大きくなります。また、潤滑作用が低下するにつれて抵抗が大きくなり、失われる出力も大きくなるので燃費性能も悪化する傾向にあります。

オイル交換をすると車の調子がよくなるのは気のせいではなく、密閉作用と潤滑作用がしっかりと機能するようになったからです。古いオイルから新しいオイルに交換すると、エンジンがより力強く滑らかに回るようになり、燃費性能も改善されます。

●清浄作用

もうひとつの清浄作用とは、汚れを吸着する作用です。

動作中のエンジンは部品同士が擦れ合うことで発生する微細な金属粉や、燃焼で生じるススなどの汚れが内部に溜まり続け、エンジンに悪影響を及ぼします。

エンジンオイルはこれらの汚れを取り込み、交換することでエンジン内部に汚れを溜めないようにする働きもあります。そのためエンジンオイルの定期交換は、エンジンの状態を保つためにも欠かせないメンテナンスと言えますね。

●オイル交換をしないとどうなる? 怖いのは後遺症と焼き付き

オイル交換を怠ると慢性的な不調や重大な故障を起こす恐れがある
オイル交換を怠ると慢性的な不調や重大な故障を起こす恐れがある

オイルを交換しないと、エンジンが本調子を発揮できなくなるだけでなく、慢性的な不調や重大な故障を起こす恐れがあります。

特に潤滑性能が低下したオイルを使い続けると、エンジンから異音が発生したり、マフラーから白煙が出るなどの症状が出がちです。一度このような症状が出はじめると、エンジンオイルを交換しても元に戻らない場合がほとんどです。

さらに怖いのは、「焼き付き」と呼ばれる症状です。潤滑性能が不足して高速で擦れ合う金属同士が直接接触すると、摩擦熱により溶けてくっついてしまいます。

こうなると走行はもちろん、エンジンをかけることもできなくなり、修理するにも高額な費用がかかってしまいます。

また焼き付きはオイルの劣化だけでなく、オイル量の減少によっても引き起こされます。

新車であっても走行するたびにエンジンオイルは燃焼して少しづつ減っていき、古い車はオイル漏れを起こすこともあります。オイル量を一定に保つ意味でも、定期的なエンジンオイル交換は大切ですね。

●オイル交換お知らせ機能や走行距離ステッカーでうっかり忘れを防止

交換サイクルは、比較的新しい車は1万km、古い車は5000kmが目安
交換サイクルは、比較的新しい車は1万km、古い車は5000kmが目安

自動車メーカーでは、エンジンオイルの交換時期を走行距離のサイクルで指定しています。

ただし、交換が必要になる走行距離は、メーカーや車種、車の走行条件などによって異なり、比較的新しい車は1万kmごと、古い車は5000kmごとの交換サイクルに指定されるのが一般的です。

エンジンの負担が小さなハイブリッドカーの交換サイクルは長くなる傾向にある一方、エンジンオイルが劣化しやすいターボ車やディーゼル車は、それだけ早い交換が求められます。

加えて、シビアコンディションと呼ばれる過走行気味の車や、短距離走行が多い使い方の場合もオイルの劣化が進行しやすいので、交換サイクルは短くなります。

オイル交換のタイミングは、メーカーが指定する走行距離を基本として、車や走行条件ごとに応じた交換サイクルを守ることが大切です。

とはいえ、交換タイミングをわずかに過ぎたからといって、すぐにエンジンが壊れることはありません。規定の走行距離になったら早めの交換を意識しておくだけでも十分です。

極端にオイル交換サイクルが長い車種は、5000kmごとにエンジンオイルの量と状態を点検すれば安心ですね。

交換や点検時期を忘れないためには、次回のオイル交換走行距離を記載したステッカーや、車のメーターに備わったオイル交換お知らせ機能を活用するとよいでしょう。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])