上毛電気鉄道が元・地下鉄日比谷線03系を譲受して800形として導入

■2024年2月下旬から運行開始予定

上毛電気鉄道は、東京メトロ日比谷線で使用していた03系を改造した800形を導入、2024年2月下旬から運行を開始すると発表しました。

2024年2月下旬から運行を開始する800形(上毛電気鉄道ホームページより)
2024年2月下旬から運行を開始する800形(上毛電気鉄道ホームページより)

上毛電気鉄道は、群馬県の中央前橋〜西桐生間を運行しています。現在運行している700形は、元京王電鉄井の頭線3000系を改造したもので、1998〜2000年にかけて2両編成8本を導入しました。

現在上毛電気鉄道で運行している700形は、元京王井の頭線3000系
現在上毛電気鉄道で運行している700形は、元京王井の頭線3000系

上毛電気鉄道は1926(大正15)年5月に開業。自社発注の新造車両は1926〜1927年に導入した3形式7両のみで、以後は他社からの譲渡車で賄ってきました。

なお、上毛電気鉄道開業時の自社発注車両のうち、デハ100形デハ101はイベントおよび工事用車両として今も現役。デハ104も大胡車庫で保存されています。

上毛電気鉄道開業時の車両デハ100形デハ101。実は現役の車両です
上毛電気鉄道開業時の車両デハ100形デハ101。実は現役の車両です
デハ100形デハ104は大胡車庫で保存されています
デハ100形デハ104は大胡車庫で保存されています

700形の置き換えについては2018年頃にはすでに持ち上がっていて、他社からの譲渡も検討しました。

ところが、扱いやすい全長18m級の車両が見当たらなかったため、90年振りに自社発注の新造車両の導入を決断。2019年度と2021年度に1編成ずつ導入する予定でした。しかし、上毛電気鉄道が提示する条件に合う鉄道車両メーカーが見つからず、導入予定を延期。

そして2023年には自社発注車ではなく、中古車両を導入する方針に変更しています。導入費用は9億円と報道されています。新型車両800形は3編成を導入。700形の一部を置き換える予定です。

●東京メトロ03系は4社に合計37両譲渡

東京メトロ日比谷線03系は営団時代の1988年に登場し、2020年まで活躍しました
東京メトロ日比谷線03系は営団時代の1988年に登場し、2020年まで活躍しました

上毛電気鉄道に譲渡される東京メトロ03系は、営団地下鉄時代の1988年に登場。1994年までに8両編成42編成336両が導入されました(2001年に事故代替として1両製造)。車体は合金製で全長は18m。3ドアが基本ですが、ラッシュ時対策として編成両端の4両が5ドアとなった編成が20編成在籍していました。

03系のうち20編成は、ラッシュ対策で編成の両端の車両を5ドア車としていました
03系のうち20編成は、ラッシュ対策で編成の両端の車両を5ドア車としていました

2017年から、日比谷線用20m級4ドアの大型車両13000系の導入が始まり、03系は2020年2月28日で引退しました。03系の引退が進んでいた2018年1月に、熊本電気鉄道が03系を譲受すると報道されました。03系の先頭車は動力を持たない制御車なので、先頭車2両のうち1両を電装(動力車化)する必要があります。

熊本電気鉄道03形。2両編成3本が活躍しています
熊本電気鉄道03形。2両編成3本が活躍しています

譲渡された03系は、西鉄テクノサービスで大改造。先頭車1両には、パンタグラフとVVVFインバータを搭載して電装しました。運転台もT字形ワンハンドルマスコンに交換し、ワンマン運転用機器も搭載しています。

熊本電気鉄道での形式は03形となり、2019〜2021年に2両編成3本を導入しています。

北陸鉄道浅野川線03系。2024年度までに2両編成5本が出揃う予定です
北陸鉄道浅野川線03系。2024年度までに2両編成5本が出揃う予定です

2019年7月には、北陸鉄道が浅野川線用に03系を譲受すると報道。2020年から03系として営業運転を開始しました。

改造工事は東京メトロの子会社であるメトロ車両が担当。先頭車1両にパンタグラフとVVVFインバータを搭載して電装。また、ワンマン対応改造、運転台の改造のほか、降雪対策としてスノープラウを装備しています。2024年度までに2両編成5本を導入する予定です。

長野電鉄3000系は3両編成5本。信州中野〜湯田中間の急勾配区間に対応しています
長野電鉄3000系は3両編成5本。信州中野〜湯田中間の急勾配区間に対応しています

2020年1月には、長野電鉄が03系を譲受すると報道されました。長野電鉄での形式は3000系となり、改造はメトロ車両が担当しています。

3000系は3両編成で、中間車は03系のパンタグラフとVVVFインバータ制御装置をそのまま流用して、先頭車1両を電装しました。ワンマン運転対応改造も行ったほか、信州中野〜湯田中間の急勾配対策で、勾配抑速ブレーキを備えています。3000系は2020〜2022年に3両編成5本が導入されました。

上毛電気鉄道800形についてもメトロ車両が改造しています。主要なメニューは、北陸鉄道向けと同様に2両編成化および先頭車1両を電装、ワンマン対応改造などが予想されます。前述した通り800形は3編成を導入する計画で、8編成ある700形の一部しか置き換えることができません。

当面残ることになる700形は5編成について、今後の動向も気になるところです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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