「バイクはオービスで捕まらない」は本当か? 調べたら例外もあった

■車はオービスで捕まるのにバイクはお咎めなし!? なぜ?

バイクはオービスで捕まらないって本当なの…
バイクはオービスで捕まらないって本当なの…

半年ほど前のことです。筆者が高速道路を法定速度で走行中、右側車線を猛スピードのバイクが追い越していきました。しかし、そのすぐ先にはオービスが。もちろんフラッシュがたかれましたが、バイクは速度を落とすことなくそのまま通過。

「ご愁傷さま」と思ったものの、よくよく考えると、バイクは前側にナンバープレートが付いていないうえ、そのライダーはフルフェイスのヘルメットを被っていたため画像での違反者特定は不可能でしょう。

つまり、「バイクはオービスで取り締まることはできないということでは?」と疑問に感じたので調べてみることにしました。

●「バイクはオービスで捕まらない」の真相とは

ヘルメットをかぶっているため、違反者の顔が特定できない場合も…
ヘルメットをかぶっているため、違反者の顔が特定できない場合も…

オービスの正式名称は「速度違反自動取締装置」です。取り締まりの仕組みは、カメラと共に設置された電磁ループコイル、レーダーやレーザーなどによるセンサーが車速を検知し、速度オーバーで通過した車両を前方から撮影。ナンバープレートから、車両の所有者へ出頭通知書が送付されます。車両の所有者はオービスを光らせた=速度違反をした運転者に警察へ出頭させなければなりません。

オービスが作動する速度は原則として、一般道は30km/hオーバー、高速道路は40km/hオーバーと言われており、つまりオービスを光らせたら一発免停を覚悟しなければなりません。

ただし、速度超過の交通違反として処理されるには条件があります。第一に「ナンバーが判読できるように撮影されていること」。次に「違反者の顔が判明していること」の2点です。オービスを光らせたとしても、撮影画像がこれらの条件を満たせなかった場合は罰則対象から除外されます。

そのため、前方にナンバープレートが備わらないバイクは車両番号を記録できず、罰則対象外です。後方から撮影できるオービスも存在しますが、全国的にみても数が少ないうえ、現在ではほとんどが稼働していないようです。さらに、フルフェイスのヘルメットを被っていた場合も顔の判別は困難となります。

以上の理由から、「バイクはオービスに撮影されても捕まらない」というよりは、「証拠不十分で捕まえられない」というのが事の真相のようです。バイクはいくらスピードを出してオービスを光らせようとも、速度超過の出頭通知書が自宅に届くことはほとんどないといえるのではないでしょうか。

しかし、調べるうちに「バイクはオービスで捕まらない」とは言い切れないこともわかりました。

●悪質な速度超過はオービス画像から捜査で逮捕

バイクはオービスによる自動取り締まりができないだけで、オービスの撮影画像から逮捕に至ったケースは多くあります。なかでも大きく取り沙汰された事例は以下の2件です。

・2015年、大阪で4ヵ月の間に18回もオービスに撮影された男が逮捕
・2021年、北海道の国道を192km/hで走行したバイクが逮捕

どちらもオービスで撮影された画像をもとに、警察が捜査して違反者を特定した事例です。大阪での事例に関しては、オービスで撮影された時間帯の張り込みと尾行で容疑者を特定。北海道の事例に至っては、バイクの外観と当時の服装から容疑者が絞り込まれたと報道されていました。

他にも、バイクがオービスで取り締まれないのをいいことに、オービスに向かってVサインなどの挑発行為をするなど悪質な行為があった場合にも、しっかりと逮捕されているようです。

●近年増加中の移動式オービスはバイクも油断できない

移動式オービスの正式名称は「可搬式速度違反自動取締装置」
移動式オービスの正式名称は「可搬式速度違反自動取締装置」

同じオービスでも、「移動式オービス」はバイクでも捕まることがあるようです。近年は設置コスト高や老朽化などの理由で固定式オービスは減少傾向にあり、代わりに移動式オービスによる取り締まりが増加傾向にあります。

移動式オービスの正式名称は「可搬式速度違反自動取締装置」といい、小型で持ち運べるため設置場所が限定されず、高速道路や幹線道路はもちろん、狭い路地でも自動で速度を取り締まれるのが利点です。

移動式オービスによる取り締まりは警察官が立ち会うため、バイクのナンバープレートが目視確認されれば、身元の特定が可能となります。同時に、ネズミ捕りが行われるケースもあり、オービスを光らせれば直後に誘導されて、その場で違反切符を切られることも。

特に、最高速度が30km/hや40km/hに制限された道路では、15km/h未満の超過速度でも取り締まりの対象となる場合があります。

このように、「バイクはオービスでは捕まらない」はある意味正しいとも言えますが、厳密には「4輪車のようには捕まらない」という言い方が正しいでしょう。それはあくまで、オービスによる直接撮影だけでは捕まらないだろうという意味です。移動式オービスを併用したネズミ捕りや、物陰に潜んで速度計測が行われるレーザーパトカーやレーダーパトカーによる取り締まりは、当然のようにバイクも捕まるので覚悟してください。

固定式オービスであっても、速度超過の常習や、常識を逸脱した速度超過、挑発行為などの悪質な行為が認められれば、警察は本腰を入れて違反者逮捕に動き出します。

ここで解説したことは、オービスによる速度超過の取り締まりで出頭命令または逮捕状が来るかどうかを調べた結果です。「捕まらなければいい」という話ではありません。バイクであろうが4輪だろうが、取り締まりがあろうがなかろうが、制限速度は厳守の上、ルールとマナーを守った安全な移動を楽しんでくださいね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])

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