JR東海が特急「しなの」用新型車両385系の開発を発表

■カーブ通過時の乗り心地向上

JR東海が新製する385系のイメージ図(JR東海のプレスリリースより)
JR東海が新製する385系のイメージ図(JR東海のプレスリリースより)

JR東海が2023年7月20日のプレスリリースで新型特急車両385系の量産先行車を新製すると発表しました。

現在「しなの」に使用されている383系
現在「しなの」に使用されている383系

385系は、名古屋〜長野間を運行している特急「しなの」に使用されている、383系特急車両の置き換えを見据えて開発する車両です。


1973〜2008年まで使用された381系振り子式特急形電車
1973〜2008年まで使用された381系振り子式特急形電車

特急「しなの」が走行する区間はカーブが多いため、国鉄が1973年に投入した381系は自然振り子装置を搭載しました。

自然振り子装置は車体をカーブの内側に傾けることで、乗客が感じる遠心力を低減して、乗り心地を向上させると同時に、カーブの通過速度をアップさせます。381系はカーブ区間の通過速度を20km/hアップ。名古屋〜長野間の所要時間を短縮しました。

振り子装置の概要(JR東海プレスリリー4スより)
振り子装置の概要(JR東海プレスリリースより)

しかし、381系はカーブ区間に入ってから発生する遠心力を受けて車体を傾ける構造なので、振り子遅れによる乗り心地の悪化が課題でした。

そこで383系は、制御付自然振り子装置を搭載。カーブの開始地点から車体を傾けることで、381系の自然振り子装置よりも乗り心地を向上させて、カーブの通過速度を35km/hアップさせました(381系より15km/hアップ)。また、最高速度も381系の120km/hから130km/hにアップしています。

カーブの通過速度、最高速度共381系よりアップした383系
カーブの通過速度、最高速度共381系よりアップした383系

制御付自然振り子装置を動作させるためには、カーブの開始地点を車両が把握する必要があります。383系では、線路に設置された地上子で列車の位置を検知すると同時に、地上子からカーブ開始地点までの距離を車両が取得。車輪の回転数からカーブ開始地点までの走行距離を計算し、カーブ開始地点で車体を傾けます。

しかし、雨天などで車輪の滑走(スリップ)等が発生すると、カーブ開始位置を正しく把握することができずに、車体傾斜にずれが生じることがあります。

そこで385系は、車両にジャイロセンサを搭載して車両とカーブの位置関係を常時把握することで、常に正確に車体を傾けることができる次世代振り子制御技術を採用します。次世代振り子制御技術は、現行の383系を使用して走行試験を行った結果、乗り心地が約15%改善されたそうです。

制御付自然振り子装置と次世代振り子制御技術の概要(JR東海プレスリリースより)
制御付自然振り子装置と次世代振り子制御技術の概要(JR東海プレスリリースより)

385系は、2026年度に量産先行車8両編成を新製。走行試験を約1年間実施して、次世代振り子制御技術の確認を行います。量産車は、2029年度頃を目標に投入する方向で検討を進めるそうです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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