自動車重量税と自動車税種別割・軽自動車税種別割の違いとは?【クルマの税金基礎知識 】

■車検前に払うものと車検時に払うものがある

自動車税種別割や軽自動車税種別割は4月1日時点でクルマを所有している人が払う税金
自動車税種別割や軽自動車税種別割は4月1日時点でクルマを所有している人が払う税金

クルマを所有していると、必ずかかってくる税金が「自動車重量税」と「自動車税種別割」「軽自動車税種別割」です。特に、これらは車検を受ける場合に必要となるものですが、一体どんな違いがあるのでしょうか?

ここでは、これら税金の違いや特徴はもちろん、もし払わないとどうなるのかなどについて紹介します。


●自動車税種別割や軽自動車税種別割とは?

まずは、例年、ゴールデンウイーク明けに納税通知書が送られてくる、自動車税種別割や軽自動車税種別割。以前は、自動車税や軽自動車税と呼ばれていましたが、2019年10月から名称が変わっています。

普通乗用車など登録車にかかるのが自動車税種別割で、収める先は都道府県。軽自動車など届出車にかかるのが軽自動車税種別割で、収める先は市町村になります(いずれも地方税)。

納税義務は、どちらも4月1日時点でクルマを所有している人。なので、3月31日までに車両を登録抹消しているか、売却などで名義変更をしていれば、翌年度の税金は発生しません。

ただし、売却したのが3月31日以前でも、名義変更が遅れ4月1日以降になってしまったというケースでは、旧所有者に納税通知書が来るので、支払う必要があります。個人売買などでよくあるトラブルなので、注意が必要です。

●支払わないと車検を受けられない

自動車税種別割や軽自動車税種別割は、基本的に車検前に支払う税金です。もし期限までに支払わないと車検が受けられなくなります。納税期限は、例年、東京都など多くの自治体が5月31日までに設定しています(青森県など、6月30日までを納付期限とする地方自治体もある)。

納税をすると納税証明書が発行されます。普通乗用車などでは、きちんと期限までに納税をしていて、以前にも滞納がない、継続検査であるなどの一定要件を満たせば、車検時に納税証明書の提示は省略されるようになりましたが、軽自動車や自動二輪車(車検が必要なバイク)の場合は、今まで通りに納税証明書の提示が必須となりますので、注意しましょう。

自動車税種別割などの税額は、総排気量で細かく分かれている
自動車税種別割などの税額は、総排気量で細かく分かれている

普通乗用車の場合でも、車検で不用となったとしても、「ちゃんと税金を払っています」という証明なので、保管しておくべきなのは同じですけどね。

ちなみに、もし、自動車税種別割や軽自動車税種別割を納付期限までに支払わないと、車検が受けられないだけでなく、延滞金も発生します。

延滞金の率は、たとえば、東京都の場合で、納付期限の翌日から「1ヵ月以内が2.4%/年」「1ヵ月を超えると8.7%/年」が納付の日までかかります(令和4年1月1日から令和5年12月31日までの例)。さらに、最悪の場合は、クルマや財産を差し押さえられることもあります。

自動車税種別割などの税額は、総排気量で細かく分かれているほか、初回新規登録を行った時期などでも変わり、おもに以下のようになります(ガソリン車などグリーン化特例の適用を受けていない自家用乗用車の例)。

【自動車税種別割】
電気自動車…2万9500円(2万5000円)
1000cc以下…2万9500円(2万5000円)
1001cc〜1500cc…3万4500円(3万500円)
1501cc〜2000cc…3万9500円(3万6000円)
2001cc〜2500cc…4万5000円(4万3500円)
2501cc〜3000cc…5万1000円(5万円)
3001cc〜3500cc…5万8000円(5万7000円)
3501cc〜4000cc…6万6500円(6万5500円)
4001cc〜4500cc…7万6500円(7万5500円)
4501cc〜6000cc…8万8000円(8万7000円)
6000cc以上…11万1000円(11万円)

*( )内は2019年10月以降に新車購入・登録した場合の減税された後の税額

【軽自動車税種別割】
一律1万800円

●自動車重量税とは?

一方の自動車重量税は、クルマを新規購入した際や、車検時に支払う税金で、国に収める国税になります。すでにクルマ(自家用乗用車)を所有している人であれば、新車から3年後、その後に毎年2年毎にくる車検で、継続検査を受ける際に支払います。

ちなみに、先に紹介した自動車税種別割や軽自動車税種別割も、新車購入時にも必要ですが、この場合は、新規登録した月から翌年の3月までを月割りにした額を支払い、以後は毎年1年分の支払いとなります。対する自動車重量税は、1年毎に発生する税額を、初回は3年分、以後は車検毎に2年分ずつを支払っていくという違いがあります。

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また、税額は、重さ0.5トン単位で異なり、排気量が大きいクルマほど、税金は高くなります。さらに、重課税といって、ガソリン車の場合で、初年度登録から13年以上(ディーゼル車は11年)、18年以上といった2段階で税額が重課(税額が高くなる)されます。

たとえば、エコカーを除くガソリン車などで、1トン超〜1.5トン以下の自家用乗用車では、2年毎の継続車検を受けるケースで、初年度登録から13年未満で2万4600円、それが13年経過で3万4200円、18年経過だと3万7800円となります。

また、軽自動車でも、エコカー以外では13年未満で6600円、それが13年経過で8200円、18年経過だと8800円となります。

なお、自動車税種別割にも重課税はあり、初年度登録から13年経過したクルマ(ガソリン車の場合、ディーゼル車は11年)に対しては、自動車税が概ね15%重課されることになっています。特に、旧車に乗っている人は、古ければ古いほどクルマの維持費が増えるイメージですね。

こうした重課税は、一定の年数が経過したクルマは環境負荷が大きいという解釈からで、昔からありましたが、平成27年度(2015年度)から重課割合の引き上げが行われています。一方、EVやプラグインハイブリッド車など、排出ガス性能および燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に関する税額の軽減割合は拡充されています。

ともあれ、すでにクルマを持っている人の場合は、自動車税種別割や軽自動車税種別割は車検前、自動車重量税は車検の時に支払う税金だ、と覚えておけば間違いないですね。

自動車重量税は車検時、自動車税種別割や軽自動車税種別割は車検前に支払う
自動車重量税は車検時、自動車税種別割や軽自動車税種別割は車検前に支払う

最近は、自動車重量税にはエコカー減税、自動車税種別割や軽自動車税種別割にはグリーン化特例など、前述したEVやプラグインハイブリッド車などには、前述の通り、税金を軽減したり、補助金を出すなどの措置も施されています。

今後、クルマの買い替えを考えていて、できるだけ維持費を抑えた人は、そうした制度の対象車を選ぶのもいいかもしれません。

(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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