大阪メトロ中央線の新型車両400系とフェラーリの意外な関係とは?

■インパクト抜群の400系

Osaka Metro(大阪メトロ)は、2025年に開催される大阪万博に備え、中央線に新型車両400系を2023年4月から導入します。400系は「乗って楽しい」を形にした、宇宙船を意識させるようなインパクトの、ガラス張りの展望形状とした前面デザインが特徴です。

インパクト抜群のOsaka Metro400系

車内は従来のOsaka Metroとは違って、天井を落ち着いた配色とする一方、床や壁は明るい配色としてモダンで快適な空間を演出。また、1両をクロスシートとして、目的地に向かって移動するワクワク感を演出しています。

ロングシート車の車内

400系はバリアフリー化を推進し、荷棚の高さを下げたほか、フリースペースを全車両に設置するなど利便性を向上させています。そのほか、21.5インチワイドの情報表示器やWi-Fiの設置し、先頭車にはUSBコンセントを装備しました。また、全車に防犯カメラを設置するなどセキュリティも向上させています。

クロスシート車の車内

この400系のデザインを監修したのは、奥山清行氏。奥山氏は2019年からOsaka Metroのチーフデザインオフィサーを務めています。

奥山氏は1995〜2006年にピニンファリーナに在籍していて、フェラーリのエンツォフェラーリや599GTフィオラノ、612スカリエッティ、カリフォルニアなどを手がけています。

つまり400系とフェラーリの意外な共通点は、デザイナーが同じ人だということでした。

●奥山氏が監修した鉄道車両

では、奥山氏がデザインを監修した主な鉄道車両を見てみましょう。まずは川崎重工業(現・川崎車両)が2008年に開発したefSET(イーエフセット)。

川崎重工業efSETの模型

efSETは、川崎重工業が自社開発した最高速度350km/hの高速鉄道車両です。いわゆるコンセプトモデルみたいなものですが、これがJR東日本の新幹線、E6系とE7系、JR西日本W7系に活かされていると言えるでしょう。


E6系とE7系・W7系は新幹線の中でも人気が高い車両です。また、E7系、W7系のワンモーションスタイルは、efSETとよく似ていると思います。

JR東日本7系

奥山氏はJR東日本の在来線車両、E353系「あずさ」「かいじ」や、E261系「サフィール踊り子」、通勤車両のE235系も監修しています。

JR東日本E353系
JR東日本E261系
JR東日本E235系

JR東日本の超豪華クルーズ列車「TRAIN SUITE 四季島」も奥山氏が監修しました。

JR東日本E001形「TRAIN SUITE 四季島」

そのほかJR東日本の観光列車用改造車、E3系「とれいゆつばさ」や「TOHOKU EMOTION」「SL銀河」なども監修しています。

私鉄、地下鉄では、東武鉄道の特急車両500系「リバティ」や、東京メトロ千代田線16000系、神戸新交通六甲アイランド線3000形を監修しています。

東武500系「リバティ」
東京メトロ千代田線16000系

奥山氏のデザインは、車両毎に明確な個性を与えているのが特徴だと言えます。これは、自動車のデザインで培った経験が活きているのではないかと思います。

普段見慣れた車両も、フェラーリとの共通性を感じながら見てみると、また違うものになるのではないでしょうか。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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