目次
■悩ましい冬タイヤの選択、皆さんはどうしていますか?
●「オブザーブGSi-6」はドライ性能も高いスタッドレスタイヤ
冬タイヤ、どうしていますか?
近年、除雪される地域は拡大傾向にあり、高速道路などでは冬タイヤ規制が掛かっていても、路面はドライやウェットという状況も多く見かけるようになっています。そうしたなか、ユーザーは冬タイヤに、ドライ性能やウェット性能の高さも求めるようになってきました。
そのひとつの傾向として、オールシーズンタイヤが増えつつあります。都会を中心に、年に数回降り積もるかもしれない雪のための対策として普及傾向にありますが、やはりウインター性能はスタッドレスタイヤには及びません。
オールシーズンタイヤは、万が一のために雪道でのグリップを確保していますが、雪道も走れるサマータイヤ、というように考えたほうがいいでしょう。冬になると明らかに降雪路やアイスバーンなどを走ることがわかっている地域に住んでいる、あるいは確実にウインタースポーツに出かけるといった使い方であれば、スタッドレスタイヤを選びたいところです。
とは言え、ウインター性能のみを重視するユーザーでなければ、ドライやウェットなどのサマー性能も高いスタッドレスタイヤがあれば、多くのユーザーが冬を安心して乗り切ることができそうです。
●30年以上続くクルミの力、そしてタイプ専用というトーヨータイヤの考え
日本でスタッドレスタイヤが登場したのは1980年代です。それまでのスパイクタイヤは、路面を削って粉じんを発生させるということで大問題となっていました。各社がいろいろな技術でスノー路面やアイス路面のグリップ確保に挑みますが、他社と大きく異なる方向性で挑んだのが、東洋ゴム工業(現トーヨータイヤ)でした。
東洋ゴム工業は、1991年に市場導入した「オブザーブX-9」のコンパウンドのなかに、『クルミの殻』を混入することでグリップの確保に試みました。クルミの殻は氷よりも固く、アスファルトよりも柔らかい性質のため、アイス路面に食いつきつつアスファルトを削らないという特性があり、グリップ性能を稼ぎながら環境も保護する、まさに今でいうSDGsな発想だったのです。
さらに、クルミの殻が抜けてできた穴は、水分を吸収・排水する役目も担うという一石二鳥のアイデアだったのです。
現在、クルミの殻はより固い(といってもアスファルトよりは柔らかい)鬼クルミの殻に置き換えられていますが、当時のアイディアは今も生かされ、そしてしっかりと効果を発揮しています。
トーヨータイヤは、1995年に世界初のミニバン専用タイヤ「トランパスMP」を発表しています。車両重量が重く、重心が高いミニバンの特性に合わせたタイヤという考え方は、当たり前といえば当たり前なのですが、それまではそれを実現するタイヤメーカーがなかったのです。
トーヨータイヤは数種のスタッドレスタイヤをラインアップしていますが、「オブザーブGSi-6」は、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)やCCV(クロス・カントリー・ビークル)といった、比較的車両重量が重いクルマとのマッチングを高めたスタッドレスタイヤです。今や、登録車の3台に1台がSUVやCCVだというのですから、専用タイヤが登場するのは納得のいくところです。この発想、さすが「トランパス」を作ったトーヨータイヤだといえます。
●氷と雪『以外』も得意なスタッドレスタイヤ「オブザーブGSi-6」
「オブザーブGSi-6」は、凍結路面からドライ路面まで、冬の様々な路面状況で高いグリップ性能を発揮するタイヤです。
「オブザーブGSi-6」は、トーヨータイヤのスタッドレスタイヤが一環して使用してきた鬼クルミの殻を混合したコンパウンド(トレッド面のゴム)を採用。低温時のタイヤのしなやかさを確保するシリカを増量したうえで、路面の水膜を除去する吸水カーボニックパウダーを配合しています。
スタッドレスタイヤというと、切り立ったサイプのエッジでグリップする印象が強いのですが、柔軟なコンパウンドで低温時も路面にしっかりと密着することも求められます。また、鬼クルミの殻はエッジ効果を発揮し、硬い氷上でのグリップも確保します。
トレッドデザインには、ジグザグの4本主溝をメインに、センター部分にジグザグのセレーテッドスタビリティリブを配置します。周方向の太い溝は、ウエット時の排水性を確保するうえで大切な役割を果たします。その溝をジグザグ形状としたことで、ウエット時に排水性を確保しつつ、アイス路面でのグリップや、スノー路面での排雪性能も確保しているという具合です。
このセレーテッドスタビリティリブの中心には、スウィングサイプと呼ばれる厚みの異なるサイプが配置されており、一般のサイプに比べてサイプが閉じ難いため、除水効果やエッジ効果を高めるそうです。またメディエイトブロックには、全方向に作用するスパイラルエッジサイプが採用されています。
このスパイラルエッジサイプは、オブザーブGSi-6のトレッドデザイン上の最大の特徴といっていいでしょう。五角形の細いサイプのなかに鈎型をした太めのサイプをあしらったもので、まさに全方向に対してサイプが作用する配置となっています。
このサイプとは、スタッドレスタイヤに採用される非常に細い溝のこと。「オブザーブGSi-6」ではさらに、サイプ内側面の凹凸が互いに支え合う3Dグリップサイプを全ブロックで採用し、冬路面での発進・制動・コーナリング時のエッジ効果でグリップ力を発揮します。
この3Dグリップサイプは閉じ込みが起きないことで、氷上での排水性やエッジ効果が維持できると同時に、ブロックの倒れ込みが防止できるので、ドライ路面でのトレッド面の変形が抑えられ、スタッドレスタイヤにありがちな転舵初期の“グニャッ”とした不安定感を解消します。
また、トレッド面の変形が抑えられると、タイヤの摩耗も抑えられるので、ライフが長くなるという効果も期待できます。
一方、しっかりしたケース剛性などよってプロファイルを最適化。高い剛性を誇るセンターリブの効果もあり、ドライ路面でのグリップやハンドリング性能を確保しています。
こうした性能は「トランパスシリーズ」からの継承といえるもの。外側へ向かうに従って広くなる横方向のV字溝は、高い排水&排雪効果を発揮。ウエット路面におけるブレーキ性能やハンドリング性能を向上しています。
オールシーズンタイヤではウインター性能に不安がある、けれどスタッドレスでも一般道や高速などドライやウェットの性能も重視したい。
そんな悩みを持っている方は、ドライ&グリップ性能が高いスタッドレスタイヤという選択があります。そして、その選択にマッチするタイヤがトーヨータイヤの「オブザーブGSi-6」なのです。
●オブザーブGSi-6 サイズラインアップ
●20インチ
255/45R20 105Q *
275/50R20 113Q *
235/55R20 102Q
●18インチ
225/55R18 98Q
225/60R18 100Q
265/60R18 110Q
285/60R18 116Q
265/65R18 116Q *
255/70R18 113Q
●17インチ
225/65R17 102Q
235/65R17 108Q *
265/65R17 112Q
265/70R17 115Q
●16インチ
215/70R16 100Q
225/70R16 103Q
265/70R16 112Q
175/80R16 91Q
●15インチ
195/80R15 96Q
*印付きのサイズはエクストラロード規格
(文:諸星 陽一/写真:前田 惠介、TOYO TIRES)
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