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■13年超え旧車の税金に関するアンケート調査
クルマの維持には何かとお金が掛かりますが、中でも自動車税種別割(以下、自動車税)は毎年支払う必要があることで、愛車のタイプによっては負担を感じる人も多いでしょう。
特に、初年度登録から13年経過したクルマ(ガソリン車の場合、ディーゼル車は11年)に対しては、自動車税が概ね15%重課される(税額が高くなる)制度が採用されています。
ただでさえ、旧車は部品の経年劣化などもあり、修理やメンテナンスなどにも費用が掛かるイメージですが、その上に新車から13年以上経つと、自動車税まで上がってしまうのです。
また、車検時に支払う自動車重量税についても、初年度登録から13年以上で重課、18年以上ではさらなる重課もされることになっていて、クルマが古ければ古いほど維持費が増えるイメージがあります。
では、実際に一般オーナーは旧車の重課税についてどう思っているのでしょうか? また、毎年いくらぐらい払っている人が多いのでしょうか?
旧車に特化した買取サービス「旧車王」を運営するカレント自動車では、旧車に興味のある175人を対象に、旧車の税金に関するアンケートを実施。その結果、旧車にかかる重課税を負担に感じる人が75.4%もいることが分かりました。
●一定年数が経過したクルマの税率を重くする制度
ここでいう重課税とは、初年度登録から一定年数が経過したクルマに対し、税率を重くする制度のことです。
たとえば、自動車税。これは、ご存じの通り、自動車の所有者に課せられる都道府県税のことで、毎年4月1日の時点に所有しているクルマの排気量によって税額が決まります。
排気量が大きいクルマほど、税金が高くなる傾向ですが、一方で自動車税のグリーン化税制といって、EV(電気自動車)など、地球環境保護の観点から排出ガスが少なく、燃費のよいクルマには、エコカー減税などの優遇措置もあります。
一方で、初年度登録から13年以上を経過したガソリン車やディーゼル車については、最新の排気ガス規制などに対応していないことなどで、昔から税額があがっていましたが、平成27年度(2015年度)から重課割合が引き上げられることに。
これは、EVやプラグインハイブリッド車など、排出ガス性能および燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に関する税額の軽減割合を拡充する一方、一定の年数が経過したクルマは環境負荷が大きいということで、重課割合を引き上げるという平成26年度税制改正によるものです。
これにより、前述の通り初年度登録から13年以上を経過したガソリン車や、11年を経過したディーゼル車などは、従来の10%から15%に重課の割合が引き上げられています。
たとえば、1.5Lを超え2L以下のクルマでは、標準税率(軽減の対象にならないモデルの場合、以下同じ)が3万9500円なのに対し、重課されると4万5400円に。
2Lを超え2.5L以下のクルマでは、4万5000円から5万1700円、2.5Lを超え3L以下のクルマが5万1000円から5万8600円、3Lを超え3.5L以下のクルマでは5万8000円から6万6700円など、排気量に応じ税額が増やされることになります。
なお、トヨタのプリウスなどのハイブリッド車は対象外ですが、軽自動車の場合も新規登録から13年経過すると軽自動車税種別割(軽自動車税)の税額が上がり、こちらは割合が20%とより大きくなります。
●自動車重量税も税額が上がる
さらに、車検毎に支払う自動車重量税では、13年以上で重課、18年以上ではさらに重課される税額が増えます。
自動車重量税は、車両重量に応じて税額が変わりますが、たとえば、エコカーを除くガソリン車などで、1.5t以下の乗用車では、2年毎の継続車検を受けるケースで、初年度登録から13年未満で2万4600円、それが13年経過で3万4200円、18年経過だと3万7800円となります。
また、軽自動車でも、エコカー以外では13年未満で6600円、それが13年経過で8200円、18年経過だと8800円となります。
●重課税の対象となっている人が98.3%
以上が、古いクルマに関する重課制度の概要です。では、実際、一般の旧車オーナーは、どう感じているのか、今回のアンケート結果を紹介しましょう。
なお、今回の調査は、旧車に興味のある男女175名を対象に、2022年11月17日〜2022年11月28日の期間、インターネットにより実施。また、ここでいう旧車は「2010年以前のクルマ」と定義しています。
調査では、まず「あなたの所有する(所有していた)旧車にかかる重課税に負担を感じていますか?」という質問を実施。結果は以下の通りです。
1位:「負担に感じる」 75.4%
2位:「負担に感じない」 11.4%
3位:「どちらともいえない」 11.4%
4位:「重課税の対象外」 1.7%
今回のアンケート回答者は、「重課税の対象外」が1.7%でしたから、98.3%の人は愛車が重課税の対象になっているようで、さらに「負担に感じる」人が75.4%と大半。
やはり、愛車の税額が上がることは、より維持費が増えてしまい、家計などにも影響するのでしょう、困る人が多いようです。
●旧車を何台所有しているか?
次に、調査では「旧車を何台所有していますか?」といった質問も実施(すでに旧車を手放している人については「旧車を所有していない」を選択)。結果は以下の通りです。
1位:「1台」 73.4%
2位:「2台」13.7%
3位:「3台」 10.5%
4位:「そのほか」2.4%
ほとんどの人が1台所有で1位、2台所有の人が2位となりました。
なお、「そのほか」の回答には、「4台」と答えた人や、なんと「9台」所有している人もいたそうです。さすがに、それだけの台数だと、支払う税金の総額もとんでもないことになりそうですね。
●毎年支払う旧車の自動車税は?
さらに、調査では、クルマの税金の中から自動車税に焦点を当て、「毎年支払う旧車の自動車税はいくらですか?」という質問も実施(複数台を所有している人は、その合計額を回答)。結果は以下の通りです。
1位:「4〜5万円」 32.2%
2位:「〜4万円」 22.4%
3位:「5〜6万円」 18.4%
4位:「12万円以上」 8.6%
4位:「10〜11万円」 8.6%
6位:「8〜9万円」 4.6%
※上位6位までを抜粋
なお、調査を行ったカレント自動車によれば、
「4〜5万円と答えた多くの方が1台の所有だったことから、排気量が1.5L超2L以下の旧車を所有している割合が高いことがわかりました(1.5L超2L以下の重課税率自動車税:4万5400円)」
といいます。
旧車は燃費が悪い=排気量も大きいイメージをする人も多いようですが、今回の調査対象になった旧車オーナーたちには、意外にも排気量が小さめのクルマに乗っている人も多いようです。
ただし、これもカレント自動車によれば、「1台の所有で10万円を超える自動車税を支払っている方も一定数いた」といいます。中には、大排気量車に乗ってかなりの自動車税を支払っている人もいるということですね。
ともあれ、今回の調査で、旧車乗りの7割以上がクルマの税金が重課されることに負担を感じていることが分かりました。
環境対策などもあり、仕方ない面もありますが、気に入ったクルマを長く乗り続けるには、それ相応の負担も必要なようです。
(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)