スズキ「ワゴンRスマイル」VS. ダイハツ「ムーヴキャンバス」。2代目に進化したキャンバスにホスピタリティの高さを感じた【新型車比較】

■新機軸のハイトワゴン、スマイルとキャンバスを試乗比較

N-BOXやタント、スペーシア、ルークスといった現在の軽自動車の売れ筋モデルは、スーパーハイトワゴンと呼ばれるモデルです。これらのモデルは、軽最大級の室内空間の広さと、リアスライドドアを採用した高い利便性が特徴です。

スーパーハイトワゴンは子育て家族をメインターゲットとしていますが、利便性の高さをそのままに、全高を低く設定しパーソナルユースに仕立てたのが、2016年に登場したダイハツのムーヴキャンバスです。

初代ムーヴキャンバスは女性をメインターゲットとして、リアシート下に引き出し式の収納スペースを設けた日本初の「置きラクボックス」を採用するなど、女性が使いやすい工夫が施され大人気となりました。

このムーヴキャンバスの成功によって、2021年にスズキからワゴンRスマイルが登場。そして、2022年7月にムーヴキャンバスがフルモデルチェンジを行い2代目へと進化しています。

そこで、ここでは新機軸のハイトワゴンであるワゴンRスマイルとムーヴキャンバスを比較してみましょう。

●ターゲットユーザーを拡大させるためにターボエンジンを設定した現行型ダイハツ「ムーヴキャンバス」

ムーヴキャンバスの外観02
ムーヴキャンバスの走行シーン

ダイハツ・ムーヴキャンバスの初代モデルは2016年9月に登場しました。

女性ユーザーをメインターゲットに、ライフスタイルを楽しむ女性に寄り添うデザイン性と機能性を両立した、新感覚スタイルワゴンがコンセプトでした。

おおらかでシンプルでまるみのある外観デザイン。ナチュラルで居心地の良さを演出したインテリア。そして置きラクボックスなど幅広い世代の使いやすさを考えた新アイテムを採用しているのが特徴でした。

ムーヴキャンバスの外観03
ムーヴキャンバスのフロントスタイル

そして、2022年7月にムーヴキャンバスはフルモデルチェンジを実施。初代を踏襲したキュートなデザインの「ストライプス」に加えて、上質で落ち着いた世界観の「セオリー」を設定しています。

初代モデルのメインターゲットは女性としていましたが、現行モデルでは幅広いユーザーへのアピールを行っています。

ムーヴキャンバスの外観04
ムーヴキャンバスのリアスタイル
ムーヴキャンバスの外観02
ムーヴキャンバスのインパネ

現行型ムーヴキャンバスは、ボディの骨格にDNGAの展開やハイテン材の使用率向上などにより強度を高めながら、マイナス50kgの軽量化を実現。

さらに、DNGAによる高い操縦安定性はそのままに、サスペンションチューニングを実施し、安心で快適な乗り心地を実現しています。

ムーヴキャンバスの内装01
ムーヴキャンバスは自然吸気のほかターボエンジンも用意

搭載しているエンジンは、先代にも搭載されていた自然吸気エンジンに加えて、最高出力64ps・最大トルク100Nmを発生するターボエンジンを設定。

軽量化を達成しているとはいえ、軽自動車の中では車両重量の重いムーヴキャンバスにとって、パワフルなターボエンジンの追加はユーザー層拡大には大きな効果を生みます。

ムーヴキャンバスの外観06
保温機能付きのカップホルダーは寒い時期に重宝する

快適装備として、肌寒い季節に嬉しい保温機能付きの「ホッとカップホルダー」を新設定。

さらに、体を冷やしたくないユーザーに快適な運転席/助手席シートヒーター。マスクなどの薄型小物が入るインパネアッパーボックスなど、様々な工夫が施されており、高い利便性を実現しています。

ムーヴキャンバスの外観05
ムーヴキャンバスのアダプティブクルーズコントロールのスイッチ

安全装備では、進化した予防安全機能「スマートアシスト」を採用。最新のステレオカメラの搭載によって、衝突警報機能や衝突回避支援ブレーキ機能を、夜間歩行者検知と二輪車検知に対応させるなど、機能性を向上しています。

一部のグレードにはアダプティブクルーズコントロールを採用し、ロングドライブや高速走行時の負荷を軽減してくれます。

ムーヴキャンバスの外観07
ムーヴキャンバスのラゲッジスペース

また、専用のカードキーでドアを解錠すると、急アクセル時の加速を制御する機能が作動し、障害物の有無にかかわらず、ドライバーに注意喚起、クルマの加速を抑制するプラスサポート(急アクセル時加速抑制)システムを採用しました。

●マイルドハイブリッドを搭載し燃費性能に優れるスズキ「ワゴンRスマイル」

ワゴンRスマイルの外観03
ワゴンRスマイルの走行シーン

一方ムーヴキャンバスのライバルとして、2021年8月に登場したのがワゴンRスマイルです。

「高いデザイン性とスライドドアの使い勝手を融合させた軽ワゴン」をコンセプトに開発された、ワゴンRの派生モデルです。

ワゴンR譲りの広い室内空間と高い機能性に加えて、スライドドアの利便性と個性的なデザインを兼ね備えたモデルとなっています。

ワゴンRスマイルはボディの骨格部分に、構造用接着剤や高減衰マスチックシーラーを採用し、操縦安定性や乗り心地を向上させています。同時に、不快な音や振動を低減する遮音材などを最適に配置して、静かな車内環境を実現しています。

ワゴンRスマイルの外観01
ワゴンRスマイルのフロントスタイル
ワゴンRスマイルの外観02
ワゴンRスマイルのリアスタイル

ワゴンRスマイルが搭載しているパワートレインは、最高出力49ps・最大トルク58Nmを発生する660ccの直列3気筒DOHCエンジンの1種類。

Gを除くすべてのグレードに最高出力2.6ps・最大トルク40Nmを発生するモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用し、スムーズな加速性能が特徴です。

ワゴンRスマイルの内装02
ワゴンRスマイルのインパネ
ワゴンRスマイルの内装07
ワゴンRスマイルのアダプティブクルーズコントロールのスイッチ

安全装備では、夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサーを標準装備しています。

ワゴンRスマイルの内装06
ワゴンRスマイルが採用してるヘッドアップディスプレイ

さらに、全方位モニター用カメラ装着車は、狭路での車速が約5km/h以下でのすれ違い時に、自動でナビゲーション画面に左側および前方の映像を表示して死角を減らし、接触防止をサポートする「すれ違い支援機能」をスズキで初採用しました。

運転に必要な情報をカラーで見やすく表示するヘッドアップディスプレイ、長距離移動などでの運転操作の負担を軽減する全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)、ステレオカメラが認識した道路標識を表示する標識認識機能も一部グレードに搭載しています。

ワゴンRスマイルの内装03
ワゴンRスマイルのフロントシート

ムーヴキャンバスとワゴンRスマイルの車両本体価格は、ムーヴキャンバスは149万6000円〜191万9500円。ワゴンRスマイルは129万6900円〜171万6000円と、ターボ車があることもあり、ムーヴキャンバスのほうが高くなっています。

ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,655mmとほぼ同じです。しかし、実際に乗ってみると、走行安定性はムーヴキャンバスのほうが上でした。

ワゴンRスマイルのほうが、コーナリングのロール量が大きく、路面からの衝撃も若干大きく感じました。また、同じ自然吸気エンジンでも、静粛性においてもエンジン音の侵入が大きかったのはワゴンRスマイルのほうでした。

ワゴンRスマイルの内装04
ワゴンRスマイルのリアシート

また、ムーヴキャンバスが自然吸気&ターボという2種類のエンジンを搭載しているのに対して、ワゴンRスマイルは自然吸気エンジンのみです。

一方、ワゴンRスマイルの上級グレードには、ISGと呼ばれるモーター機能付発電機とリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用しているのが特徴です。

ワゴンRスマイルの内装05
ワゴンRスマイルのラゲッジルーム

このシステムは、ブレーキを掛けた時などの減速時のエネルギーを利用して発電を行い、専用バッテリーに充電します。加速時にはその電力を使用してモーターでエンジンをアシスト。

その結果、自然吸気エンジンでも発進加速は非常にスムーズで、パワー不足を感じることはありませんでした。

燃費性能はWLTCモードでムーヴキャンバスの自然吸気車の21.6~22.9km/Lに対して、ワゴンRスマイルのマイルドハイブリッド車は23.6~25.1km/Lと上回っており、マイルドハイブリッドの効果は大きいと言えるでしょう。

実力伯仲のワゴンRスマイルとムーヴキャンバス。燃費性能はワゴンRスマイルに軍配が上がりますが、フラットで安定感の高い乗り心地と高い静粛性、さらに充実した快適装備そしてパワフルなターボエンジンを設定しているムーヴキャンバスを、個人的にはオススメしたいです。

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博

萩原 文博 近影
クルマ好きの家庭教師の影響で、中学生の時にクルマ好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、クルマの魅力だけでなく、クルマに関する情報を伝えられるように日々活動しています!