ミズノ「BARECLUTCH」は運転専用ではないけど運転と日常使いに適したドライビングシューズだった

■運転専用ではないドライビングシューズ登場!

●わずか2日半で完売した4万円のドライビングシューズ

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」

みなさん、運転のときにはどんな履物を履いていますか?

下駄、ハイヒール、裸足などNGとされるものはともかく、運転用に適した靴とはどんな靴でしょう。

運転靴、レーシングシューズとして販売されるものの多数は、ペダルの感覚が掴みやすいように底が薄く、歩いたりする実用性にはどうかな?と思うものが多いかと思われます。サーキット走行でもしない限り、気持ちよくドライブしたあとには観光したり、美味しいもの食べに行ったりしたいですよね。

そんな声に応えるように、ミズノからドライビングシューズ「BARECLUTCH」が発売されました。こちらを試す機会があったので、履いて運転して気付いたことをレポートします。

ミズノと言えば、総合スポーツ用品メーカーのイメージでほとんどその通りだと思われます。オリンピックに参加する人のための道具、衣類はほとんどの競技の選手に使用されているとか。イメージしやすいスイムウェアや野球のグローブなどはもちろんですが、たとえばスキー競技では選手が待っている間に着る防寒着なども作っているのだそうです。さらに意外なものでは、佐川急便やミスタードーナツのユニフォームも手掛けているそうです。まさにプロユースに応える企業姿勢なのでしょう。

そんなミズノは、先日クリッカーでもお伝えしたように、ドライビングシューズをマツダと共同開発し、販売しました。そのこだわりのシューズの上代は約4万円! 果たして、ミズノが初参戦するドライビングシューズは売れるのか? 結果は、わずか2日半足らずで、予定の1100足を完売。急遽250足を追加したのだそうです。

●待望の普及バージョン「BARECLUTCH」

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
「BARECLUTCH」は3色展開

そういう需要に答えるべく、今回は普及バージョンとして「BARECLUTCH」の登場と相成ったわけです。

その特徴は、もちろんこれまでのシューズ作りのノウハウと、前回のマツダとの共同開発をふんだんに盛り込んだものです。

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
「BARECLUTCH」のミッドソールを構成する「MIZUNO COB(ミズノ コブ)」

一般的なドライビングシューズの薄く硬いソールでは、歩くなどの日常使いに適しているとは言えません。そこでまずはソール部分にミズノが培ったソール構造『MIZUNO COB(ミズノコブ)』を採用。クッション性を保ちながら、足裏に情報を伝えやすくして、ペダルフィールを向上させています。

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
「BARECLUTCH」のラウンドソール

かかとは床に付けるので丸くなっているのはドライビングシューズ定番の『ラウンドソール』です。

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
「BARECLUTCH」のサイドのエアスリット状デザイン

シューズのアッパー部分には、素材に上質で柔らかい人工皮革を採用。デザインはドライビングシューズらしさをあえて感じさせないほどのものなので、日常使い、たとえばカラーによってはスーツに着用しても似合うのではないでしょうか。

また、スポーツシューズのイメージが強くなるミズノのロゴ「ランバード」は、あえて目立たなくさり気なく配置したそうです。

そんな特徴を持つBARECLUTCHを履いて、早速運転席に座ってみましょう。

●正しい運転を教えてくれるドライビングシューズ

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
知らずにかかとを手前にして操作していました。反省!

ポジションを決め、アクセルとブレーキを踏み換えてみます。このときの試乗車はアルファードで、いわゆる吊り下げ式のアクセルペダル。あまり意識しないで操作してみると、意外にもいつもの自分のかかと位置よりも手前の方で踏んでいるのに気付きました。もしかすると、ラウンドソール部分が安定感を増す反面、普段の靴のイメージで踏むとつま先方向へのソール全長がほんの少し短めになっていて、ペダルの前方ストローク方向よりも下方向へ踏んでいたようです。感覚的には、足の裏でアクセルペダルを踏むというより、つま先を上下にスライドさせてペダルをストロークさせているような。これでは正しい操作ではありませんね。そんな誤りも靴が伝えてくれたのです。

気を取り直して、より深くかかとをレッグルームに入れて操作します。運転しだして気付いたのは、確かにペダルの踏み換えが楽なこと。ラウンドソールが支点となるピボットな動きは抵抗感が一定で、操作がスムーズに感じます。

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
想像以上に踏み換え操作が楽に思えました

それと、意外なほど違いを感じたのが前後の重量配分。かかと方向が重く、つま先方向が軽い。つまり、クルマで言えばミッドシップまたはRRのように向きを変えるためのフロントが軽く、足の旋回性がよく感じられます。足を旋回させたときのモーメントも最小限で、正確な操作がやりやすく感じられました。

ミズノのドライビングシューズ「BARECLUTCH」
マツダ車のアクセルペダルは、床を支点にした、いわゆるオルガン式

ちょっと履いた感じでは普通の靴なのに、運転席ではこんなに違うんだと、意外な驚きがありました。それだけ、普段使いには違和感を感じないということでしょう。

見た目には普通のスニーカーで、日常にも問題なく使えるミズノ「BARECLUTCH」。運転が趣味で大好き!という人にはもちろんですが、ドライブが好きだけど運転だけのために靴を買うのはどうかな?という人にも選んで間違いはない一足と言えそうです。

●BARECLUTCH諸元

商品名:BARECLUTCH(ベアクラッチ)
品番:F1GC2201
発売日:2022年9月20日
価格:オープン価格
サイズ:24.5cm~28.0cm(EE)
カラー:01ホワイト、09ブラック、14ネイビー
素材 甲材:人工皮革、合成繊維
底材:ゴム底
質量:約240g(27.0cm片方)
原産国:ベトナム

(文・写真:小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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