マツダとミズノが開発した約4万円のドライビングシューズのこだわりと実力

■走りにこだわるマツダが、ついにドライビングシューズにも進出!!

マツダとミズノが共同開発したドライビングシューズが登場しました。

2021年7月6日14時からクラウドファンディングサービスの「Makuake(マクアケ)」で予約受注を開始し、2022年3月末から届けられる予定だそうです。予約受注から届くまで、早くても約10ヵ月もあるのには理由があります。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
マツダとミズノが共同開発したドライビングシューズ

通常、市販されているミズノのシューズは、海外で大量生産されているそうですが、このドライビングシューズは、日本国内の工場で職人が作り込んでいます。トップアスリート向けやオリジナルのオーダーメイドのシューズと同じ手法になります。

サイズは、24.5~28.0cmまで0.5cm単位で用意(EE相当)。カラーは、「ブラック×グレー」の1色。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
ロードスターの「マシーングレープレミアムメタリック」に似合うイメージのカラーリングが採用されている

「Makuake(マクアケ)」での販売価格は、税込3万9600円。なお、早割で価格が異なり最初のオーダー分では3万5200円となるそうです。

某大手通販サイトでドライビングシューズを検索すると、世界的に有名なハイブランドで10万円を超えるシューズはありますが、4万円級の価格も決して安くはありません。しかし、マツダとミズノが開発初期から約3年半かけて開発したというドライビングシューズは、試着し、実際に運転してみるとその価値が十分にあることが分かります。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
マツダとミズノのロゴの上(赤いアクセントカラー)近くにストレッチパーツを用意

目を惹くのは、ハイカットが採用されたフォルム。アマチュアも含めてレース用のドライビングシューズ(レーシングシューズ)には、ハイカットも珍しくありません。

しかし、一般ユーザーを想定したドライビングシューズは、ローカットが多い印象を受けます。今回、発売されたマツダとミズノのドライビングシューズは、主に一般ユーザーを想定していて、ハイカットであるのは、機能を「形」にしたため。最大の特徴は、運転時の足首の動きである背屈(はいくつ)と底屈(ていくつ)に着目して開発された点です。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
アキレス腱付近のジャバラ構造(メッシュ)が底屈時のアッパー部の変形を抑える

背屈とは、足首の関節を甲の方向に、持ち上げる動き。底屈は、逆に足首の関節を下方向に曲げる動きになります。かかとを起点に、足首を上下させ、ペダル操作をするだけでなく、アクセルとブレーキの踏みかえ、MT車であれば、左足で背屈と底屈の動きや、半クラッチで足首を固定させるような動きもあります。

足の甲の上、足首辺りにストレッチパーツが配置され、背屈をサポート。底屈をサポートするのが、かかとの部分(アキレス腱付近)のジャバラ構造(メッシュ)で、底屈時のアッパー変形を抑制します。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
上部のマジックテープの調整により、運転時の足首の動きに対応する

さらに、背屈サポートにより、ほかの一般的なスニーカーと比べると、ペダル踏みかえ時の筋肉の活動を低減させることが確認されているそうです。

また、ドライビングシューズに求められるのは、足裏からの情報が伝わりやすいことがあります。ソールが分厚いタイプだと情報量が少なく、微妙なペダル操作ができなくなります。とくに、MT車であればクラッチのつながりが分かりやすいほど、運転しやすくなります。

一方で、ソールが薄いと、クッション性が低くなり、歩行時に疲れを誘いやすくなります。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
かかと部分まで覆うラウンドソール

このドライビングシューズでは、「MIZUNO COB」と呼ばれるトレーニングシューズ由来の構造が採用されています。複数の柔らかい突起が独立して情報伝達を行うことで、必要な荷重情報が得られるのが特徴。足裏の感度を高め、バランス能力や反応速度の工場にも寄与するそう。

さらに、かかと付近がラウンドしたラウンドソールが採用されています。3Dによる緻密な解析は、マツダのクルマ開発の技術が応用され、剛性バランスや土踏まずのアーチ形状など、0.01mm単位で作られたソールになっています。試着して歩いてみると、足首を中心にフィット感の高さが印象的。

また、紐の上にあるマジックテープで足首上部の余裕(隙間)を調整できるため、ペダル操作の動きで当たって痛いなどはなく、初めて履いたとは思えないフィット感と快適性を両立している印象です。

ドライビングシューズを履いて2ペダルのMX-30 EVモデル、MT(3ペダル)NAロードスターに乗って見ると、足の上げ下げ(背屈、底屈)が非常に楽なのはもちろん、支点となるかかとの安定感が際立っています。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
緑と赤のNAロードスター(MT)に試乗し、ドライビングシューズと自分の靴を履き替えて試乗した

また、足裏からの(とくに、足底中央付近からつま先)情報もよく伝わってきますので、微細なアクセルワークや半クラッチ、ヒール&トゥを含めた操作がしやすいのが印象的です。私は、自分のクルマがMT車ということもあり、普段から運転しやすいスニーカーを履いているつもりです。自分の靴と履き替えてそれぞれ運転すると、運転のために開発されたシューズであるのがよく分かります。

なお、このドライビングシューズは、運転時以外の使用も十分に想定されていて、このシューズを履いたままドライブ先で歩くなど過ごすこともできます。

マツダ ミズノ ドライビングシューズ
EVのMX-30でもより微細なアクセル、ペダル操作が可能だった

さらに、試着や運転時は雨天時でしたが、滑りにくく安心感もありました。開発者が雪上で歩いても滑ることはなかったそうです。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

【関連リンク】
Makuake(マツダ/ミズノ ドライビングシューズのプロジェクトサイト)

https://www.makuake.com/project/drivingshoes/

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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