ヤマハの災害対策は「遊んで備える」その内容は?「RESCUE EXPO in立川」 に出展

■ヤマハ発動機が「RESCUE EXPO in立川」 に出展して訴えたことは「遊び」?

以前、とある防災訓練のとき、非常食をいただきました。防災訓練主催者はそれを配りながら「帰ったらこれを食べてください」というのです。いや、普通は非常食は非常時まで取っておくものでしょう。今食べてどうするんだろう?という疑問がわきます。その主催者曰く「非常時に非常食を初めて食べて、どうしても食べられないものだったら困るでしょう。なので、平時に自分が食べやすい非常食を探して備蓄したほうがいいんですよ」と。

なるほど〜。非常時だから我慢することはたくさん出てくるはず。非常食が自分の好きなものだったら、非常時の心の余裕が少し違うだろうし、備蓄しながら時々食べていけばいつの間にか期限切れになって廃棄…なんていうフードロスも防げますね。

「RESCUE EXPO in立川」におけるヤマハ発動機グループの出展を見て、そんなことを思い出しました。

ヤマハ発動機「RESCUE EXPO in立川」 出展ブース
ヤマハ発動機「RESCUE EXPO in立川」 出展ブース

ヤマハ発動機株式会社とグループ会社のヤマハモーターパワープロダクツ株式会社、ヤマハモーターエンジニアリング株式会社が、2022年8月25日(木)、26日(金)、「アリーナ立川立飛」隣接の特設会場で開催された「RESCUE EXPO in 立川」に共同出展しました。このイベントは、消防隊員らが救助技術を競い合う「全国消防救助技術大会」と共催の防災展示会となっています。

その出展テーマは、「PLAY SURVIVE 遊んで 備える」です。非常時にいきなり備えてある防災グッズ、救助アイテムを使うのは不安も伴うし、もしかすると使えないかも知れません。それ以前に何をするものかわからないってことも考えられます。ならば、それを普段から活用すればいいというわけですね。

そんなヤマハ発動機グループの展示アイテムを見てみましょう。

●電動アシストホースカー(コンセプトモデル)

●電動アシストホースカー
電動アシストホースカー

消防車には放水のためのホースを積んでいますが、何十メートルもあるそのホースをを運ぶのは大変な労力です。以前からヤマハでは、ホースを人力や動力を使って運ぶためのホースカーを製造販売してきました。もちろん、バイクのホイールリム、ブレーキなどを応用しての製品です。

今回、消防活動の迅速化・省人化・効率化への寄与を目的とした、小型電動アシストホースカーが出展されました。こちらはヤマハ得意の電動アシスト技術を応用しているわけです。

軽量でパワフルなモーターアシスト、アシスト力の自動制御機能、大径タイヤの採用で、引くだけで電動動力によりアシストしてくれ、操縦しやすいのが特徴。消火活動現場へホースやその他のアイテムを迅速・確実に運び、消火活動をサポートできるというわけです。

電動アシストホースカー
車輪の軸受部分に電動サシスとユニットを搭載
電動アシストホースカー
引く力が加わると電動アシストが働いて楽に引ける
電動アシストホースカー
操作系は非常時にも戸惑わないシンプルな設計
ホースカー
こちらはヤマハ製の手動式ホースカー。現在は主流ではなくなりつつある


●洪水・水難救助艇 「RS-13」(コンセプトモデル)

洪水・水難救助艇 「RS-13」
洪水・水難救助艇 「RS-13」

バイクもヤマハ発動機の主力商品ですが、ボートや船外機も同様です。 「RS-13」は、洪水災害における救難活動を目的としたボートです。運用の現場から声を集め、救助や避難など目的に合わせた仕様の提案を経て、最適な機能・性能をパッケージしたといいます。

全長は約4mとコンパクトながら、乗船定員は最大6名。操安性を追求した運動性能や、開閉式フロントゲートにより、船首からも乗降可能な高い現場対応力を備えています。

というのは、災害時における使い方を想定したもの。しかし、これをレジャーに使ってもいいのでは?というのがヤマハらしいところ。フロントの開閉ゲートがあるおかげで、例えばお子さんが乗降しやすくなったり、大漁のクーラーボックスの積み下ろしが楽になるかも、とか、災害時を想定した安定性は、釣りやその他のレジャーにもきっと役に立つはず。

洪水・水難救助艇 「RS-13」
タイヤが取付可能で、浅瀬から陸上へ上がることも可能。オプション設定の予定
洪水・水難救助艇 「RS-13」
ヤマハ発動機の船外機を搭載可能
洪水・水難救助艇 「RS-13」
「RS-13」には開閉式のフロントゲートを装備して乗降性を楽にする


ぜひ、レジャー用にも転用していただきたいと思います。

●四輪バギー「Wolverine RMAX4」(参考出展)

四輪バギー「Wolverine RMAX4」
四輪バギー「Wolverine RMAX4」

北米ではこういったバギーを山岳地へ運んで、一日中自然の中を走り回るような遊びがメジャーなレジャーとして確立しているのだそうです。そのオフロードでの走破性を活かし災害時や救難現場での活用の可能性を模索するため、参考出品車両として展示します。

「Wolverine RMAX4」は、2気筒999㏄高トルク出力エンジン、エンジン特性モード切替機能を備えた、4名定員の四輪バギーです。北米市場ではすでに発売されており、それまでの排気量が小さなモデルに比べ、かなりのヒットとなっているそうです。やっぱり北米はパワーがモノを言う、というわけでしょう。

こういった車両をレジャー用に持っていれば、いざという時、普通の車両では入っていけない場所へ救援物資を届けたり、救助に向かったりできそうです。レジャー用として日本でも普及するといいですね。

四輪バギー「Wolverine RMAX4」
四輪バギー「Wolverine RMAX4」
四輪バギー「Wolverine RMAX4」
悪路走行に備え、後席もバケットタイプ
四輪バギー「Wolverine RMAX4」
北米向けなので左ハンドル


●発電機 「EF1800iS」「EF900iSGB2」 (コンセプトモデル)

こちらも非常用だけでなくレジャー用にも最適なように、「誰でも・いつでも使える発電機」を目指した発電機です。始動のしやすさや、明かりのない場所での操作を考慮した畜光塗料のグラフィックなど、随所に災害時にもレジャーでも役に立つ想定の工夫を加えています。

発電機 「EF1800iS」「EF900iSGB2」 (コンセプトモデル)
発電機「EF1800iS」(コンセプトモデル)
発電機 「EF1800iS」「EF900iSGB2」 (コンセプトモデル)
発電機「EF900iSGB2」(コンセプトモデル)


(文・写真:クリッカー編集長 小林 和久)

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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