日産アリア B6の東京〜大阪往復の電気代は約1万3200円【新車試乗】

■事前に急速充電器の出力をチェックしておかないとハズレクジを引いた気分

2022年7月、中国でBEV(電気自動車)の最大手メーカーであるBYDが、日本の乗用車市場に進出することを発表しました。

2023年1月に導入予定のミドルサイズSUVの「ATTO 3」を皮切りに、中頃にコンパクトカーの「DOLPHIN」、下期にミドルセダンの「SEAL」を販売する予定です。

アリア外観10
普通充電ポートは右フェンダーに設置

一方、アメリカのカリフォルニア州は8月25日に、2035年以降、同州内でのガソリン車やハイブリッド車などの新車販売を全面的に禁止する新たな規制案を決定したと発表しました。

実現できるのか、できないかは不透明ですが、カーボンニュートラルに向けて、クルマの環境性能に対する規制が厳しくなっていくことは避けられそうにありません。

そこで、今回はカーボンニュートラルに向けて主役を務めるであろうBEVの日産アリア B6で東京~大阪のロングドライブを行い、現時点におけるBEVの実用性&利便性についてリポートします。

●BEVのアリアB6 2WDで東京から大阪へ

日産アリアは2020年7月に発表され、2022年6月からエントリーモデルのB6 2WDのデリバリーが始まりました。しかし、半導体不足などの理由によって現在は注文が一時停止となっています。

アリア外観04
アリアB6のフロントスタイル

アリアのボディサイズは、全長4,995mm×全幅1,850mm×全高1,665mmです。

グレード構成は、バッテリー容量が66kWhのB6と、91kWhのB9を2種類。駆動方式は2WD(FF)と、e-4ORCEと呼ばれる4WDの2種類で、合計4グレードを設定しています。

今回試乗したのは車両本体価格539万円で、オプション装備の運転支援システム「プロパイロット2.0」を装着すると、最大92万円の補助金が適用されるアリアB6 2WDです。

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アリアB6のリアスタイル

搭載しているモーターは最高出力218ps・最大トルク300Nmを発生。満充電時の走行距離はWLTCモードで470kmとなっています。

このアリアB6 2WDは以前、街乗り中心で試乗しましたが、やや硬めのセッティングによってリアサスペンションの動きに落ち着きがなかったことが気になりました。

今回のロングドライブでは、高速道路での乗り心地と運転支援システム“プロパイロット2.0”の進化。そして、急速充電器の使用頻度について確認してみました。

●超ロングドライブへ出発

試乗車を横浜の日産本社で受け取った時、充電量は100%で走行可能距離は408kmでした。だいたい1%で約4km走行できる計算です。

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借り出した時以外100%を見ることはなかった

今回は横浜でクルマを借り出し、東京湾アクアラインを渡って木更津で開催されている試乗会に参加。そして翌日に東京から名古屋に移動。3日目に名古屋から大阪へ移動。そして4日目に大阪から東京まで戻るというロングドライブでした。

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アリアB6のフロントに搭載されたモーター

まず高速道路での乗り味ですが、街乗りで気になったリアサスペンションの落ち着きのなさは、キレイな路面状況では起きませんでした。

ただし、アンジュレーションがある荒れた路面になると発生するので、この点は早く改善してもらいたいところです。

また今回はリアシートにも試乗しました。リアシートの乗り味は抜群で、フラットな床面とフロントシートとの距離がたっぷりとあり、まるでショーファードリブンのような感覚です。これは日産のフラッグシップEVに相応しい乗り味と言えるでしょう。

●プロパイロット2.0の進化具合を試してみた

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プロパイロット2.0の操作スイッチ

続いては、日産自慢の“プロパイロット2.0”です。以前、日産スカイラインハイブリッドでテストを行った時にはハンズオフできる区間が本当に短く、頻繁に『ステアリングを握って下さい』という指示が出たこともあり、まだまだの印象でした。

今回は、新東名高速の駿河湾沼津SA〜長篠設楽原PAの間で実施。新東名高速の静岡エリアは最高速度が120km/hですが、プロパイロット2.0を使用すると非常に快適です。

トンネルの多い新東名ですが、トンネルの中に入っても500mくらいまではハンズオフのまま走行可能でした。

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新東名高速ではプロパイロット2.0を作動させ、ハンズオフで走行

スカイラインに搭載されているプロパイロット2.0と比べると、ハンズオフ可能な区間も長くなっただけでなく、『ステアリングを握って下さい』というアナウンスも少なかったのが印象的でした。やはり、自動運転技術の進歩(※レベル2)は目覚ましいものがあります。

●同じ急速充電でも、出力によって走行可能距離に差が出る?

そして、最後は充電についてです。すでにBEVに乗っている人にとっては当たり前の話かもしれませんが、アリア B6のようにバッテリー容量が大きなEVは、満充電時の走行距離が長くなる反面、充電時間は長くなります。

筆者の自宅は集合住宅のため普通充電ができず、横浜で借り出した時だけしか100%という数字を見ることができませんでした。ロングドライブを行うためには、高速道路のSAやPA、ディーラーなどに設置された急速充電器を利用して走行します。

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草津SA上りの充電シーン

しかし急速充電器の出力は様々な仕様があるため、同じ30分充電してもその後の走行可能距離は異なってしまいます。

今回最初に充電を行った駿河湾沼津SAは50kWでしたが、次いで充電した長篠設楽原PAは90kW(2台ならば半分の出力)で、今回充電した急速充電器では最も出力が大きく、30分の充電で約60%充電でき走行可能距離が300km近くまで延びました。

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アリアB6のフロントシート

このようにBEVでロングドライブを行う場合は、急速充電器の場所だけでなく、出力も注意しないと、同じ30分の充電でもその後の走行可能距離に差が出てしまいます。今回のドライブで、自分のミスにより、90kWの急速充電器が設置されている名神高速草津PA下りの入口を見落としたことで、走行プランがかなりずれてしまったのは反省点です。

大阪から東京まで戻る時は、草津PA上り、岡崎SA、清水PAそして、鮎沢PAの合計4回充電を行い、約9時間半掛かりました。30分充電して走行距離が300kmと表示されないと、ちょっと物足りなさを感じます。

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アリアB6のリアシート

今回、BEVのアリアでロングドライブを行いましたが、旅行プランを立てる際に急速充電器の出力を事前にチェックしておくこと。そして、宿泊場所を普通充電が可能なホテルなどの施設にすることなど、工夫することによって、EVによるロングドライブのストレスが軽減されるはずです。

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2WD車の5人乗車時のラゲッジ容量は466L
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リアシートを倒すとフラットな床のスペースが拡大する

そして今回の東京~大阪ロングドライブの電費は5.9kWh。電気代は、急速充電器1回30分の利用料金が1,650円(会員カードなしの場合)。合計8回利用したので、1万3200円となりました。

ガソリン価格が高騰していますが、現在のところ、燃費の良いハイブリッド車やディーゼル車などと比べると若干割高と言える程度です。

同じ時間、同じ料金でも急速充電器によって充電量に差が出てしまうのが、懸念材料と言えるでしょう。

(文、写真:萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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