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■走行中、冠水した道路で立ち往生してしまったら
近頃では気候変動の影響もあり、突然のスコールや台風襲来による水害が頻繁に発生するようになっています。
2021年の夏にも大規模な集中豪雨が発生し、各地で河川の氾濫や土砂崩れ、道路の崩落などが起きました。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
豪雨の際は家屋の浸水だけでなく、走行中のクルマが冠水した道路で走行不能になり、立ち往生することがあり得ます。
では、もし自分がそうした場面に遭遇した場合、どうすればよいのでしょうか?
●クルマが水没するとドアが開かない
日本自動車連盟(JAF)が、冠水路で実検した映像を公開しています。
実検結果では水深60cmの場合、水圧の影響によりドアを開けるのに通常の5倍近くの力が必要になるようです。
ミニバンのスライドドアの場合は水深60cmになると、開けることすらできません。
この実検で注目されるポイントとして、水没時に車内外の水位差が大きい場合、ドアを開けるのは困難であり、水位差が少なくなるまで開けることができないという点。
しかし、ここまで水位が上がると、パニック状態に陥る可能性が高く、冷静な判断ができそうにもありません。
そこで重要となるのが、ドアガラスを割る為の脱出用ハンマーの装備。
●脱出用ハンマーなら一撃でガラスが割れる
尖ったハンマー先端による一撃で、焦っている際でも比較的容易にガラス割ってクルマから脱出する事が可能になります。万が一に備えて車内に常備しておくべきでしょう。
一方、水位が浅いからと言って油断は禁物です。
例え20cm程度の冠水でも、走行中に車両前部で巻き上げた雨水がラジエータグリルを通してエアクリーナーからエンジン内に浸入すると、エンストを起こして立ち往生するだけで無く、「ウォーターハンマー現象」が発生してエンジン自体を痛めてしまう可能性が有るからです。
またエンジンルーム内のバッテリーが被水すると、電気系統がショートする可能性もあることからも、無理なエンジン再始動は避けた方が良さそうです。
ゲリラ豪雨の場合、特に鉄道と道路が交差するいわゆる「アンダーパス」では、あっという間に道路が冠水してしまうため、近付かないのが賢明です。
●水没による全損には車両保険が有効
そしてもう一点のポイントが車両保険の有効性。
クルマが水没してしまった場合でも車両保険に加入していれば殆どの場合、大雨による水害も車両保険の補償対象になります。
水没してしまうと、前述のとおりエンジンや電気系統がやられてしまい、修理不能の「全損」扱いになるケースが大半。
この場合、契約時に設定した車両保険金額全額(免責無し)が支払われます。
保険を利用すると、通常は等級が3等級下がりますが、大雨による水没の場合は1等級下がるのみ。もちろん、今回のような堤防の決壊による洪水が原因の水没も保障対象となります。
台風シーズンがまだ暫く続くだけに、「備えあれば憂いなし」の精神で「もしも」の災害に備えたいものです。
【関連リンク】
・JAFユーザーテスト
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/usertest/submerge/index.htm
※この記事は2022年6月21日に再編集しました。
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