コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増! クルマを持ちたいと考えている20代も84.5%に

■脱・若者のクルマ離れ!? 個人間カーシェアのエニカが調査

近年は、クルマへの興味やクルマ所有に掛かるコストの高さなどにより、都市部の若者層を中心にクルマ離れが進んでいるといわれます。

ところが、カーシェアプラットフォーム「Anyca(エニカ)」を運営するDeNA SOMPO Mobilityの調査結果によると、コロナ禍の影響が大きく出た2021年には、20代の同サービス新規登録者が急増したといいます。

コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増
調査によると、クルマを持ちたいと考える20代が84.5%

しかも、20代のサービス利用者中84.5%が、「クルマを保有したい」と考えていることも判明。果たして、コロナ禍により、クルマに対する若者の意識には大きな変化が起きているのでしょうか?

●2021年は20代の新規利用者が約61%に

今回発表された調査結果は、DeNA SOMPO Mobilityが運営するエニカの新規登録者に対するアンケートなどを元に集計されたものです。

ちなみに、エニカとは所有者と利用者の間で契約してクルマを貸し借りする、いわゆる個人間カーシェアサービス。同サービスでは、個人のオーナーだけでなく、レンタカーや法人所有の車両なども利用可能で、国内外の乗用車からスポーツカー、高級車、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池車)など、1000を超える豊富な車種を選べることが特徴です。

調査結果では、まず、エニカの2021年1月〜10月に新規会員登録したユーザの中で、20代は約61%と、全体の半数以上を占めることが分かりました。

コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増
エニカの新規登録者に占める年代別20代の割合(出展:DeNA SOMPO Mobility)

同サービスでは、運営を開始した2015年から2018年までの期間では、20代の新規登録者割合は38%だったそうです。それが、いきなり2021年の10カ月間で約61%に増加。

この差から、同社では、ここ1年のコロナ禍を契機に「クルマやカーシェアに興味をもつ20代が増えていることが予想される」といいます。

●いいクルマに長時間乗ると欲しくなる!?

DeNA SOMPO Mobilityでは、このデータのほかにも、2021年3月と2021年9月にエニカのユーザーを対象に行った2回のアンケート調査についても公表しています。

まず、2021年3月に実施した、2020年の新規登録者を対象としたアンケート調査(回答者数324名)では、クルマを保有していない20代の84.5%が「クルマを保有したい/保有を検討中」と答えたといいます。

また、2021年9月に行った、2020年9月〜2021年9月の新規登録者へ行ったアンケート調査(回答者数950名)では、20代の90.6%が「月に1回以上の運転頻度」と回答。

コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増
20代ドライバーの意識調査結果(出展:DeNA SOMPO Mobility)

同社では「(エニカにおける)一回のシェア平均利用時間は31時間」と比較的長い時間に利用することから、「良いクルマに長い時間乗る体験をおこなうことで、クルマへの購入意向があがっていく」と推測しています。

ちなみに、利用後のレビューには、「将来的にこの車を購入したい」といったコメントも多く見られるといいます。

●クルマを持ちたい若者を増やすには?

今回発表された調査結果では、ほかにも、20代のユーザーが同サービスを利用する理由についても公表。

第1位は「乗りたい車種があるから(車種が豊富で選べる)」52.8%、第2位「安いから/コストパフォーマンスがよいから」27.1%となっているそうです。

コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増
乗りたい車種があることやリーズナブルな点でカーシェアを利用する若者も多い

また、30代のユーザーでも、「乗りたい車種があるから(車種が豊富で選べる)」を理由に挙げた人が最多だったそうですが、その割合は40.3%。20代の方が乗りたいクルマのために同サービスを利用しているようです。

今回の調査は、あくまで個人間カーシェアのエニカを利用した人が対象のため、一概にこの結果だけで、「コロナ禍により若者のクルマ離れが減少」したとは結論付けられないでしょう。

ですが、コロナ禍により、「密」を避ける移動手段としてクルマが見直されていることは確かのようですから、そういった意識が若者にも波及していることは十分に考えられます。

また、同社が言及する通り、カーシェアにより比較的安価に、いいクルマや乗りたいクルマを利用する体験をしたことで、「クルマを所有したい」と思う若者が増えていることもある程度推測できます。

コロナ禍で若者の個人間カーシェア利用者が急増
ドライブなどで乗ることを楽しむこともクルマの醍醐味

この点を踏まえ、調査を行ったDeNA SOMPO Mobilityでは、「今後は自動車メーカーとのコラボレーション施策などをおこない、若者のクルマ離れがなくなるよう、クルマの魅力を発信していきたい」と、同サービスの内容を向上する方針だといいます。

クルマは、単なる移動手段だけでなく、レジャーやドライブなどで「乗って楽しむ」ことや、「運転を楽しむ」という要素も大きい乗り物。昔から多くの愛好家を虜にしてきたのは、まさにその点で、クルマを所有したり乗ることは、ある意味「文化」だともいえます。

若い世代がカーシェアなどをきっかけに、そういったテイストも感じてくれるといいですね。

(文:平塚直樹 *写真は全てイメージです)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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