ハーレー・ダビッドソンの歩みとは?:自転車用エンジンからアメリカを代表するブランドへと成長【バイク用語辞典:バイクメーカーの歴史編】

■アメリカンバイクと言えばハーレー、日本でも圧倒的な知名度の高級バイク

●優美なスタイルと独特のエンジン音が魅力のバイク

自転車に搭載するエンジンの開発から始まり、100年以上の歴史を持つ米国のハーレー・ダビッドソン。個性的な大型バイクにこだわり、基本的には700cc以上の空冷エンンジンのバイクだけを作り、高い商品力とブランド力を維持し続けています。

アメリカンバイクの代表、バイク乗り憧れのハーレー・ダビッドソンの歩みについて、解説します。

●起源

ハーレー・ダビッドソンは、2人の幼なじみによって設立されました。

・1901年:ミシガン湖に近いウィスコンシン州ミルウォーキーでハーレー・ダビッドソン誕生
設立したのは、エンジニアリング会社の製図工のウィリアム・ハーレーと模型製作者のアーサー・ダビットソンですが、すぐにアーサーの2人の兄が加わりました。

・1903年:自転車用エンジンの開発
最初に着手したのは、当時流行っていた自転車搭載用単筒400ccエンジン。このエンジンを自転車のフレームに取り付けて初めての試作車が完成

・1904年:サイレントグレーフェロー号の生産開始
排気量を475ccに拡大して改良を加えた記念すべき第1号「サイレントグレーフェロー」の生産を開始。サイレントが静か、グレーがボディの塗装色、フェローが高い信頼性を意味します。

●ハーレー・ダビッドソンの躍進

1907年型エンジン搭載自転車_(C)Creative Commons
1907年型エンジン搭載自転車_(C)Creative Commons
1916年 1,000 cc HT (C)Creative Commons
1916年 1,000 cc HT (C)Creative Commons

1907年、当時先行していた「インディアン社」のエンジンを参考にして、単筒エンジンからVツイン(2気筒)エンジンに変更。1909年には、「5D」と名付けた7.2PSの810cc Vツインエンジンを完成させて量産を始めます。1911年に、排気量を1000ccに拡大して現代に通じるハーレーのエンジンの原型が出来上がります。

ハーレーダビッドソン 1933年VC 1200cc サイドバルブ (C)Creative Commons
ハーレーダビッドソン 1933年VC 1200cc サイドバルブ (C)Creative Commons
1936年_E_1937年_UL1200cc (C)Creative Commons

1909年にロングアイランドの耐久レースに初参戦で優勝を果たしました。これが、ハーレーのモータースポーツのデビューでしたが、それ以降もハーレーは多くのモータースポーツに参戦、力強い走りと高い耐久信頼性によって多くの勝利を飾りました。この成功による宣伝効果によって、ハーレーの名は全米のみならず世界中に知れ渡るようになりました。

●ハーレーのバイク史概要

順調に業績を伸ばしていたハーレーですが、1929年に起こった世界恐慌によって状況は一変します。その後も第二次大戦が起こり、受難の時期が続きます。

・終戦後の復活
1952年に現在のスポーツスターの前身となる「Kモデル」、1957年には現在も高い人気を誇るスポーツスター「XL」を発売。低迷していた販売が復活

・1960年代:キューバ危機やベトナム戦争の長期化の影響で米国経済はまたも低迷
経営危機を迎えて、機械メーカーAMF(アメリカマシンファンダリー社)の傘下となりました。

・AMF傘下でのモデル
1977年にハーレー初のカフェレーサーモデル「XLCR」、1980年には最初のベルトドライブの「スタージス」を発売、ついにAMF傘下から独立

・独立して人気の復活
1990年に「スタージス」と「ファットボーイ」、翌年1991年には「ダイナデイトナ」と名モデルを投入、人気の復活を果たします。

ハーレーダビッドソン ライブワイヤー
ライブワイヤー(ハーレーダビッドソンジャパン)

・2003年に創立100周年
初のDOHC 4バルブエンジン「レボリューション」搭載の「V-ROD」を発売

・2019年:電動バイクライブワイヤーを発表
0-60マイル加速3.5秒、満充電の航続距離110マイルを実現


ハーレーの優美なスタイルと独特のエンジン音、その迫力や躍動感が、長くバイク乗りを魅了しています。日本に輸入されたのは1912年で、最初は軍事用として使われたそうです。以降100年以上、日本ではバイクのことを知らなくてもハーレーの名前は知っている、高級ブランドバイクの代名詞となっています。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる