ドゥカティの歩みとは?:電子部品製造からイタリアを代表するメーカーに【バイク用語辞典:バイクメーカーの歴史編】

■デスモドロミック機構やLツインエンジン、パイプフレームなど個性的な技術を開発

●イタリア車らしい力強い走りと洗練されたデザインが人気

ドゥカティといえばスポーツモデルで有名ですが、最初のモデルは多くのバイクメーカーと同様、自転車にエンジンを搭載した簡単なものでした。しかし、その後デスモドロミック機構などのさまざまな独自技術によってレースで活躍、現在も進化し続けています。

レースで培った優れたハンドリング特性と高い性能が人気のドゥカティの歩みについて、解説します。

●起源

ドゥカティの起源は古く、電子部品を製造する会社です。

・1926年:イタリアのボローニャで「ドゥカティ・ラジオ無線特許科学会社」設立
アドリアーノ・ドゥカティとマルチェロ・ドゥカティの兄弟がコンデンサーなどの電子部品を製造する会社を設立します。

・1946年:自転車搭載用エンジンを製造
第二次世界大戦の後、トリノのシエタ社の「クチョロ」というエンジン搭載自転車の4ストローク40ccエンジン製造を始めます。ドゥカティの高性能エンジンは評判となり、シエタ社だけでなく他のメーカーからも注文が入ります。

1950年クチョロ-エンジン (C)Creative Commons
1950年クチョロ-エンジン (C)Creative Commons

・1950年:エンジンの累計生産台数は20万台に到達
クッチェロエンジンを搭載したバイクはレースで他を圧倒的する走りをみせ、ドゥカティのエンジンの人気はさらに急騰、欧州の多くのバイクメーカーに供給することになります。

●ドゥカティの躍進

エンジン製造の成功で資金を得たドゥカティは、自社一貫の完成車製造を開始。バイクの性能をアピールするため自らレースへ参戦して、50ccクラスでは敵なしで世界記録を樹立するなど、世界にドゥカティの名を轟かせました。

これで自信をつけ、エンジン搭載自転車でなく本格的なバイク製造に着手。1950年に完成したのは、プレス鋼板フレームに本格的なサスペンションを装備、65ccの単気筒エンジンを搭載した「60スポルト」でした。さらに1952年には、スポルトの上級クラスの98cc「スポルト98-S」も生産。

こうして、ドゥカティは1950年代前半に世界的に有名なバイクメーカーへと成長したのでした。

●ドゥカティのバイク史概要

1954年に設計者ファビオ・タリオーニが入社し、彼の卓越した技術力によってドゥカティはさらに飛躍することになります。

・斬新な「ベベル(傘型)ギヤ機構」によってカムを駆動
1955年、ベベルギヤ機構を採用した100cc OHCエンジンを搭載した「グラン・スポルトレーサー(愛称マリアンナ)」を発表、その後も多くのベベルモデルが登場

・「デスモドロミック(略称デスモ)」機構を開発
1956年、世界グランプリに参戦した125ccGP用レーサーに初めてデスモ機構(強制バルブ開閉システム)を採用。市販車に初めて採用されたのは1968年の「マークIII」、その後ほぼすべてのモデルに採用し、ドゥカティを代表する技術となります。

1964年マッハ1 (C)Creative Commons
1964年マッハ1 (C)Creative Commons

・L型2気筒(Lツイン)エンジン登場
1970年のミラノショーでLツイン「750GT」を発表。1971年に市販化、翌年にはスポーツモデル「750S」、1975年には「900SS」を投入

1975年900SS (C)Creative Commons
1975年900SS (C)Creative Commons
1971年750GT (C)Creative Commons
1971年750GT (C)Creative Commons

・さまざまなレースを制覇、高性能をアピール
先進技術を駆使したドゥカティは、さまざまなレースで大活躍。代表的なのは、1972年「ベベル750」のイモラ200マイルレースでの1、2フィニッシュ、1978年の「Lツイン900SS」のマン島TTレースでの優勝、「816」「916」「996」によるスーパーバイク選手権の制覇などです。

・パンタ系とトレリスフレームの登場
第二世代のL型ツインの登場とともに、1985年初めてパイプのトレリスフレームを採用した「750F1」が登場。


デスモドロミック機構の開発で有名な技術者ファビオ・タリオーニが加わることで、バイクメーカーとしてのドゥカティは大きく飛躍しました。さらに、先進技術をレースで磨き上げ、ドゥカティを世界的なバイクメーカーへと成長させました。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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