鈴木修氏の「ジムニーへの想い」も掲載!生誕50年ジムニーのヒストリー本「スズキ ジムニー〜日本が世界に誇る 唯一無二のコンパクト4WD」が三樹書房より発売

■スズキ創業100周年、1970年の誕生から50周年を記念した、ジムニーの歴史本、2021年4月30日(金)発売!

●1970年、世界の荒れ道を世界に類のないサイズでゆく本格4駆現る

表紙
本屋さんではこの表紙をめざせ!

1970(昭和45)年、スズキから初代ジムニーが発表されました。見た目にもカタログででも男くささをいっぱいに放つ割に、発表日に選ばれたのは3月3日、少女たちが心待ちにするひな祭りの日でした(発売は4月10日)。

初代ジムニー(1970(昭和45)年3月3日発表・4月10日発売)
初代ジムニー(1970(昭和45)年3月3日発表・4月10日発売)

初代ジムニー以前の本格4駆といえば、日本ではトヨタのランドクルーザー、海外にはランドローバーが存在していましたが、相当のマニアでなければ選ばないジャンルのクルマでした。

どのクルマも無骨なデザインで、かつ、大きく重く、日常ユースには不向きだったからです。日本はともかく、世界には、ランクルやランドローバーでなければ走れない道なき道がたくさん存在し、その中には、入れたはいいが「大きい」「重い」がアダとなり、いったんスタックしてしまったら戻れないという道もあります。

ジムニー成功の要因は、ランクルにも負けない本格4駆メカを、世界的にも異質な日本独自の軽自動車サイズの中に押し込み、オフロード走行でこそ不可欠な「小さい」「軽い」ということを大きな価値として与えられたことにありました。

そして「小さい」こととのトレードオフにはなりますが、既存の本格4駆と遜色ない機能を持ち合わせながら低価格だったことも後押ししたでしょう。ことに軽自動車サイズ枠がいまよりもずっと小さかった当時のことです、世界の自動車エンジニア勢は、初代ジムニーを見て「本格ヨンクの走る縮小模型」と思ったに違いありません。

●ジムニーマニアや愛好家だけではなく、クルマ好きなら永久保存の資料としても入手したい1冊

世界中から愛され、かわいがられている、この「侮れないチビ」の50年の歴史を解説するのが本書です。

全156ページの2/3を超える112ページ分を、カラーの歴代ジムニーカタログ写真掲載に費やしています。いっけん、ときおり見かける「ただカタログを載せただけ」の本と大差ないように思えますが、ページをめくっていくにおよび、それらとはまるで違うことに気づきます。

4輪事業参入からホープスター、そして初代ジムニー
冒頭ではスズキの発祥、四輪事業参入からホープスター、その製造権購入から初代ジムニーへの道すじを語る。

冒頭はモノクロ写真とともに、いまに至る「スズキ」という企業の起こりから4輪事業参入の経緯に始まり、次にジムニー前夜祭のクルマと位置づけるべき「ホープスターON」解説、初代360cc時代から現行4代目660ccに至るまで、軽自動車規格の変遷とともにふり返る歴代ジムニー紹介。各世代の中でもさらに細分化されている各型式について、そしてそれらの輸出モデルなど、それぞれについて丁寧に述べ立てています。もちろん軽枠を超えたジムニーについても網羅。

各世代解説
ジムニー各世代の解説。

解説のページ数も文量も適切ですが、濃度が高いだけに文量以上の知識が得られたように錯覚することでしょう。そしてそれらがとおりいっぺんの解説にとどまっておらず、読みすすめていっても「次は?」「そして?」となり、退屈になることもありません。

●国内外のこんなジムニー、あんなジムニー…充実のカタログページ

そして解説ページで得た知識を強固なものにするカラーのカタログページです。

カタログページ
ホープスターON型、「男の相棒」初代ジムニーやジムニーバン、そして知るひとぞ知るビデオジムニー! 当時のソニーのビデオレコーダー(35.8万円!)や、18インチのトリニトロンテレビ(12.9万円!)まで載っているとは!
カタログページ
本カタログのみならず、オプションカタログまで載っており、登場する人物のスタイルなどから、当時の世相やひとびとの自動車に対する趣向などをも読み取ることもできる。

ホープスターON型を皮切りに、国内向けジムニーカタログ(ビデオジムニーも!)ばかりか、昔のオプションカタログや海外向けジムニーまでもが載っているのですが、「よくぞこんなものまで入手していましたね」といいたくなるほどの充実ぶりで、その点数たるや、約550点!

他誌で見かける海外版カタログ掲載の域を遥かに超えた量の、海向こうのジムニーが載っており、「こんなのもあったの?」「こんな国にまで?」と思うこと必至。当のスズキ関係者の人たちでさえ「へえ知らなかった!」と思うのではないでしょうか。

カタログページ
海外名はSAMURAI(サムライ)だけではない。中国向け「LJ80系列」、ヨーロッパ仕様「SJ413/410」なんて初めて知った! これだけでこの本を買いたくなる。

B5サイズの本にB5サイズ以上のカタログ写真を縮小して潤沢に載せているため、ひとつひとつは文字が読めるのがやっとなのが惜しく、「伸び縮みする紙が開発されればいいのに」と思うのですが、逆にだからこそ、解説からカタログ写真ページ、そして巻末の仕様表&変遷に至るまで、まるまる1冊凝縮感がいっぱい。

作り手(著者のみならず、編集者も)の本づくりに対する熱い思いが並大抵のものではなかったであろうことがうかがえます。読むひとの目には、その熱までもが透けて見えてくることでしょう。

●発売日延期が幸いして(?)より濃密な仕上がりの1冊に

三樹書房の編集担当の方によると、著者の当摩節夫さんは日本で3本の指に入るであろうほどのカタログコレクター。そして当初は、ジムニー生誕50周年にして、スズキ創業100周年を迎えた昨年2020年のうちに出したかったそうですが、コロナ禍などの影響で遅れてしまったといいます。

しかし、それゆえに制作の時間も確保できたはずで、カタログの充実ぶりと相まって、当初の予定以上の濃い仕上がりになったのではないでしょうか。

この時勢、「密」は感心しませんが、本の内容が「密」なのは大歓迎。このクルマのユーザーや、ジムニーに興味を抱き始めたユーザー予備軍、いや、「ジムニーのことなら何でも知っているぜ」と自負するジムニーフリークさえ、あらためて手にする価値があるのではないかと思う1冊となっています。

発売は(2021年)4月30日(金)。ジムニーユーザーなら連休はアウトドアに繰り出したいところでしょうが、コロナ禍で外出ができないことを逆手に取り、外出自粛中はこの本を読んで過ごしてみるのもいいのではないでしょうか。

(文:山口 尚志/写真提供:三樹書房)

【スズキ ジムニー 日本が世界に誇る 唯一無二のコンパクト4WD】

著者:当摩節夫 自動車史料保存委員会
発行:三樹書房
体裁:B5判 上製 156ページ(カラー112ページ)
定価:本体 3500円+税
発売:2021年4月30日(金)