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■NEXCOも太鼓判!? 合流車線の終点で1台ずつ合流する「ファスナー合流」
2023年のゴールデンウイークは、コロナ禍以前の日常に戻りつつあり、各地の観光地などでは再び混雑が予想されています。特に高速道路では本線が渋滞し、入口の合流車線も混雑。なかなか本線に合流できないということがあるかも。
また、SAやPAで休憩後に出発する際も同様ですし、一般道でもショッピングセンター付近の幹線道路などが渋滞し、側道から合流するのに時間が掛かってしまうことも多いですよね。
そんな渋滞時の本線への合流をよりスムーズにする方法が、ここで紹介する「ファスナー合流」です。これは、一体どういったものなのでしょうか。
●手前で入ると流れが悪くなる
渋滞している道路の本線へ合流する際によく見かけるのが、合流車線から列に入る位置がバラバラなことです。手前や真ん中、終点まで行き入るクルマなど、ドライバーが思い思いの位置で入ることで、逆に本線の流れが悪くなっているような気がします。
筆者は、できるだけ終点まで行く派で、そこから前のクルマ1台が列へ入ったら、後の1台をやり過ごし、その後へ入るようにしています。
つまり、本線と合流車線のクルマが、1台ずつ交互に規則正しく本線を走る方式で、これがまさに「ファスナー合流」と呼ばれるものです。名前の由来は、クルマが1台ずつ交互に合流する状況が、洋服のファスナーを閉める時に似ているからだそうです。
合流車線の手前や真ん中で本線の列に入ろうとするのは、恐らくドライバーが渋滞の列を見て「早く入らないと上手く合流ができない」といった不安を感じるためでしょう。ですが、終点まで行って交互に入る方が、結果的に早く合流ができると思います。
●実際に高速道路で効果あり
NEXCO中日本が行った合流対策が、それを証明しています。
同社の名古屋支社では2019年11月29日から、名神高速道路と東海北陸自動車道が接続する一宮ジャンクション(愛知県一宮市)付近の名神上り線(東京方面)で、実際にファスナー合流を実施。2020年2月の発表では、「渋滞削減効果を確認」したと発表しています。
「ファスナー合流」大作戦と題された施策では、東海北陸道から名神上り線に合流する箇所へ設置するラバーポールを延伸することで、合流可能な位置を実質的に「加速車線の先頭」付近にするというもの。
具体的には、ラバーポールの設置区間を従来の100mから360mに伸ばし、合流できる位置を対策前の350mから対策後は210mに短縮。これにより、加速車線の手前などクルマが至るところで合流していたことを是正し、合流車線の終わり付近で規則正しく1台ずつ交互に合流する「ファスナー合流」を促すといった施策です。
●渋滞の損失時間が約3割減少
NEXCO中日本の発表によると、運用開始から2カ月間の交通状況を前年同時期と比較した結果、交通量はほぼ横ばいながら、名神と東海北陸道を合わせた渋滞による損失時間は約3割減少。
また、渋滞区間の平均通過時間は、名神で約13分から約10分に短縮、東海北陸道では変化がなかったといいます。
これにより同社は、前述の通り施策により一定の渋滞削減効果を確認したと発表し、今後はほかのICやSAなどから本線へ合流する箇所への展開も検討しているといいます。
NEXCO中日本の施策は高速道路においてのものですが、前述の通り、筆者の経験からいえば、「ファスナー合流」は一般道でも十分効果があると思います。
もし、渋滞時の合流でいつも車線の手前から本線に入っているという方は、渋滞を減らす意味でも、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
(文:平塚直樹 *写真は全てイメージです)
※2020年10月27日の記事を2023年4月29日に追記・再編集しました。
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【関連リンク】
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