自動車保険の落とし穴!? コロナ禍でマイカー通勤に変えたら事故の補償を受けられないことがある?

■保険の使用目的が「日常・レジャー」の場合は注意!

新型コロナウイルス感染防止のため、通勤を電車やバスからマイカー使用に変更している人が増えているといいます。ところが、自動車保険(任意保険)の契約内容で使用目的を「日常・レジャー」にしている場合は、事故などが起きても補償が受けられないケースもあるのです。

ここでは、そういった自動車保険の契約時に設定する「使用目的」による落とし穴について紹介します。

●使用目的には3種類ある

マイカーの自動車保険に加入する場合、新規加入や契約更新に関わらず保険会社に見積もりを依頼すると聞かれる内容には、自動車の条件や利用状況、運転者の範囲や等級などがありますよね。そういった項目のひとつに「使用目的」もあり、多くの保険会社が「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務使用」の3種類を設定し、契約者が選んで自己申告することになっています。

この使用目的とは保険会社が保険料を算出する際の条件のひとつで、クルマに乗る頻度によって自動車事故などのリスクを保険料に反映させるために行うものです。乗る頻度が少なければ、保険料は低くなり、乗る頻度が多くなるほど事故のリスクも増えますから保険料が高くなるのです。

コロナ禍でマイカー通勤に変えたら事故の補償を受けられないケース
クルマを「業務使用」する場合は、乗る頻度が多い=事故のリスクが増えるため保険料も高くなる

多くの保険会社では、使用目的について、クルマを使う日数や内容などで以下のような区別をしています。

・「日常・レジャー」
主に買い物や休日のドライブなど日常生活での利用用途で契約車を使う場合

・「通勤・通学」
契約車を業務では使わないが、通勤や通学で使っている場合。使用頻度の目安は年間平均で月15日以上または週5日以上(保険会社によって異なる)

・「業務使用」
契約車を定期的に継続して仕事用に使用する場合で、使用頻度の目安は年間平均で月15日以上または週5日以上(保険会社によって異なる)

これらのうち、保険料が最も安いのは、クルマに乗る頻度が少ない「日常・レジャー」で、次に「通勤・通学」、乗る頻度が多い(事故が起こるリスクも高い)「業務使用」が最も保険料が高くなることがほとんどです。

●使用頻度が規定内なら通勤でも大丈夫

普段は、電車通勤でマイカーは休日や買い物などにしか使わない人であれば、当然「日常・レジャー」で契約している人がほとんどでしょう。

ちなみに、子どもや家族を学校や会社にクルマで送迎しているケースでは、保険会社によっては、やはり月15日以上または週5日以上でなければ「日常・レジャー」で契約できる場合もあります。

コロナ禍でマイカー通勤に変えたら事故の補償を受けられないケース
通勤や通学の送迎にクルマを使っていても、使用目的を「日常・レジャー」にできる場合がある(保険会社で異なる)

ところが、そういった「日常・レジャー」で自動車保険に契約している人が、たとえばコロナの影響で、感染防止のために電車からクルマ通勤に変更したり、たまたま一日クルマで通勤した時などに事故に遭った時に、保険金は支払われるのでしょうか?

これについては、保険会社の規定によっても多少変わりますが、概ね使用頻度によって判断されるようです。つまり、前述の「使用頻度が年間平均で月15日または週5日」より少なければ、コロナの影響で通勤にクルマを使って事故に遭っても補償を受けられる場合が多いのです。

使用頻度については、保険会社によって「月15日以上」としているところや「週5日以上」としている会社もありますので、自分が入っている保険の内容をよく確認しておく必要があります。

●補償が受けられないケースとは?

もちろん、「日常・レジャー」で契約している人が、年間を通してクルマを通勤で使う使用頻度が規定を超える(月15日以上まはた週5日以上)場合は、契約している保険の「使用目的」を変更をする必要があります。

もし、変更しないまま事故にあった場合に、保険会社の調査でそのことが判明すると「虚偽の申告」ということになり、保険料が支払われないケースも出てきます。

ちなみに、筆者が乗るマツダ・CX-5(KE2FW)に加入している自動車保険について、某保険会社のネット見積もりを使い、現在の補償内容や等級などの契約条件は同じにして、使用目的だけを「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務使用」のそれぞれに変更してみました。その結果、それぞれ保険料(1年契約の一括払い)は

・「日常・レジャー」:3万2970円
・「通勤・通学」:3万6710円
・「業務使用」:13万890円

といった金額になっています。

このケースでは、「日常・レジャー」から「通勤・通学」に変更しても保険料は3740円増える程度。もし年間を通して使用頻度が増えた人は、まさかの事故でちゃんと補償が出るかどうか、加入する保険会社に確認してみるといいでしょう。

なお、契約内容の変更などは、保険会社に連絡すれば見積もりも含めて対応してくれますので、まずは相談してみることをおすすめします。

コロナ禍でマイカー通勤に変えたら事故の補償を受けられないケース
自動車保険の契約内容によっては、使用目的の「日常・レジャー」と「通勤・通学」では、保険料に大きな差がない場合もある

「新しい生活様式」という言葉がよく使われる昨今ですが、加入する自動車保険の内容も今の生活スタイルにちゃんと合っているのか、時間があるときにでも調べてみるといいのではないでしょうか。

ちなみに、自動車保険の内容は、保険会社や契約内容によって変わる場合がありますので、詳しくは契約している保険会社に確認して下さい。

(文:平塚直樹)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
続きを見る
閉じる