トルクフルになったエンジンと許容範囲の広い足まわり 【スバル・レヴォーグプロトタイプ試乗】

■すべてを刷新したエンジンは上質な仕上がり

2014年の東京モーターショーで初代モデルがデビューしたスバル・レヴォーグも、ついにフルモデルチェンジのときが近づいてきました。すでにテザーサイトもオープンし盛り上がりを見せるレヴォーグのプロトタイプに日本自動車研究所のテストコースで試乗する機会が与えられました。

レヴォーグ走り
軽快なハンドリングの新型レヴォーグ

試乗はハンドリング体験とアイサイトXの2つのコースで行われました。ここではハンドリング体験の試乗フィーリングをお伝えします。

試乗したレヴォーグに搭載されるパワーユニットは、ゼロから新開発された1.8リットルの水平対向直噴4気筒ターボエンジンです。参考値として発表されているデータによれば、最高出力は177ps/5200~5600rpm、最大トルクは300Nm/1600~3600rpm。比較試乗用に用意された現行レヴォーグの1.6リットルターボエンジンのスペックは170ps・250Nm です。

新型レヴォーグエンジン
ボアピッチまで変更された新設計エンジン

新型はドライブセレクトモードがコンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+の4種選択が可能になりました。現行モデルのSIドライブはSとIの2種のみです。SIドライブではトルクカーブの制御のみでしたが、新型のドライブセレクトはパワー(SIドライブ)、電動パワステ、電子制御ダンパー、エアコン、AWD、アイサイトの6項目が制御されます。

新型レヴォーグインパネ
11.6インチの巨大液晶モニターを装備するインパネ

試乗コースはスタートして90km/hまでフル加速、70km/hでダブルレーンチェンジ、30km/hまで減速し55km/hまで加速しながら大きなRのコーナリング、50km/hでオフセットスラロームを経て、35km/hで波状路通過によるハーシュネスチェックというもの。

新型レヴォーグフロントシート
フロントシートのサイズはタップリとしていて、ホールド性もいい

現行モデル、SIドライブ「S」モードでフィーリングチェックした後、新型を試します。ドライブモードは「スポーツ+」です。

発進加速は現行よりもかなり力強い印象です。トルクが50Nm増しになっていることはもちろんですが、CVTの変速比が低く設定されていることも大きく影響しているのでしょう。現行のCVTは3.581から(つまり発進ギヤ比が3.581)ですが、新型は4.066からとなります。ファイナルギヤ比は3.900で同一です。

ファイナルギア3.900で1速が4.066というのはかなりローギヤードですから、発進が力強くて当たり前でしょう。90km/hまでの加速はかなり手前で終了します。

新型レヴォーグCVTセレクター
ミッションはCVTで、変速幅が拡大された

ダブルレーンチェンジは左、右、左とステアしていきます。ステアリングを切った瞬間の動きに遅れはなくクルマがヒュンヒュンと向きを変えていきますが、最後の左ステアでのVDCの介入がかなり早く若干のグリップ不足を感じました。現行モデルのほうがグリップがよくVDC介入のタイミングも強さも低めです。

この理由をエンジニアに質問したところ、「現行モデルのタイヤはダンロップのスポーツマックス050でスポーツ寄り、新型は横浜ゴムのブルーアースGTで燃費を中心に広範囲な性能を重視したものでその違いでしょう」とのことでした。

新型レヴォーグタイヤ
STIにはブルーアースGTが装着されていた

その先の大きく右に回りこむ高速コーナーでは、かなり粘り気のあるグッと踏ん張ったコーナリングを見せてくれます。その先、ヨーが残ったままでの強めの減速が必要ですが安定感を保ったままでの減速が可能で、オフセットスラロームもきれいにこなしてくれました。波状路に入っても不満が残るほどの振動はありません。足まわりがもっとも硬くなる「スポーツ+」でも、十分な乗り心地が確保されています。

じつは「スポーツ+」で走っていても、急激な入力が起きた際は即座にショックアブソーバーの減衰力をアップするメカニズムになっているとのこと。また同様に「コンフォート」でも必要と判断されればショックアブソーバーの減衰力はアップし、クルマを安定させます。

新型レヴォーグ走り2
大きなRのコーナーはグッと粘りのコーナリングを披露

スバルはいわゆるスバリストと呼ばれるコアなファンに支えられるブランドでしたが、アイサイトの登場でユーザーの裾野を広げることに成功しました。今回のレヴォーグのフルモデルチェンジはアイサイトの進化も含めて、その裾野をさらに広げられるだろうと感じる試乗となりました。

レヴォーグGT-Hイメージ

(文/諸星陽一)

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この記事の著者

諸星陽一

諸星陽一 近影
1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想のクルマ生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。