スニーカーの軽快さと居住性の両立。新型キックスは最新の日産デザインなのか?

6月24日、昨年末に生産を終了した初代ジュークを引き継ぐべく、新型キックスが発表されました。2016年にブラジルでデビューした同車のデザインの見所はどこにあるのか、担当デザイナーの入江氏に話を聞きました。

キックス・メイン
4年ぶりにマイナーチェンジされたキックス。「ダブルVモーション」がフロントの特徴

── ではまず最初に、キックスはジュークの新型(欧州仕様)に比べ80mm長く、40mm狭く、20mm高いスリーサイズです。この違いが示す性格の違いはどこにありますか?

「やはり居住性ですね。初代ジュークはその強い個性が日本でも好評でしたが、一方で後席の狭さなどへの指摘もあった。キックスはリアのキャビンが絞られていてスポーティである割には、室内の広さや視界のよさが確保されています。その点でより日本市場に合っていると判断したわけです」

── キックスは2016年の発売ですが、そもそもの造形上のキーワードは何だったのでしょう?

「キックスという名前からも分かるとおり、スニーカーのような気楽さや運動性能の高さがコンセプトでした。今回、日本市場に導入するに当たっては、そこにひとつ上のクラス、上質なプレミアム感をキーワードとした。言ってみれば高価なスニーカーですね。もちろん、基本的なコンセプトは残しつつ質感を上げています」

── 今回はグリルの「ダブルVモーション」を打ち出していますが、これはどのような意図で考えられたのでしょう?

「実は改良当初の案はシングルのままだったんです。ただ、初期型は口が小さく狭い印象があったので、よりワイド感を出すために横長にしようと。そこで太いV字を2本入れたのですが、少々アグレッシブ過ぎたため内側は細く、外側を太くすることでバランスをとりました。結果的にかなりいい表現となったので、今後の新型車にも採用される予定です」

キックス・リア
ナナメに駆け上がるキャラクターラインと、ヘキサゴン型のバックドアが見どころ

── サイド面ですが、ベルトラインのすぐ下に細いラインが入っていますが、その意図は?

「キックスには、前後を突き抜けるようなキャラクターラインがないんです。そこで、ここにフロントランプからリアに向けたラインを引いて伸びやかな印象を与えました。また、サイドウインドウ下端とドア面のラインの間が結構広いので、この線で面を切り替えています。その結果、上向きのハイライトができて、面の「タレ」がなくなっているんです」

── ドア面の大きなキャラクターラインですが、コンパクトなボディにしてはかなり急な角度をつけて駆け上がっていますね。

「そこはコンパクトSUVとしての軽快感を出すためですね。ウエッジした流れが高い位置のリアランプへつながる。今回、リアビューは切れ上がった印象を出すために、視覚的な重心を上げているんです。ルーフがファストバック風にリアに向けて下がっているので、重心が高くても不安定にならないんです」

── そのリアランプがかなり複雑な形状ですね。

「リアコンビランプは外形に動きを出したかったのがひとつです。また、特徴的なヘキサゴン(六角形)形状のバックドアとの自然な組み合わせを意識したのがもうひとつの理由です。このヘキサゴン形状はキックスのコンセプトカーから引き継いだもので、デザイン上の見所でもあります」

キックス・インテリア
人が触れる部分にはリアルステッチのソフト素材が追加された

── インテリアではリアルステッチのソフト素材が「ウリ」ですが、もともと樹脂素材メインだった室内とのバランスをどう考えましたか?

「今回の改良では人が触れる部分にはラッピングを施し、機能部分は樹脂素材とすることがテーマでした。ただ、ソフト素材をあまり広くしてしまうと「クドさ」が出てしまうなど、適度な面積を見つけるのは難しかったですね。最終的にはインパネとのバランスと、軽やかさが残るベストな部分を見出しました」

── 最後に。ここ数年はよりシンプルなデザインに向かう傾向が各社に見られますが、比較的エモーショナルな日産デザインは今後どうなるとお考えですか?

「トレンドはループしつつ進化するものです。その点、たしかに今後数年は手数(てかず)の少ない造形が主流になるでしょうね。日産車も今後はより大きなカタマリ感のある方向に向かうと思いますが、そうしたサッパリとした造形でありつつ、その中に味や熱が感じられるデザインでありたいと考えています」

── ダイナミックでありながらシンプルな面はあり得るということですね。本日はありがとうございました。

キックス・デザイナー
[語る人] 日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部 プログラムデザインダイレクター 入江 慎一郎 氏

(インタビュー・すぎもと たかよし)

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